2005年12月16日 |
2003年8月5日付原子力委員会決定は、余剰プルトニウムをもたないとの国際公約を守るために、電気事業者に対し、プルトニウムを分離する前に、その利用場所や時期などを示した「プルトニウム利用計画」を公表することを要求している。六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で分離されるプルトニウムについても、試験開始前にこれを行わなければならない。東京電力と関西電力はこのことを認めている。 ところが東京電力と関西電力については、事故や地元住民および自治体の反対により、英仏で既に取り出したプルトニウムについても、その利用計画が完全にストップしている。両電力は、アクティブ試験までにプルトニウム利用計画を公表すると言いながら、他方では、具体的な計画など出せる状況にはないことを認めている。 東京電力のプルサーマルについて、福島県および新潟県は、自主点検不正事件発覚後の 2002年9月に事前了解を白紙撤回した。両県の認識は今でも変わっていない。 新潟県刈羽村で2001年5月に行われたプルサーマルの是非を問う住民投票では反対が多数を占め、プルサーマル導入が見送られた。この結果は今でも尊重すべきものである。 福島県は、国の核燃料サイクル政策について正面から批判している。プルサーマルを拒否し、「既にわが国は40トンものプルトニウムを保有し、その処理の目途もたっていないのに、なぜ新たなプルトニウムを生む再処理施設を急いで稼動させるのか」と六ヶ所再処理工場の稼働に疑問を呈している。 関西電力のプルサーマルは、2004年の美浜3号機事故によって安全管理の信頼性を無くしたために、MOX燃料の製造契約に進むことについて、福井県からストップをかけられたままである。関西電力は、「当社としては、平成15年12月のプルトニウム利用計画では、高浜3・4号機、及び大飯発電所の1基から2基で使用する予定としておりましたが、具体的計画については、現在美浜3号機事故の対策に専念しておりMOX燃料について検討できる状況ではないため、示せる状況ではありません」と10月20日の市民との交渉で述べている。 仮に、東京電力や関西電力が、地元の了解が得られないまま形だけのプルトニウム利用計画を出し、日本原燃がアクティブ試験でプルトニウムを分離すれば、それは余剰プルトニウムとなる。日本は1997年12月5日に余剰プルトニウムは持たないとの原則に基づく宣言を行い、これをIAEAにも通知している。原子力委員会には自らが宣言した国際公約を守る責務がある。 六ヶ所再処理工場で取り出されるプルトニウムの利用計画を出すことができない以上、原子力委員会決定により、アクティブ試験において東京電力と関西電力の使用済み核燃料を使うことはできない。 日本原燃の予定では、アクティブ試験に用いられる使用済み核燃料のうち、東京電力分と関西電力分は合わせて約7割を占める。他の電力会社についても、プルサーマルの事前了解が得られているところはなく、同様の事情にある。それゆえ、日本原燃はアクティブ試験を断念すべきである。 以上 原子力発電に反対する福井県民会議/原発設置反対小浜市民の会/高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会/つるが反原発ますほのかい/グリーン・アクション/日本消費者連盟関西グル-プ/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/みみずの会/柏崎原発反対地元三団体/原発反対刈羽村を守る会/脱原発をめざす新潟市民フォーラム/ピースサイクル新潟/プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/脱原発福島ネットワーク/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議/原発を考える品川の女たち/ストップ・ザ・もんじゅ東京/東京電力と共に脱原発をめざす会/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会 (福井、関西、新潟、福島、首都圏の東電・関電のプルサーマルに反対する24団体) 連絡先: |