再処理止めよう!全国ネットワーク 声明

検討会設置の目的(建設時の品質保証体制の点検)は果たされていない
このままでの幕引きは許されない

―原子力安全・保安院の「日本原燃株式会社『再処理施設 品質保証体制点検結果報告書』に対する評価(案)」について

再処理止めよう!全国ネットワーク
2004年3月8日

 原子力安全・保安院(以下保安院)は当初,建設時の品質保証体制を点検すること,それによって建設が適切に行われたかどうかを検証することを検討会の目的としていた(2003年8月8日検討会設置の趣意)。しかし,保安院の評価書(案)は,この目的を変質させ,品質保証体制の確立を今後の課題としている。

保安院の評価(案)抜粋

2003年8月8日 検討会設置の趣意
「・・・(略)使用済燃料受入れ・貯蔵施設及び再処理施設本体に関し、施設・設備建設時の不適合処理等に関する品質保証体制について点検を行うこと等を要請している。(中略)六ヶ所再処理施設の品質保証点検が適切に実施されることにより建設が適切に行われ、試験運転が安全に進められることを検証することを目的とする。」

2004年2月29日 保安院 評価(案)
「・・・(略)当院では事態を深刻に受け止めて、原子力安全を確保するための使用前検査及び溶接検査の実施に加え、「再処理施設の健全性」が確保されているかどうか、及び、今後、核燃料物質である劣化ウランを用いるウラン試験以降の試験運転に入っていくに当たり「事業者の信頼性」の基礎となる品質保証体制が確立されているかどうかを、徹底的に点検、検証すべきであると考えた。

(強調は引用者)


 日本原燃は,点検結果報告書(2004年2月13日)の中で,「品質保証体制の点検」を「施設等の健全性の確認」と「品質保証体制の自己評価」に分離している。そのうち「健全性の確認」については,130日程度で27万件(1日2000件余り)の書類点検と50日程度で16万件(1日3000件余り)の現品点検という余りに拙速な作業をもとに,健全性は確保されているとの結論を強引に導き出している。
 「品質保証体制の自己評価」については,以下の5点の反省点を根本原因分析の結果として導いている。
日本原燃 点検結果報告書(2004年2月13日)抜粋
(1)化学的な安全性など原子力安全以外に対する品質保証の考慮が十分でなかった。
(2)施工段階の品質保証の重要性に対する認識が十分でなかった。
(3)F施設施工時の人員配置の適正化を欠いた。
(4)協力会社と適切なコミュケーションを行える体制の確立がなされなかった。
(5)(1)から(4)の事項に関して、トップマネジメントの関与が不足していた。
 この5点からは,工場の建設は適切に行われておらず,安全性は保証できないという結論以外出てこないはずである。
 ところが保安院は,評価書(案)において,「健全性の評価」については日本原燃の結論を追認している。また,品質保証体制については,自ら課した検討会設置当初の趣意を曲げ,これを今後の課題としてしまった。*上記、保安院の評価(案)抜粋参照
 このように日本原燃が作業を急ぎ,保安院が検討会を急かして結論を急ぐ背景には,福島第二原発をはじめとする,原発の使用済核燃料プールの逼迫した状況があるのではないか。

 保安院は,原子力規制当局たる責務を果たしていない。このような保安院に住民の安全を委ねるわけにはいかない。

以上


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