核燃料サイクルとその要である再処理政策を従来通り進めるのか、見直すのか、今、このことが、19兆円という莫大なバックエンド費用の国民負担とからんで、これまでにない大きな問題となっています。そして、ウラン試験を行うのか、凍結するのかが、差し迫った問題の焦点になっています。 従来の核燃料再処理路線はすでに破綻しています。まず、第二再処理工場はその計画自体、消滅したも同然です。19兆円にさらに第二再処理工場の費用を加えることなどとてもできないような状況にあるためでしょう。従来の全量再処理の前提はすでに崩れています。 その結果、六ヶ所村での再処理は限られた期間の行為となります。それなのに、膨大な費用と放射能被ばくをなぜ人々に強いるのか、なぜ最初から再処理しない道を選ばないのか、この疑問を誰もが強く抱くのは当然です。政府・与党、電力を含む経済界の中でさえ、疑問の声があがっています。 原子力委員会では6月から「原子力研究開発利用長期計画」の改訂作業を「タブーなし」で行います。その中で、この六ヶ所再処理工場の問題は詰められていくことになるはずです。今、なすべきことは、六ヶ所再処理工場でのウラン試験の凍結です。施設・設備全体を放射能で汚染することは、取り返しのつかない禍根を残すことになります。 六ヶ所再処理工場では、300カ所近い不正溶接などが行われ、日本原燃の信頼は地に落ちました。原子力安全・保安院の今年3月30日付け「評価」でも、今後さまざまなトラブルの発生が避けられないことを認めています。この面からも、ウラン試験は凍結すべきです。また、それに伴って、使用済み核燃料の六ヶ所プールへの搬入を中止すべきです。 昨年8月5日、原子力委員会は、余剰プルトニウムを持たないことを明確にするために、再処理とプルサーマルの実施とは不可分の関係にあることを決定しました。六ヶ所再処理工場の将来が不透明な今、この原子力委員会の決定に従って、プルサーマルの準備行為はすべて直ちに中止すべきです。 また、使用済核燃料の中間貯蔵施設は、第二再処理工場の運転を前提としています。中間貯蔵施設から運び出す50年後の時期には、六ヶ所再処理工場は、廃棄になっているからです。したがって、核ゴミの永久貯蔵施設にしかなり得ない中間貯蔵施設計画自体も中止にすべきです。 高速増殖炉路線はすでに破綻しています。「もんじゅ」は本来の原型炉としての目的を失い、その危険性が高裁でも認められています。このような危険な「もんじゅ」を動かすことは到底認められません。国は最高裁への上告を速やかにとり下げ、「もんじゅ」を廃炉にすべきです。 いま、核燃料サイクルをめぐり、私たちは、岐路に立っています。私たちは、19兆円もの負担を国民に強いることに強く反対します。放射能汚染を押し付けられる道に進むことなど、とうてい認めることはできません。 以上の趣旨にしたがって、私たちは、以下を求め、実現させていくことを決議します。 ・六ヶ所再処理工場のウラン試験を凍結すること ・バックエンド費用をいっさい国民に負担させないこと ・使用済み核燃料の六ヶ所プールへの搬入を中止すること ・ プルサーマルのすべての準備行為を中止すること ・ 中間貯蔵施設建設計画を中止すること ・「もんじゅ」を廃炉にすること 2004年6月6日 六ヶ所再処理施設ウラン試験凍結・バックエンド費用国民負担反対 |