原子力安全・保安院長 松永 和夫 様 日本原燃は、ガラス固化体を十分に冷却できないような貯蔵施設を設計・施工していたことが明らかになりました。貴院が、このような設計を無批判に許可したことに、強く抗議します。 日本原燃は「設計ミス」の原因を、空気冷却の性能を計算する際に、元請会社が「文献式の解釈を誤って計算」したためであるとしていますが、これは明らかなごまかしです。冷却空気の流路を新たな設計に変更した際、明らかに流路の断面積が著しく狭まっています。ガラス固化体の温度が前の設計より高まることは、計算するまでもなく明らかです。ところが日本原燃は、前とまったく同じ温度で変更申請を出し、貴院は、それに何の疑いをもつこともなく許可したのです。 「文献式の解釈を誤って計算」すると、どうして変更前とまったく同じ温度になるのでしょう。計算結果とはかかわりなく、温度の数値を前と同じにして申請したとしか考えられません。今回の記者発表でも認めている「施工性の向上を図る」ことが、日本原燃の変更の唯一の目的だったに違いありません。 六ヶ所再処理施設内の3つのガラス固化体貯蔵施設には、約8,200本のガラス固化体が貯蔵されます。そこには、わが国の全原発が産み出す放射能の9〜10年分が含まれています。その膨大な崩壊熱を取り去るために、冷却性能が重要なことはいうまでもないことであり、この施設は「安全上重要な施設」に選定されています。 その重要施設の冷却性能に関しての「設計ミス」は、ウラン試験の前に発見されていなくてはなりません。また、問題が明らかになると、今度は元請会社に責任を押し付けるというのでは、使用済み核燃料プール水漏れの際と変わりのない責任転嫁の体質を、日本原燃は示しているのではないでしょうか。水漏れ事故以降、あれほど「全社一丸となっての品質保証体制」を謳ったはずなのに、肝心の「品質保証体制」がいっこうに機能していないことが、またしても露呈されました。そのことを今回も日本原燃は認めています。ところが他方、ウラン試験は継続するとしています。 私たちはあらためて、再処理工場という極めて危険な施設を扱う日本原燃の管理・運営能力と企業姿勢に強い不安と危機感を覚えます。 日本原燃に対して、貴院はその「設計ミス」の真の原因を明らかにさせ、それを公にするべきです。同時に、貴院自らがこのような設計を無批判に許可したことの責任を明らかにするべきです。 日本原燃に対し、ただちにウラン試験を中止するよう指示してください。 2005年1月28日 再処理とめよう! 全国ネットワーク (〒039-3215) 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方 核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会 代表 荒木茂信 再処理工場について考える農業者の会 会長 哘 清悦 核燃を考える住民の会 代表 山田清彦 平野良一 山内雅一 【再処理とめよう!全国ネットワーク・連絡団体】 花とハーブの里 みどりと反プルサーマル新潟県連絡会 グリーンピース・ジャパン グリーン・アクション 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 脱原発ネットワーク・九州 |