日本原燃への要望書
六ヶ所再処理工場・アクティブ試験における8月18日夜のEモニタ指示の異常は
主排気筒から放出された放射能が地表面を漂う危険性を示しています
アクティブ試験を中止し、被ばく評価を検討しなおしてください


日本原燃株式会社 代表取締役社長 兒島 伊佐美 様

 8月18日の23時ごろ、高レベル廃棄物貯蔵管理センターのガラス固化体貯蔵建屋に設置されているシャフトモニタ(Eモニタ)が、通常レベルの約2倍に達する異常な指示値を示しました。貴社の説明によれば、その異常指示は、主排気筒から放出された放射性物質(放射能)が、貯蔵建屋の冷却空気に入り込んだためであるということです。
 これが事実なら、高さ150mもある主排気筒から放出されたクリプトン85などの放射能が、すぐ足元の地表面近くにまで降下してきたことを意味します。この降下現象は、建屋より西に流された放射能が風向きが東向きに転じたことによって吹き戻され、建屋を横切るように漂ったためと思われます。これにより、敷地内で働く人たちや、敷地周辺の住民が被ばくした可能性があります。
 しかし、貴社の被ばく線量評価では、このような吹き戻しの挙動はいっさい考慮されていません。そのため、この問題に関する疑問点を以下に記し、それに関する要望をしますので、9月20日までに文書で回答されるよう要請します。

疑 問 点

1.放射能が吹き戻しにより降下した事実について
 Eモニタの設置されているガラス固化体貯蔵建屋は主排気筒より西方向に360mほど離れた位置にあります。Eモニタ指示値が立ち上がりかけたのは22:30ごろで、それより前の22:00から風は東に向かって吹いていました。つまり、22:00以降に主排気筒から放出された放射能が建屋に入ったということはあり得ません。
 また、貴社は静穏は21:40ごろに始まったと考えているようです。静穏が始まる21時台より前は、風は西方向に向かって吹いていました。
 したがって、静穏より前に主排気筒から放出された放射能は建屋より西側に流れていたことになります。その放射能が、静穏を境に風向きが東向きに転じたことによって、吹き戻され敷地内を漂いながら建屋内に入ったのではないでしょうか。

2.Eモニタ以外のモニタの記録について
 Eモニタは、このような主排気筒からの放射能を検出するのが本来の役割ではありません。他に敷地内のモニタリングポストMP1〜MP9と敷地外の3つのMPにガスモニタが設置されていて、主排気筒からのクリプトン85の空気中濃度を測定しています。Eモニタが立ち上がったころの各ガスモニタ一つ一つのデータを数値の時系列で示してください。
 Eモニタとガスモニタそれぞれの測定器の機種と型番を示してください。

3.Eモニタ指示値の中断について
 Eモニタの指示値が、最近何度か中断しています。私たちが知っているだけの9月7日までの段階で、次のように中断しています。
    ・8月25日、10:10〜11:20: 約1時間10分
    ・9月4日、9:20〜15:40: 約6時間20分
    ・9月5日、9:20〜16:10: 約6時間50分
    ・9月6日、9:20〜16:30: 約7時間10分
    ・9月7日、9:30〜17:40: 約8時間10分
 これらの中断は何のためで、その中断の間に何をしているのですか。この中断については青森県や六ヶ所村の了解を得ているのですか。

4.被ばく評価について
(1)排気筒の足元とも言える位置の地表面に、主排気筒から放出した放射能が吹き戻しなどにより降下したのは事実です。つまり気象条件によっては、敷地内や敷地周辺に放射能が降下して従業員や住民を今後も被ばくさせる可能性のあることが明らかになりました。この危険性に対して、何らかの新たな対策を立てる必要があるのではないでしょうか。
(2)貴社のこれまでの被ばく評価では、このような吹き戻し効果などによる放射能の降下はいっさい想定していないのではないでしょうか。
(3)貴社の被ばく評価は気象指針に基づいていますが、この新たな事実は気象指針の不備を示しているのではありませんか。

要 望 事 項

1.上記の疑問点に答えてください。

2.アクティブ試験を直ちに中止し、被ばく線量に関する評価を根本から検討しなおしてください。


2006年9月8日

提出団体
核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会/核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団/核燃止めよう浪岡会/核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会/核燃を考える住民の会/再処理工場について勉強する農業者の会/花とハーブの里/PEACE LAND/
三陸の海を放射能から守る岩手の会/豊かな三陸の海を守る会/三陸の海を守る気仙沼・本吉の会/三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会/
グリーンピース・ジャパン/原発を考える品川の女たち/ストップ・ザ・もんじゅ東京/東京電力と共に脱原発をめざす会/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会/
浜岡原発を考える静岡ネットワーク/核のごみキャンペーン・中部/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜/
グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/
脱原発ネットワーク・九州/からつ環境ネットワーク/たんぽぽとりで/原発なしで暮らしたい・長崎の会/株式会社ウインドファーム/スロービジネススクール/チェルノブイリ友の会

連絡先
 花とハーブの里
  〒039-3215 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方 Tel/Fax: 0175-74-2522
 三陸の海を放射能から守る岩手の会
  〒020-0004 岩手県盛岡市山岸6-36-8 永田 文夫方 TEL/FAX:019-661-1002
 グリーン・アクション
  〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL:075-701-7223; FAX:075-702-1952
 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
  〒530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3F TEL06-6367-6580/FAX06-6367-6581