六ヶ所再処理工場に関する平沼経産大臣への質問書に対する回答
(1月15日付)



社民党福島瑞穂議員質問書回答 H15.1.15
経 済 産 業 省
資源エネルギー庁
電力・ガス事業部
原 子 力 政 策 課
核燃料サイクル産業課

質問1:貴職は前述ビラでの言について、現在の状況に照らしてどう考えているのですか。その言の内容について、どのように責任を持つのですか。
回答1:ご指摘の資料における記述は、現在においても変更が必要とは考えておりません。今後とも原子力発電を末永く続けていくためにプルサーマル計画の実施に向け全力を傾けてまいりたいと思っております。

質問2:もし、プルサーマル計画はまだ生きているとの認識であれば、いつ実施できるのか具体的な目途を示してください。
回答2:プルサーマルの実現のためには、まずは再発防止策等を徹底的に実施することを再出発点とし、原子力に関する信頼の回復を急ぐことが最も重要な課題と認識しており、その上で、プルサーマルについて、地域、さらには国民の理解を進めていくために政府も前面に立って活動していく所存です。

質問3:プルサーマルを実施できる目途が立たないのに再処理工場を運転すれば、減らすべきプルトニウムが、ますます増えるのは自明の理です。この点はどの様に考えているのですか。
回答3:我が国は、利用目的のない余剰のプルトニウムを持たないこととしており、再処理事業を計画的に進めると共に、プルサーマルを着実に進めていくこととしています。
 なお、非核保有国である我が国においては、IAEAによるフルスコープ保障措置を全面的に受け入れており、プルトニウムが平和利用以外に転用されることはないことが厳格に担保されることになります。加えて、より一層の利用の透明性の向上を図るとの観点から、原子力委員会としては、余剰プルトニウムを持たないことを示すため、プルトニウム利用計画を明らかにした上で、再処理を実施していく必要があるとの方針を明らかにしており、我が国が利用目的のないプルトニウムを保有することはありません。

質問4:貴職のビラの言に立てば、少なくともプルサーマルの目途が立つまでは、再処理工場計画を停止し、使用済み燃料の搬入も停止すべきだということになるのでは(ないでは−相手のミス)ありませんか。
回答4:質問3に対する回答にあるとおり、我が国が利用目的のないプルトニウムを持つことはありません。よって、再処理工場の建設や使用済燃料の搬入を計画的に進めていくことが必要であると考えています。

質問5:現在の状況で使用済み燃料を六ヶ所に運び込めば、青森県は核のゴミ捨て場になる恐れが極めて高いと考えられますが、この点はどのように考えていますか。
回答5:我が国は使用済燃料を再処理し、ウラン、プルトニウムといった有用資源を再利用する核燃料サイクルを国内で確立することとしており、ご懸念のようなことにならないよう、着実にプルサーマルを進めていくこととしています。


質問6:なぜ貴職はこのような虚偽の仮定を含む安全評価を妥当と認めたのですか。
回答6:日本原燃(株)は、六ヶ所前面海域の代表的な流動パターンを、六ヶ所前面海域における流向及び流速の観測結果より、南流、北流及び流速が5cm/s未満である憩流の3パターンに分類している。
 そのうち憩流については、近傍海域における三次元シミュレーション解析結果から得られた鉛直方向平均流速(非成層時:7cm/s、成層時:1.6cm/s)で、東、西、南及び北の全ての方向に廃液が流れるとして評価している。
 従って、当省としては、廃液の流れとして西向きがないといった仮定、及び東向きに強めの流れがあるといった仮定はなされておらず、虚偽の仮定との指摘は当たらないと考える。

質問7:日本原燃は1年間かけて海流観測をしているのに、なぜその21地点の測定データを平均せずに忠実に使うよう指導しなかったのですか。
回答7:21地点の海洋観測の測定データを平均して放射性物質の拡散を評価しているものではなく、海洋放出口地点以外の地点について、二次元数値シミュレーション解析を行い、その結果を用いて、放射性物質の拡散を評価している。

質問8:日本原燃の仮定では、放射能は海岸線で完全反射されて海に戻るとされています。ところが、はがきは多数が海岸に打ち上げられました。海岸に打ち寄せられ蓄積される放射能による被ばくが完全に無視されているのに、なぜ妥当と認めたのですか。
回答8:放射性液体廃棄物による線量の計算においては、評価結果が保守側になるように評価地点の海水中放射性物質濃度を求めるため、拡散・希釈過程における放射性物質の物理的減衰は考慮しないとの観点で、海浜での減衰を考慮せず、全て海水中に放射性物質がとどまるとして海水中放射性物質濃度を評価している。
 なお、当省は、海面上におけるはがきによる海流調査により年間の被ばく線量評価を行うための拡散解析の(ママ)模擬することは出来ないと考える。

質問9:日本原燃は海洋放出口のごく近辺での被ばく評価しか行っていません。ところが、放出された放射能はいったん広がった後、再び三陸海岸付近の狭い海路に集中する傾向があります。三陸海岸付近は豊富な漁場であるだけに、そこでの魚介類や海藻類の放射能汚染はきわめて深刻な問題です。三陸海岸付近の放射能濃度がどうなるか、そこの魚介類や海藻類を食べる全国の人たちの被ばく線量がどうなるかを評価する必要があるのではないでしょうか。
回答9:
1. 日本原燃(株)の評価では、六ヶ所再処理施設から放出される放射性液体廃棄物による実効線量は、年間約0.0031mSvと公衆の線量当量限度である年間1mSvに比べて十分小さいものであり、海洋放出管からさらに遠く離れた地点においては、よりいっそう拡散・希釈され六ヶ所再処理施設周辺より影響は小さくなることは明らかである。
2. 従って、当省は、三陸海岸付近で漁獲された海産物摂取による被ばく線量を別個に評価する必要はないと考える。
なお、当省は、六ヶ所再処理施設から放出された放射性液体廃棄物が拡散・希釈された後、三陸海岸付近で集中する傾向にあるとの研究成果等は承知していない。