貴社は、3月11日に、臨界管理の基本にかかわる重大なミスをおかしました。ウラン・プルトニウム混合粉末の入った脱硝皿に、さらに2重に混合液(MOX溶液)を供給したということです。同様の「異常事象」は昨年11月にフランス・アレバ社のカダラッシュMOX燃料工場でも起こっていますが、そこでは国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル2とされ、「安全文化」にかかわる重大な事態と捉えられています。 いつものことながら、貴社の公表の仕方には、事実を人々に分かるように正確に伝えるという基本姿勢が著しく欠如しています。具体的に何がどのように起こったのか、貴社の発表文だけからはほとんど何も把握できません。また、新聞報道を見ても、今回は特に事実関係が分かりにくい内容になっています。そのような説明しか貴社はしないまま、ただ安全上の問題はなかったという印象だけを人々に与えるやり方がなされています。まずは、このことに強く抗議します。 今回の事態は、全自動工程における温度警報に端を発しています。脱硝皿の温度を測定する温度計が突然警報を発したのです。しかし、なぜ温度計が異常警報を発したのか、その原因が分からないままに、全自動を半自動に切り替えて運転を継続しました。混合脱硝工程という重要な工程で、異常発生の原因も把握できないままで運転を継続したのは安全性をないがしろにするものです。スケジュール優先の措置がとられたということです。 次に、半自動工程になったために、作業員が指示を出したり事実確認をする必要が生じ、そここで2重のミスが起こっています。脱硝工程を終えた脱硝皿を移動する指示が出されず、次に混合液を供給すべき皿が空であることを作業員が確認することを怠ったのです。さらに、このようなミスがあることに気づいたのは別の作業員だったということです。温度警報からこの確認まで1時間半が経過していますが、その間の具体的な経過が明らかにされていません。 一つの脱硝皿にウラン・プルトニウム混合溶液を2重に供給するなどということは、臨界事故防止の管理の基本に反することです。安全管理に不可欠な重要な位置を占めているはずの貴社の保安規定に違反するという重大事態を起こしているのです。 貴社は「今後は、誤供給が起きないよう、手順の見直しや設備の改善等を行うことを考えています」と、いつものように直ちに対症療法的な方向に言及しています。しかし、なぜ温度警報の原因も不明のまま運転を継続したのか、なぜ2重の管理ミスが起こったのかなどを徹底調査し、管理上・システム上の根本的欠陥を解明することを優先すべきです。 私たちは、このような重大な事態を起こした貴社の姿勢に強く抗議するとともに、以下の点を要請します。 1.「安全文化」にかかわる問題が生じたことに鑑みて、アクティブ試験を直ちに中止すること。 2.今回の事態を起こした管理上・システム上の根本的な欠陥を明らかにすること。 3.今回の事態について、詳細な事実関係と原因を公的な場で説明すること。 4.貴社の「トラブル等事例集」では今回の事態は想定されていない。No.7−09では「脱硝粉取扱い量は変化しないことから、臨界等の事象は発生しない」と書かれている。それなら、臨界の起こりうる具体的な条件とその防止策について明らかにすること。 2007年3月19日 団体名(65団体): 花とハーブの里/核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会/再処理工場について勉強する農業者の会/核燃止めよう浪岡会/PEACE LAND/「六ヶ所ラプソディ」を青森で観る会/青森県保険医協会(以上青森県)/三陸の海を放射能から守る岩手の会/こどもたちの教育と未来を考える会/遠野核燃研究会/岩手有機農業研究会/非核平和ケセン人(以上岩手県)/地球とともに/三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(通称:わかめの会)/東北の海と山に守られる会(通称:南風座)/三陸の海を守る気仙沼・本吉の会(以上宮城県)/脱原発福島ネットワーク(福島県)/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/原発反対刈羽村を守る会(以上新潟県)/反原子力茨城共同行動/脱原発とうかい塾(以上茨城県)/東京電力と共に脱原発をめざす会/ソーラーネット(以上埼玉県)/核燃やめておいしいごはん/原発いらない!ちば(以上千葉県)/原発・核燃とめようかい/グリーンピース・ジャパン/脱原発・東電株主運動/福島老朽原発を考える会/ふぇみん婦人民主クラブ/日本消費者連盟/たんぽぽ舎/いろりばた会議/都労連交流会/劣化ウラン研究会/福島原発市民事故調査委員会/チェルノブイリ子ども基金/反原発出前のお店/とめよう原発せたがやネットワーク/グローバルピースキャンペーン/ハーモニクスライフセンター/原発を考える品川の女たち/原水爆禁止調布市民会議/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議/ストップ・ザ・もんじゅ東京/大地を守る会(以上東京都)/下北半島と神奈川を結ぶプロジェクト(神奈川県)/浜岡原発を考える静岡ネットワーク(静岡県)/核のごみキャンペーン・中部(愛知県)/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜(岐阜県)/グリーン・アクション(京都府)/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)/プルトニウム・アクション・ヒロシマ(広島県)/ウラン残土市民会議(鳥取県)/原発さよならネットワーク高知(高知県)/たんぽぽとりで/脱原発ネットワーク・九州/九電消費者株主の会/北九州から脱原発社会を考える会(以上福岡県)/からつ環境ネットワーク/R−DANネットワークさがんもん/まつらネットワーク/Thinkプルサーマル(以上佐賀県)/原発なしで暮らしたい・長崎の会(長崎県)/ 連絡先: 花とハーブの里 〒039-3215 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方 Tel/Fax: 0175-74-2522 三陸の海を放射能から守る岩手の会 〒020-0004 岩手県盛岡市山岸6-36-8 永田文夫方 TEL/FAX:019-661-1002 グリーン・アクション 〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL:075-701-7223; FAX:075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 〒530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3F TEL06-6367-6580/FAX06-6367-6581 |