不正溶接問題の根本原因を究明せず、補修工事を始めた日本原燃
――――― 8月6日付報告書の問題点について(暫定版) ―――――


                             2003年10月7日 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 

本末転倒! 稼動スケジュール最優先、品質保証は二の次
 六ヶ所再処理工場の不正溶接問題で日本原燃(以下「原燃」と記載)は、2003年8月6日に「使用済燃料受入れ・貯蔵施設のプール水漏えいに係る調査、点検結果及び補修計画について」および「再処理施設埋込金物健全性点検計画書」(以下「8・6報告」と記す)を原子力安全・保安院に報告し、公表した。
その後8月22日には、「再処理工場(使用済燃料受入れ・貯蔵施設)の変更に係る設計及び工事の方法の認可申請」(補修工事の認可申請)を行い、経済産業省は9月17日付で早々に認可した。19日には原燃が改修工事に着手という早業であった。
 他方、不正溶接について品質管理上問題があったとして、9月9日に「再処理施設品質保証体制点検計画書」を取りまとめ、国に報告するとともに、青森県・六ヶ所村にも知らせ、公表した。これに対して、国/原子力安全・保安院(以下「保安院」と記す)は、核燃料サイクル安全小委員会の下に「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」(以下「検討会」と記す)を設置して、計画の妥当性を計画段階から検討することとし、9月12日に第1回検討会が開催された。ところが、検討が開始された直後に、その結論を待たず、原燃は、9月22日から品質保証体制の点検を開始した。保安院も容認している。
 いったい「品質保証体制点検」は何を、どの組織を点検しようとしているのか。9月9日の計画書には、「現品の設計管理及び施工・検査管理について元請/施工会社(設計管理については元請会社)の品質保証体制を点検する」と書かれている。設計も含めて、元請業者と施工会社だけであり、発注者の原燃は、点検対象に入っていない。もっとも点検されるべきは当の原燃自体ではないのか。
 また、検討会の結果を待たず、補修工事と品質保証体制の点検を開始したことは、原因究明や品質保証の点検は形だけにして、使用済み燃料の早期受入れとウラン試験に入りたいという厚顔さ、破廉恥さを如実に示している。事実、原燃は9月19日に出した「再処理施設の工事計画の変更理由」の中で次のように述べている。「使用済み燃料受入れ・貯蔵施設におけるプール水漏えい等にかかる補修、ならびにウラン試験を安全かつ円滑に実施するために必要な品質保証体制の点検について、ともに年内の終了を目指して全力で取り組むことにより、施設の健全性を確認する方針とした」(下線は引用者)と。さらに、29日には、「使用済燃料の受入れ計画の変更」を公表し、来年1月から東電福島第二原発などの使用済燃料を受け入れると表明した。これら一連の原燃の動きは、稼動スケジュールを最優先し、「施設の健全性の確認」は二の次というまったく本末転倒したものである。しかも、保安院もこれを追認し、強引な幕引きに加担している。

「誰が補修計画を出すよう指示したか」に返答できない保安院(10・2交渉)

 10月2日に青森の人たちと原子力情報資料室が設定された「漏洩問題」での保安院交渉に美浜の会からも参加した。 原子力安全・保安院からは、原子力規制課の企画班長・青木一哉、再処理班長・永山賢一、原子力保安検査官・松井政雄の三氏が出席した。
 交渉の参加者からは、検討会を無視するなど原燃の強行姿勢に対し、何もとがめず追認している保安院を追及する発言が相次いだ。その中で、8・6報告に記載された「補修計画」を誰が出すように指示したのかとの質問が出され、原子力規制課の企画班長は、今年6月24日の原子力安全・保安院長名での指示文書にある「平成14年11月20日付けで貴社に要請した事項で未だ報告がなされてない事項」によると答えた。ところが、11月20日付けの要請では「漏えい箇所の補修計画を策定し、報告する」と書かれており、「漏えい箇所の補修」に限定されているではないか、補修計画全般は誰が指示したのかと重ねて聞くと返答できない始末である。
 さらに、不良溶接の発端となったPWR用燃料貯蔵プールの床プレート穴あき漏えいカ所と類似のカ所は点検したのか、特にBWR用と共用プールでは、燃料貯蔵ラックが置かれたままで点検したというが、床面の点検ができたのかとの質問にも答えられなかった。(詳細は後述)
(返答できなかった内容と37項目の質問書の回答については、後日北川れん子衆議院議員の事務所に
文書回答することになった。)

 そもそも日本原燃の8・6報告は、不適切な溶接という結果だけを点検し、大本の原因については何ひとつ調査せず、原因究明ができていない。溶接業者に全ての責任をかぶせるために、どのような方法で不正の溶接が行われたのかという点の点検だけである。例えれば、強盗の手口だけに目を向け、その動機・背景については調べようともしない捜査と同じである。
 背景については、8月8日の第4回核燃料サイクル安全小委員会で保安院が、以下の点を指摘した。しかし、この指摘内容に関して原燃から事情聴取もせず、原因究明につなげようともしていない。
 (1)コンクリートの躯体ができた後に、キチンとその寸法取りをしてライナーの板取をすれば所定の開先寸法が取れるはずで、現場で継ぎ足し部材を溶接する必要はなかった。
 (2)本来下地材を設置して、横の検知溝と縦の検知溝をつなげた上で、先張りのライナーを張っていくという手順さえきちんと予め決めておけば、補修が発生するはずがない。
 (3)コンクリート打設後には(埋込金物等の)据付検査をして、きちんと位置の確認がなされている
   検査記録以外は怪しい。
 (4)工場で設計どおりに作っても、現場があれだけ大きいから、ずれが生じ、(開先の)間があいてしまった。こういうことが原因。工場と現場の連携ができていれば、現場合わせ(現場で寸歩を取る)を行ったあと、工場で製作すればそれなりのものを作れたと思う。 全体の計画を発注元(原燃のこと!)も含めてちゃんとやらないとまた起こる可能性がある。(委員)
 (5)不適切な工事というのは現場の段取り不十分からおきるので、きちんとした段取りをしていれば発生しない。
 (6)いずれも工事の手順の検討が少し不十分ではなかったのか。
これらは、設計と実際の施工とにズレがあり、その原因が、発注者の原燃、元請業者、専門メーカーそれぞれの間での打合せ不足、連絡不足、検討不足を指摘したものである。ここからしても、原燃の品質保証体制自体にも問題があり、その責任が究明されなければならないことは明らかである。

(注)原子力発電所との違いについて、保安院は8月8日の小委員会で、「本来複雑な構造で、気をつけなければいけない特殊な理由があったことを認識した上で品質管理をするべきであった。」との見解を示した。また、「原燃のプールは、・・先張りと後張りを組み合わせた工法」であり、「四角いがらんどうのところにポンと入れるようなものと違って」いる点がこれまでとの違いであると述べた。
 この見解は、計画外の不正溶接が「複雑な構造」や「特殊な理由」に起因していることを認めたものであり、関係者すべて――発注者・元請・専門メーカのすべて――が、このことを認識した品質管理になっていなかったとの指摘に他ならない。しかし、原燃の責任は放置している。
 それにしても、なぜこのような特殊性が初めから分からなかったのか。設計時点で気が付いていなかったのか。「きちんとした工程管理の必要性」、「特殊な理由」、「気をつけなければならない点」の内容が発注段階の特別仕様書などで明記していなかったのか。こうした根本的な原因は究明されていない。これらの点が明らかになれば、原燃は責任をまぬがれられないだろう。

  以下で8・6報告にそって、詳述されている6箇所の漏えいカ所等を具体的に検討する。
(なお、8・6報告はhttp://www.jnfl.co.jp/press/pressj2003/pr030806-1.htmlに、原燃の公表文章はhttp://www.jnfl.co.jp/に、http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004510/0/030918saishori.htmでは9月17日付経産省認可が、保安院のプレス発表はhttp://www.nisa.meti.go.jp/に掲載。) 


(問題カ所 A) BWR用プールと共用プールの床面溶接部は点検できない!?

*PWR用プール床部穴あきカ所と類似カ所の点検はできていない疑いが濃厚
*燃料貯蔵ラックを置いたままのBWR用プール、共用プールの床面は点検できない?


 10月2日の保安院との交渉で、燃料貯蔵ラックを置いたまま、どのようにして床面の溶接部を点検したのかと質問した。「リモコン操作のロボットのようなもので点検した」と答えた。
 では、床とラックの間の隙間はどれぐらいかと再質問したが再処理班長らは答えられなかった。
 右図では、床とラックに隙間はない。だから矢印で示した溶接カ所は、点検できない。
 また、ラックの真下部分だけではなく、下図ではラックとラックの間にも隙間がないように描かれている。右図の破線の矢印部分の溶接部も点検できない。
不正溶接の発端となった、PWR用床プレートの穴あき漏えいカ所と類似のカ所の溶接部は、点検していない、できなかった疑いが濃厚である。


(問題カ所 B) PWR燃料貯蔵プール/床部漏えい箇所=D4溶接部



(通常の、計画通りの溶接の場合) 寸法の単位はミリメートル

<開先寸法が広すぎたために不良溶接>



1) 元請の日立製作所にも責任あり! 継ぎ足し溶接を見逃す!
 8.6報告によれば、当該不正溶接カ所は、(1)H7年12月14日(推測)に残業をして、継ぎ足し溶接とグラインダ研磨、(2)17日(大江工業)品質管理部門検査員の開先検査、(3)18日元請会社(日立製作所)の立会い確認、(3)22日に本溶接実施 となっている。(P23)
 上図のように継ぎ足し溶接を行い、グラインダで研磨した4日後の、本溶接前に、元請会社が本溶接前検査(開先寸法や不純物の付着の有無など)を行ったが、「継ぎ足し部材」「研磨痕」を見逃し、OKを出したから本溶接が実施できたと考えられる。元請の責任が明らかにされるべきである。

2) 工期に追われての「手直し」か? なぜ「工程」の調査は行わないのか?
 当時の現場所長は、「・・自分の責任範囲の工程に影響しないよう」継ぎ足し溶接を行ったと聞き取り調査で述べている。「工程」が逼迫し、全面的なやり直しをする余裕がなかったのではないか。
工期・工程に問題があったならば、元請と発注者(原燃)にも責任がある。工程は調査したのか?

3)「ライニングプレートの寸法不足」換言すれば「開先寸法不良」は常態化していた?
  「継ぎ足し溶接」による「手直し」は日常的に行われていた?
 (その1)「ライニングプレートの寸法不足は品質管理上の不適合であると考えるが、元請会社へ申し出て対応をとらなければならない認識はなかった」と現場所長は述べた。この言葉は、現場での手直しが一般的で、常態化していたことを示しているのではないか。なぜ「申し出る必要がない」と判断したのか、そこが明らかにされねばならない。
 (その2) 表−1「点検・評価結果」(3頁)には、使用済燃料受入れ・貯蔵施設で、このカ所を含めて69カ所の「継ぎ足し溶接・肉盛溶接」による計画外溶接があったとされ、計画外溶接の有無を確認する必要のあるグラインダ痕は1225カ所(表−4)(17頁)もあったとしている。
 (その1)(その2)は何を意味するのか。「継ぎ足し溶接」が、開先寸法不良の場合の「手直し溶接」として日常化していたこと示すものではないのか。
 (施工要領図で手直し方法がどのように記載され、原燃・元請がどう承認することになっていたのか? 計画外溶接が、当初から示されていた指示書等に反したものであったとの指摘はない。)

4)設計そのものにも問題があるのではないのか?
 溶接の教科書などに載っている「開先加工と形状」は 右図の通りである。
 板厚が6ミリの場合、開先角度60°でL≒6.6ミリ程度となる。開先寸法の施工誤差は、せいぜい2ミリ程度、多くとも数ミリ以下とミリ単位であり、他方コンクリートの施工誤差は±5センチとセンチ単位である。
 従って設計通りの施工を行おうとすれば、コンクリートの躯体が完成した後に各寸法を計測し、躯体にあわせてライニ 
ングプレートを裁断、加工する以外にない。この施工方法は、長い工期と元請・専門メーカとの段取り調整が必要となる。
 報告書24ページに「(コンクリートのくぼみが)板取り寸法に反映されなかった結果、・・・適正な開先寸法に合わせるため継ぎ足し部材を設定し・・」と記載しているが、設計や仕様書に「コンクリート躯体を計測した後で板取り(プレートの切断・加工)する」ことが明記されていたのか。
 上記(その2)で記載したように同様のカ所の多さからして、明記していなかったのではないか。 
 このような設計書や特別仕様書での内容・指示と現場での施工内容の比較・点検を行ったのか、明らかにされていない。

(問題カ所 C) 送出しピット部/先張り天井壁ライニングプレート切り欠き部

(注:移送水路ピットA部 /壁床ライニングプレート部も、原因が連絡溝の加工漏れにある点では同じである。)




1) 連絡溝の付け忘れは、以前から判明していた?

 検知溝に関する不良工事が、使用済燃料受入れ・貯蔵施設と再処理施設本体とで大差があることについて報告書は次の通り記載している。「再処理施設本体の時には、このような、いわゆる縦の溝を付け忘れるということはなく、そういう施工手順が改良されていたということで大幅に減っている・・・。」
 この記述によれば、連絡溝付け忘れは以前から分かっており、その原因は「施工手順」にあるとしている。施工手順を管理する者はだれか、その者にこそ、責任がある。

2) 数多くの検知溝が確実に施工されている保障はあるのか?
 数多くある同様の施工カ所で、検知溝の連絡が確実に施工されている保障はない。なぜなら、当該の送出しピット部では、施工ミスに気がついたために、漏えいにまでつながる不良溶接で手直ししたが、施工ミスに気がついても手直しせずに放置したなら、再溶接は不要である。このような「放置された施工ミス」は、グラインダ痕による点検では発見されない、見逃されているのではないか。

3)なぜコンクリート部分まで連絡溝の設置が必要だったのか?
 不良溶接での貫通欠陥は、A部詳細に示したような連絡溝設置のための手直し工事が原因としている。
報告書の添付-2-3図(P37)では、貫通欠陥カ所は「V上検知溝」の上部であり、そのためにか連絡溝加工カ所が上部検知溝の上方のコンクリート部分までも加工した図となっている。
 手直し工事の必要性は、縦方向下地材の検知溝まで「横と縦の連絡溝」を設置する点にある筈である。だから、連絡溝の上限は「V上検知溝」から下でよいはずである。ところが貫通欠陥カ所は、横方向下地材の上縁あたりにあり、連絡溝設置工事は、下地がコンクリートの場所にまでおよんでいる。 なぜ、こんな上方まで「連絡溝」を造る必要があったのか?

4)先張りプレートの施工前になぜ検査しなかったのか、できなかったのか?
 横方向と縦方向下地材を取付けた際になぜ連絡溝についてチェックできなかったのか。なぜ検査せずに先張りプレートを取付けたのか? この点が明らかにされねばならない。原燃・元請担当者はチェックせずに検知溝の不良設置を見逃したのではないか。チェックの必要性の認識が希薄ではなかったのか。すべて専門メーカ(大江工業)任せであった可能性が大である。報告書は、原燃と元請けの責任は一切調査していない。

(参考)(移送水路ピットA部)


(問題カ所 D) 送出しピット斜路A部

【注:使用前検査中に補修したが、保安院に報告せず、厳重注意を受けたカ所】

 このカ所は、報告によれば、ライニングプレート据付完了後、仮設ゲートの脚を溶接した際、ゲートの脚(厚85)が埋込金物(厚35)に比して厚かったために溶接熱により、埋込金物とライニングプレートに変形が生じた。この変形を修正するために補修工事が実施された。元請会社からの状況報告・補修方法の提案を原燃が了承した後に工事が実施されたが、原燃は検査を行わなかった。
 しかも、変形に係る補修工事は、「不適合処理に係る管理要領」の適用範囲外として、元請会社だけでの対処を原燃は指示したとしている。

1)補修方法を了承しながら、検査もしていない原燃にも責任はある!
 このカ所は、他のカ所と異なり、補修工事にあたって元請と発注者の原燃が協議をし、元請の補修方法を原燃は了承した。 にもかかわらず、どのような理由で原然は検査をせずに、元請会社だけでの対応でよしとしたのか。 原燃の責任が明らかにされるべきである。

2)そもそも、仮設ゲート脚の取付けは設計段階から予定されていたのか?
 プレート据付完了、仮設ゲートの脚溶接の順序で、仮設ゲート脚の取付けにより変形が生じたとしているが、この部位の取付け工法・方法が十分に検討されていなかったのではないか。  
 ある溶接の専門書(「溶接の実際シリーズ」)によれば、SUS材の、「特にオーステナイト系ステンレス鋼の溶接においては、熱膨張係数が大きいため大きな変形が生じやすい。したがって寸法精度を要求される製品や薄板の溶接では、適切な変形防止対策が必要である」とされているが、「変形防止対策」はどうであったのか、工法・段取りの検討がどのようにされたのか?このような点は調査したのか?調査しなかったとすれば、調査不要とする理由は何か?

3)明確な目的のある溶接痕をなぜ研磨して消し去ったのか?
 溶接線WH−32の上に設置したメカニカルアンカの目的は下地材の変形を修正するためと記載されている。補修工事を了承し、その一部として変形を修正するために取付けた目的をもちながら、アンカ頭部とプレートの溶接痕(ビード)を消し去るグラインダ研磨をなぜ行ったのか、不可思議である。変形修正のために一度切断し、再溶接した壁のライニングプレートは、補修の溶接痕(ビード)は研磨せず、太いままである。
 元請や専門メーカ側には溶接痕を消し去る理由はない。規制当局の使用前検査中の補修工事であったため、規制当局の目をごまかすのが目的ではなかったのか。溶接痕を消し去るための研磨の目的が何であったのか、調査が必要である。(規制当局の目をごまかすためなら東電問題の二の舞!)

4)下地材に溶接固定されていたスタッドジベルのうち1本が途中で切断されていたと記載しながら、なぜ切断されたのかは何一つ記載がない。調査したのか?
 鉄筋を配筋した後に下地材を取付ける施工順が現実にあることが、51頁の先張りライニングプレートの母材貫通補修溶接の項で書かれているが、スタッドジベルを切断する可能性で最も高いのは、すでに据え付けられていた鉄筋が邪魔になって、ジベルを取付けたままでは下地材が入らない場合が考えられる。報告では、切断された事実だけを書き、いつ切断されたのか、なぜ切断したのかについては明らかにされていない。
 (スタッドジベル切断に関しては、「埋込金物健全性点検計画」のなかで、「コンクリート打設による埋込金物の位置ずれに伴う移設時にスタッドジベル切断が行われたことに鑑み、埋込金物の健全性確認を行う」とされている。ところが上記当該カ所は、埋込金物でなく下地材であり、斜路A部でのこの切断についても、切断の時期や理由にまでさかのぼって明らかにされねばならない。)

(問題カ所 E) 取出しピットAでの先張り壁
コーナーライニングプレート母材貫通補修部溶接

(注:図と写真面が一致していない?!下地材と埋込金物の位置関係が異なっている?)

1)「埋込金物と下地材は、通常は表面から溶接にて接続されるが、裏面から溶接されていた」
 なぜ裏面からの溶接となったのか?裏面からの溶接を指示したのは誰か?調査されていない。

2)「ライニングプレートの裏面から埋込金物の断続溶接を行った時期は、既に壁側の鉄筋が据付けられていた。鉄筋の間の狭隘部から溶接を行ったため、・・・母材貫通が生じた。」としているが、狭隘部から溶接を行わなければならなかった理由は何か?施工順序が前後したのか?
 報告では裏面からの溶接によって表面まで貫通する溶接条件は確認しているが、裏面から溶接されたカ所はこの個所だけなのかどうかは確認されていない。

3)「表面から溶接」できる場合は、表面側にコンクリート打設用の型枠がないことが条件である。裏面からの溶接を強いられたとするなら、表面側に型枠が設置されていたと推測できる。もしそうなら、なぜ型枠を外し、通常通り表からの溶接としなかったのか?このことに関して元請から聞き取り調査をしたのか?

4) この補修ではグラインダは使用されたのか。グラインダ痕を調査するだけでは、グラインダを使用しない補修の場合は、不良施工は発見できない。


(問題カ所 F) 再処理施設本体/第1放出前貯槽Bでの母材損傷(栓溶接)

(注)使用済み燃料受入れ・貯蔵施設と再処理施設・第1放出前貯槽Bとは、ライニングプレートの裏面がコンクリートであるのと等辺山形鋼(L形鋼)で架構された補強材であるのとの点で異なっている。

1)「位置決め部材」が位置決めを狂わしたことは調査されていない!
 栓溶接を行う契機となったのは、位置決め部材をガス切断で取り外したことにある。なぜ取り外したのか。「施工性向上」のために取付けられた(恐らく工場で)位置決め部材のために、開先寸歩が広がりすぎ、開先寸歩調整のために取り外したと記載されている。
 「施工性向上」のための部材が、施工性を損ねたことについては何ら調査されていない。位置決め部材の取付け位置が間違っていたのか、ライニングプレートの板取りのミスか、それとも他の要因か?
 当該カ所と同様に「位置決め部材」のために、開先寸歩に狂いが生じたケースは他にないのか。  
こうした点の調査こそ、現場での「品質保証」管理が適正であったのかどうかを知る調査ではないか?

(問題カ所 G)その他(再処理工場本体での計画外溶接)

 再処理施設本体での計画外溶接については、以上のほか、ライニング貯槽の三隅コーナー部での肉盛溶接(溶接部追加)があったと6月24日付の報告では記載(6頁)され、下図も掲載されている。
8・6報告ではこの計画外溶接について、「プール・ピット等の三隅コーナー部では現地据付施工に起因して、切り欠き・肉盛溶接が行われていた」(2頁)とだけ書かれ、詳細は記載されていない。
記載しなかった理由はなにか、明らにされなければならない。


                                                               以上