7月13日、渡辺満久氏(東洋大学教授)を招き、グリーン・アクションと当会の主催で講演会を開催しました。約70名の参加者で会場はほぼ満席となりました。関西のみならず、名古屋、岐阜、広島、高松等の遠方からの参加者もありました。まず、敦賀半島での活断層調査の実例から、「変動地形学」に基づく活断層の評価手法についてわかりやすく解説していただきました。変動地形学の手法はすでに80年代に確立していましたが、電力会社や国はこれを無視し、リニアメント(直線的に見える崖や河川等の地形)だけに着目して、本来見つかるはずの活断層を見逃してきたこと。それにもかかわらず電力会社は、「当時としては正しい判断だった」と責任を認めず、反省する姿勢がまったくないと指摘されました。
次に、六ヶ所再処理工場と活断層の問題について、「赤青メガネ」を用いることで立体視できる地形図を示しながら、説明していただきました。この活断層は、海底の大陸棚外縁断層とつながっている可能性があり、長さ100km以上となる断層はマグニチュード8クラスの地震を発生させる危険性があること。また、撓曲直下の活断層が動けば、地面にずれが発生し、分岐断層が地表に出てくる可能性もあること。このような場所に再処理工場は存在するべきではないと主張されました。また、大間原発と活断層の問題等も紹介されました。
最後に、電力会社が活断層の隠蔽と切り縮めを行っていること、それを認めている国の安全審査に問題があると批判し、講演のまとめとなりました。
その後の質疑応答では、変動地形学の内容や、関電や国の断層評価の問題点等について参加者から次々と質問や意見が出され、活発な意見交換が行われました。質疑の中で渡辺氏は「原発に係わるまでは、ここまでひどいことを国や電力がやっているとは思わなかった」「原発については反対派ではなく慎重派だが、自分が専門としている活断層評価が歪められていることに驚き、あきれ、怒りに変わった」と、原発問題にかかわり社会的発言を始めた動機について語られました。専門家として自己の研究内容と実績に誇りを持ち、それを歪めるものがあれば、たとえ相手が国であろうが、電力会社であろうが自らの主張を貫き通すという渡辺氏のまっすぐな姿勢が伝わってきました。変動地形学の内容と共に、渡辺氏の姿勢に感銘を受ける講演会となりました。今回の講演内容は、六ヶ所再処理工場や関電の原発を止めるための大きな力となります。
(08/07/14UP)
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