11月14日、参議院議員会館第1会議室で、六ヶ所再処理工場のガラス固化再開試験について、原子力安全・保安院と交渉を行いました。
 冒頭に、10月2日に提出した「六ヶ所再処理工場のガラス固化再開試験における『流下停止事件』に関する要望書」への賛同団体、賛同個人の追加を保安院に提出しました。団体賛同は、2団体追加で163団体、[(神奈川県)故郷と地球の未来を憂える仲間たち/(大阪府)安全な食べものネットワーク オルター]、個人賛同は22名の追加で2027名となりました。
 14日の交渉の内容について、「福島老朽原発を考える会」(ふくろうの会)からの報告(以下)を転載して紹介します。



11月14日 保安院交渉の報告
  
福島老朽原発を考える会

 はじめは借りた部屋が広すぎたと思ったのですが、参加者は徐々に増えて最後は50名近くになりました。近藤正道議員、福島瑞穂議員、金田誠一議員、下田敦子議員、大島九州男議員が参加されました。保安院は核燃料サイクル規制課の金城班長と若手が2人。若手はメモをとるだけで、一人は寝ていて、サーファーの方に注意を受けていました。

■原燃報告書について

 はじめに原燃の10月27日付報告書について議論がありました。これは、10月10日からの試験について、「不溶解残さ」を入れてたった5バッチ目で白金族元素の堆積による悪影響が出て中断を余儀なくされたとことが記されていながら、まとめには、「妥当性を確認した」との文言が並んでいるという代物です。保安院の金城氏は開口一番でこれを「不可解なもの」として受け取ったと述べました。11月4日の再処理ワーキングの場で原燃は、これはあくまで経過報告である説明し、妥当性についての判断はせず、審議も3時間の予定が2時間で終わったと説明しました。

 ではなぜそのような「不可解なもの」を受け取ったのか、すぐに突き帰すべきではなかったのかと質すと、はじめは、出したものは受け取らないとという意味不明な回答をしていたのですが、最終的に、6月30日の保安院文書に対する回答であるならば不可解であるが、今回は経過報告だからいいんだ、という言い方に変わりました。

 しかし、10月27日の原燃報告はタイトルからして経過報告ではなく、本文も明らかに6月30日の保安院文書の回答として書かれています。その結論は、保安院から出された2つの宿題に対し、それぞれ妥当性が確認されたとあります。原燃は明らかに6月30日の回答として提出したのです。ところが、保安院が一部報道で不十分だとのコメントを流したために、社長会見で慌てて経過報告と言い換えたというのがこの間の経緯でしょう。

 こうした点からあらため問い質すと金城氏は、もし保安院が受け取らなければ、原燃の報告は公開されませんでしたよ、それでもいいんですかと、逆に脅し口調に。最後は福島瑞穂議員がまとめて、では保安院は「原燃の報告を受け取ったが、不可解なものであり、とても妥当性を検討できるようなものではなかった」と明確に表明して欲しい、何ならこれからいっしょに記者会見をやりましょう、と迫りました。金城氏は拒否し続けました。

■不溶解残さについて

 金城氏はまずガラス固化すべき高レベル廃液に不溶解残さが含まれることが再処理事業指定申請書にあることは認め、アクティブ試験はこれを入れた廃液で行わなければならず、最後に行う法定検査もそうだということを確認しました。ただ、試験は段階的に行えばよいとし、第5ステップの途中になってはじめて不溶解残さを入れた原燃をかばっていました。

 原燃が第4ステップで不溶解残さを入れなかった件について、保安院はこれを承知していたのかと聞くと、知っていたと。では、核燃料サイクル安全小委員会や再処理ワーキングの委員はどうかと聞くと、そのようなことを報告した記憶はなく、知っている委員も知らない委員もいるだろうと。知っているというのは、再処理に明るい先生方が独自に情報を得たかもしれないということなので、基本的には委員の先生方に知らされていなかったということになります。これがいかに不可解で異常であるのかについては、小山さんの報告にあるとおりです。

 また、原燃が第4ステップでは入れなかった理由に、不溶解残さがまだ溜まっていなかったと言っている点について、金城氏は原燃をかばう口ぶりでしたが、美浜の会の小山さんが、原燃のデータ(白金族元素の移行率)からそれはありえないことを示しました。

■またもや白金族の影響で止まってしまったことについて

 金城氏は、今回の試験について、問題はあるが昨年暮れに止まった第4ステップのときよりはましだという認識を示しました。これには一同驚き、たった5バッチで止まったうえに攪拌棒が入らないという状況なのにその認識は甘いのではないかという声があがりました。

 アクティブ試験については、ガラス溶融炉が使い物にならないということが確認できたことを成果として確認したうえで終わりにしましょうという発言があり会場から拍手が起きました。金城氏は、最終報告を待つと繰り返し述べていました。

以上



(08/11/17UP)