三陸の宝の海を放射能から守ってください


岩手県大阪事務所 御中

 夏の観光シーズンを前に、岩手県の関西でのセンターとして、様々なお仕事でお忙しい頃と存じます。

 ここにお手紙を差し上げますのは、青森県で現在営業に向けて試験が行われている日本原燃株式会社(原燃)の六ヶ所再処理工場についてです。ご存じのように、この工場からの海洋への放射能放出は、岩手県産の魚貝類に汚染を広げる危険性をもっています。

 原燃の社長は7月31日の定例記者会見で、宮古市の市長や漁協が出していた六ヶ所からの海洋汚染に関する地元での説明会要請に対し、開催する予定はないし、公式な回答も行わないと述べています。被害をこうむる人々に対し、説明責任も果たさないとは、何という無責任で傲慢な態度でしょうか。そして原燃は、8月4日以降の早い時期に、アクティブ試験の第2ステップに進もうとしています。
 そこで、岩手県知事がリーダーシップを発揮され、アクティブ試験の第2ステップが始まる前に、原燃に対し、放射能放出について県民説明会を早急に開くよう要求していただければと思い、お手紙を差し上げています。是非、放射能放出について積極的な情報開示を原燃に要求してください。

 原燃は、4月に1回、5月と6月にそれぞれ6回、計13回も、再処理工場から放射能を海に放出しました(放出した月日は下記を参照してください)。1回の放出量は約600トンですから、これまで7,800トンもの放射性廃液を垂れ流しています。回を増す毎に、1回分の放出放射能量は増大しています。
 放出の月日については、7月20日に行われた青森県臨時議会で、鹿内博議員の質問に対し、青森県が答弁したことで初めて明らかになりました。岩手県大阪事務所の皆さまは、この事実をご存じでしたでしょうか。岩手県には、この海洋放出の月日に関する情報等は届いているのでしょうか。
 原燃は、4月28日の最初の海洋放出以降、事前にも事後にも知らせることなく、放射能を海に垂れ流し続けています。今回明らかになった5月、6月の情報でさえ、原燃は報告書やホームページでも公表していません。アクティブ試験の第1ステップが終了し、試験を中止しているにもかかわらず、放射能の海洋放出は7月も行われたようです。海に捨てられた放射能は、親潮の壁に押しつけられるようにして、三陸のリアス式海岸に流れ着きます。

 三陸の海岸では7月に入り、海開きが行われ、海水浴やマリンスポーツのシーズンを迎えています。海で遊ぶ子供たちに影響はないのか心配です。この時期、三陸沿岸ではクロマグロ、サバ、カツオ、タコやスルメイカが大量に水揚げされ、ウニ漁も解禁になったと聞きます。
 関西でも三陸の魚貝類は広く出回り、私たちも、ワカメやメカブ等をおいしくいただいています。私たちが三陸の海の幸を安全においしく食べることができるのも、漁業者のみなさんのおかげです。三陸では、合成洗剤を使わない取り組みを続けられ、沿岸の巨大開発を拒否し、太古からの宝の海をひたすら守り続けてこられました。漁業者の皆さんの生命が吹き込まれた海でもあります。生活の糧である海のめぐみが、放射能で汚染されるかもしれないということに、漁業者のみなさんがどんなに不安と憤りの念を強めておられるかとお察しします。

 私たちは再処理工場による海の汚染に反対し、また三陸のおいしい魚貝類をいただいている関西の消費者として食の安全について憂慮している者です。また、この問題に対する岩手県の姿勢と取り組みに関心を寄せています。岩手県知事が、三陸の自然と漁業を守る立場で、食の安全を守る立場で、放射能放出の問題について積極的に行動されることを強く希望いたします。
 三陸の宝の海を守ってください。

    日本原燃が海に放射能を放出した日]
        4月 28日
        5月 3日、10日、19日、20日、27日、31日
        6月 7日、 9日、14日、16日、28日、29日

2006年8月10日
【賛同団体】 34団体(関西地域24団体+その他地域10団体)
<関西地域>
アジアこどもプロジェクト/アジェンダ・プロジェクト/安全食品連絡会/NPO法人 イ・キューブ/大阪大学附属病院看護師労働組合/関西市民の会/くらしを見つめるひととき/こうべ消費者クラブ/さよなら原発箕面市民の会/滋賀県環境生活協同組合/自然環境センター/ストップ・ザ・もんじゅ/脱原発にがよもぎの会/脱原発へ!関電株主行動の会/日本消費者連盟関西グループ/NO DU! KOBE/ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン/阪南中央病院原発見張り番/阪南中央病院労働組合/ふぇみん婦人民主クラブ京都洛友支部/平和省プロジェクト・大阪/平和の井戸端会議/みみずの会/有機食品の宅配 潟}イグラント

<その他地域>
岡山草の根市民センター/核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会/原発なしで暮らしたい・ネットワーク岡山/ストップ・ザ・もんじゅ東京/市民ネットワーク千葉県/市民ピースネットワーク・山梨/日本消費者連盟 岡山グループ/花とハーブの里/ハンドインハンド岡山/PEACE LAND/

【賛同個人】104名(関西地域73名+その他地域31名)


【連絡先団体】
  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581