2003年4月25日

[日本語訳] 全世界のNPT 締約国政府へのアピール
六ヶ所再処理工場での大量のプルトニウム分離を進めないよう
日本に要請してください



わたしたちは、核兵器の拡散を憂慮する日本の市民団体です。広島と長崎への原爆の破壊的効果は、日本人の共通の記憶として残っています。それゆえに私たちは極東――朝鮮半島と日本――に高まっている「核」を巡る緊張に対し大変憂慮しています。ほかでもなく、このことのために、わたしたちは今日皆様にお手紙を差し上げるしだいです。

日本は、大量のプルトニウム民事利用計画を有しています。その計画の実施は完全に行き詰まっているため、現在のところ日本ではプルトニウムの需要はまったくありません。にもかかわらず、日本は大量のプルトニウム分離能力のある巨大な再処理工場の稼働を進めようとしています。

六ケ所再処理工場は、非核保有国における大規模再処理工場としては初めてのものとなります。六ケ所再処理工場は、年間7 トンのプルトニウムを分離する能力を持っています。(再処理能力800tU /年)

今こそ六ケ所再処理工場を止めなければなりません。工場の運転開始予定は2005 年です。今年(2003年)後半には劣化ウランを使用した試験が始まることになっています。試験が始まれば工場は汚染され、日本の再処理へのコミットメントはいっそう深まり、六ヶ所再処理工場の本格運転を止めることがより困難となります。

日本はすでに膨大な量の余剰プルトニウムを保有しています。2001年末には、日本は既に国内に4.1 トンの余剰プルトニウムを保有し、更にヨーロッパ(英仏)の再処理工場での日本のプルトニウム蓄積量は32.4 トンとなっていました。

六ケ所のプルトニウムは、日本の商業用原子炉で消費されることになっていました。しかし、その計画はいまだに実施されていません。この燃料を日本で初めて利用するよう予定されていた3県のうち2県の知事は、その計画の事前了解を撤回しています。

そうこうしているうちに、この1 月、日本の高速増殖炉計画――40 年以上開発を続けて合計で1時間の発電しか達成してこなかった計画――が手痛い打撃を受けました。日本の高等裁判所が高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」に対し、日本政府が出した設置許可を無効としたのです。

「もんじゅ」は、2週間に核兵器1個分の核兵器級プルトニウムを生産する能力を有しています。現在の日本の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」には、高速増殖炉技術の商業化計画はありません。それにもかかわらず、日本政府は「もんじゅ」の早期運転再開を求めているのです。

日本のプルトニウム管理実績には、いままでさまざまな問題があります。1994 年、「もんじゅ」の燃料加工中に起こったプルトニウム燃料製造施設(PFPF)での70kg のプルトニウム滞留とその後の除洗作業の大幅な遅れがありました。当時の長崎市長はこの問題に対し、プルトニウム管理が「あまりにもずさん」であると述べています。

今年、東海村再処理工場(120tU /年)で206kg の受払間差異(SRD)が記録されました。(最近になってその差異は59kgに変更されています)。日本のプルトニウム管理の今までのずさんさを考えると、はるかに大規模な六ケ所再処理工場でのプルトニウム管理に対する懸念はずっと深刻なものとなります。

アジアの安全保障を憂慮されるすべての国々に訴えます。日本の青森県の六ケ所再処理工場におけるプルトニウム分離を進めないようにただちに日本に求めてください。

世界を核兵器から解放するための皆様の粘り強いご努力に感謝いたします。そして、核不拡散体制の前に立ちはだかるさまざまな重大問題について討議するジュネーブでのNPT 会議に参加される締約国として、このアピールにある私たちのお願いを考慮してくださるよう望みます。
                                                               以上
アピール提出団体

原子力資料情報室
日本消費者連盟
グリーン・アクション
グリーンピース・ジャパン
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン(NNAF)
プルトニウム・アクション・ヒロシマ
ストップ・ザ・もんじゅ
(団体名・英語アルファベット順)