原子力安全・保安院長
広瀬研吉 様

日本原燃・六ケ所再処理施設「高レベル廃液ガラス固化建屋」、
「第1ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」の設工認に関する要請書


2005年12月22日

 日本原燃の六ケ所再処理施設「高レベル廃液ガラス固化建屋」および「第1ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」に関する設工認変更申請が10月18日、原子力安全・保安院によって認可された。日本原燃は同日両建屋の改造工事を開始している。しかしこの設工認審査には、建屋のコンクリート温度に関し重大な誤りある。私たちは貴保安院に対し10月18日の設工認認可を取り消し、両建屋のガラス固化体貯蔵設備の改造について、コンクリート温度の当初の基準であった「65℃以下を確保する」よう日本原燃に指導することを要請する。

 この改造工事が必要になったのは、「高レベル廃液ガラス固化建屋」および「第1ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」の設計において、日本原燃及び施設の設計を担当した石川島播磨が安全解析や安全確認を何ら行わず施設を誤って設計したこと、さらにその誤った設計を原子力安全委員会や原子力安全・保安院の安全審査で見逃し、さらに貴保安院の設工認審査においても安全解析などをまったく行わずに認可を出したことが最大の要因である。原子力安全委員会や原子力安全・保安院の不十分な審査によって、誤った設計のまま国の認可を受けた両建屋はすでに建設を終了している。さらに問題はこの設計の重大な誤りが、他の施設、英仏からの返還高レベルガラス固化体貯蔵建屋(B棟)の設工認審査中に偶然明らかになったことだ。このように両建屋の改造問題は、"原子力安全"を使命とする原子力安全委員会、貴保安院がともに、安全確保に求められる最低限の審査さえ行っていなかったことを明らかにしたのである。

 国の安全審査や設工認審査がまったく信頼できないという状況の中で、両建屋の改造工事に関して4月18日設工認変更申請が日本原燃から提出された。この申請の中で日本原燃は、ガラス固化体とその貯蔵建屋の健全性を維持するため、コンクリート温度について「65℃以下を確保する」としていた。ところが9月22日に「一部補正」を提出し、「65℃を越ええる箇所が存在する」と変更し、貴保安院はそれを認め10月に認可した。

 コンクリート温度を当初の申請どおり「65℃以下」に確保することは、ガラス固化体貯蔵建屋の健全性を確保するためには必要最低限の条件である。それは4月の変更申請において日本原燃も貴保安院も十分に認識していたことである。その基準を審査の途中で変更したことは、施設が立地する青森県民の国の審査への信頼を再び踏みにじる行為である。私たちは原子力安全・保安院に対し10月18日の設工認認可を取り消し、国の指導によって日本原燃にコンクリート温度の基準「65℃以下を確保」させることを改めて強く求める。

核廃棄物搬入阻止実行委員会
グリーン・アクション
グリーンピース・ジャパン
原子力資料情報室
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会