六ヶ所再処理工場で6月24日に起こった内部被ばく事故に関して、当会とグリーン・アクションは共同で原燃に質問書を出していた。7月25日に出した質問書に対する回答が、10月5日付で送付されてきた。質問書提出から2ヶ月以上もたってからの回答である。これほどまでに遅い回答に対して、まず抗議する。 回答の内容については、全体として質問に対する答えになってない部分もあるが、原燃の「事故報告書」(7月3日付) には書かれてない今回初めて明らかになった点もいくつかある。原燃の文書回答だけでは意味がつかめない点などもあったため、何度が原燃に電話で確認もしたため紹介が遅れた。原燃の回答に即して、当会のコメントを記している。 原燃は、内部被ばく事故の起こった第15分析室の事故当時の空気中放射能濃度に関して、これまで明らかにしていなかった数値を回答してきた。原燃が示した数値を基に、事故当時の空気中のアルファ核種(プルトニウム等)の濃度を計算すると、国が定めている基準(線量告示:科技庁告示13号第7条)の3倍にも達していたと推定される。しかし、現在の法令では、3ヶ月の平均濃度で規制されているため、一時的に高い汚染があっても法令違反にはならない。規制があってなきものの象徴である。 また、原発の基準と照らせば、全面マスクを着用しなければならないほどに汚染されていたことになる。それほどまでに、内部被ばく事故の起こった部屋が汚染されていたことを示している。当然作業員はマスクを着用していなかった。そして原燃は、内部被ばくはなかったと結論づけてしまった。原燃の回答そのものが、ずさんな安全管理・被ばく管理を改めて浮きぼりにしている。この点については特に、質問7への回答のコメントに記している。 2006年11月2日 |
|||||||||||||||||||||||||||
6月24日の内部被ばく事故などに関する質問書 2006年7月25日 日本原燃(株)社長 兒島伊佐美 様6月24日に起きた内部被ばく事故から1ヶ月が経ちましたが、事故の実態や真相に関していまだ明らかにされていないため、質問書を提出します。 回答は8月8日までに文書でお願いします。 回答されるまでは、アクティブ試験の第2ステップに移らないことを強く要請します。 1.6月24日の事故で「内部被ばくはなかった」と断定したことについて (1)糞からプルトニウムが検出されなければ、内部被ばくは絶対になかったと断定できるのか。 (2)肺にプルトニウム微粒子が1個入り、それが口に戻されず、したがって糞で検出されないような可能性は否定できないのではないか。 (3)直径5ミクロンのプルトニウム微粒子1個を吸い込んだだけで2ミリシーベルト以上の内部被ばくになるのではないのか。 Q1 (回答) 6月24日の事象の際に、バイオアッセイ測定を行いましたが、バイオアッセイ試料である糞中にプルトニウム等の放射性物質は検出されなかったことから、内部被ばくはなかったと評価しています。 また、バイオアッセイ測定結果の妥当性については、国の委員会の場においても、内部被ばく線量評価の専門家により確認されています。 [コメント] これは質問への回答になっていない。バイオアッセイでプルトニウム等が検出されなかったために、内部被ばくはなかったとこれまでの主張を繰り返しているだけ。 2.事故当時のマスク着用について (1)隣の第22分析室ではマスクを着用していなかったのか。 7月3日報告書(19頁2行目)では、「12:10頃 第22分析室内分析作業員に半面マスク着用指示」となっており、マスクを着用していなかったことを示唆している。 (2)この部屋は、5月に内部被ばく事故のあった部屋で、マスク着用を約束していた。約束違反ではないのか。 Q2 (回答) 同室においては5月の放射性物質の体内取り込み事象を踏まえ、フード作業を行う場合の半面マスクの着用を指示徹底しておりました。 なお、ご指摘の「半面マスク着用指示」とは、フード作業以外の作業にあたっていた作業員への指示を意味します。 [コメント] 5月の内部被ばく後に取った対策は、第22分析室では「フード作業者のみに半面マスク着用義務」を出していたとのこと。第22分析室にいた、フード作業以外の作業員に対して、「半面マスク着用指示」を出していなかったことを示唆している。 3.貴社のマスク着用基準について (1)日本原子力技術協会(理事長:石川迪夫)が7月12日に出した「作業安全に関する特定評価報告書」の4頁では「作業に熟達した後は、本来の半面マスク着用基準に合致した運用に戻すことが望ましい」と記載されている。本来の半面マスク、全面マスクの着用基準を示すこと。 Q3 (回答) 放射線管理区域内で作業を行う場合、放射線管理計画を策定することとしており、放射線管理部門の承認を得た後、作業を開始できるという流れになっております。 本計画にて、空気中の放射性物質濃度レベルに応じて半面・全面マスク等の放射線防護措置を定めることとしております。 [コメント] 質問しているのは、マスク着用基準の数値だが、それには一切答えていない。 ちなみに、1983年頃からの東京電力の福島第1原発でのマスク着用基準は以下のようになっている。 全面マスク α核種の場合 7.4×10-9Bq/cm3〜7.4×10-8Bq/cm3 エアラインマスク α核種の場合 7.4×10-8Bq/cm3以上 4.分析室への入退室時の、身体汚染の測定について 7月3日の報告書では、「フットモニタ」で作業員の靴底が汚染されていたことから、手や作業服のサーベイを行ったと書かれている。 (1)分析室への入退室時には靴底を測定するだけか。手の汚染は測定していないのか。 (2)手の汚染も同時に測定する装置は置いていないのか。 (3)靴底に汚染がなければ、手の汚染もないことになっているのか。 Q4 (回答) 管理区域内での身体の汚染サーベイは、早期に汚染を発見することを目的に以下のように管理しています。 ・最終的に管理区域から退出する場合は、退出モニタにて全身をサーベイしております。 ・管理区域は汚染のリスクに応じて、通常、人が立ち入る場所をグリーン区域とイエロ区域に区分しており、イエロ区域からグリーン区域へ退域する場合においては、ハンドフットクロスモニタにて手、靴底、肘、膝等をサーベイしています。 ・分析室から退室する場合には、フットモニタにて靴底をサーベイしています。 また、汚染を伴う作業を実施した場合には、その都度身体サーベイを実施しています。 このように管理区域内では随時チェックポイントを設けて、万一汚染が発生した場合においてもその早期発見及び汚染拡大防止に努めております。 [コメント] 分析室から退出する場合は、フットモニタで靴底を測定しているのみだ。手で行う分析作業の実態からして、手の汚染をチェックしていないことは、極めて不十分な対策しかとられていないことを示している。 5.作業員が汚染した経路について (1)貴社は8枚目の試料皿が汚染源だと認めている。そうであれば、8枚目の試料皿に触れた時に作業員は汚染したのではないか。なぜ16枚目の試料皿をセットした際に初めて汚染したと想定するのか。 (2)8枚目の時、手が汚染していれば、その後に触れた皿やテーブル表面等が汚染し、汚染は広い範囲に広がっていたのではないのか。 Q5 (回答) 8枚目を計測した後、当該作業員は第15分析室から第22分析室へ移動しておりますが、その間のフットモニタで汚染が検出されなく、また、手が接触することとなるドアの表面密度を測定した結果、検出限界値未満であったことから、16枚目で汚染したと判断しました。 [コメント] 汚染源であったのは8枚目の試料皿であるため、その8枚目の試料皿に触れた直後に汚染したのではないかと問うているが、それは否定している。まず、8枚目の試料皿を測定した後に作業員が移動しているが、その時に靴底の汚染が検出されていないことを理由にしている。しかしこの時、靴底が汚染されていないことをもって、手も汚染されていなかったと結論づけることはできない。次に、隣の部屋へのドアの表面密度を測定したが検出限界未満であったことを理由にあげている。しかし、ドアのどの部分を測定したのか等、具体的なことは不明。これだけの理由で、汚染源ではない16枚目の試料をセットした時に汚染したと断定するのは根拠薄弱だ。 6.パソコンのキーボードやテーブル表面等の汚染について (1)7月3日の報告書では、パソコンのキーボードやテーブル表面等も汚染していたと書かれている。しかし、いつどのようにしてこれらが汚染したのかは何も書かれていない。これらは、いつどのようにして汚染したのか。今回の事故以前から汚染していたのか。 Q6(回答) 16枚目の測定後に作業者がパソコンのキーボード及び作業テーブル上のピンセットに触れており、その際にキーボードや作業テーブル表面が汚染したと考えております。 [コメント] 16枚目の試料皿測定後に作業者がパソコンのキーボードなどに触れたため、それらで汚染が見つかったという。しかし、原燃の「事故報告書」添付資料−5の時系列では、作業員は16枚目の試料皿を測定器にセットした直後に部屋から退出している。その退出時にフットモニタで靴底の汚染が確認されている。 時系列では、10:35頃から11:40頃に9〜15枚目の試料皿をセットし、最後に16枚目をセットしている。そして11:40頃にフットモニタで汚染が確認されている。原燃の時系列からは、作業員は16枚目をセットしてすぐに退出するためフットモニタに乗ったと読みとれ、その間に、パソコンやピンセットに触れた事など「事故報告書」には一言も書かれていない。また「事故報告書」の添付資料−13「当該分析作業員の動線(推定)図」によれば、作業員は16枚目の試料皿をセットした後にパソコンなどには触れていない。またパソコンは、作業員の動きを示した動線と比べても離れた位置にある。 16枚目の試料皿測定後にキーボード等に触れたというのは、いかにも不自然である。 7.事故直後の第15分析室の放射能濃度の測定値について (1)7月3日の報告書では、第15分析室の放射能濃度測定値については、6月20〜27日の1週間の平均値が書かれている。しかし、隣の第22分析室の放射能濃度測定値については、事故当日の12:24に測定した値として検出限界値未満と書かれている。事故の起きた第15分析室でも、事故直後に部屋の濃度を測定しているはずだ。事故直後の第15分析室の放射能濃度測定値の最高値はいくらか。 Q7−1(回答) 事象発生後、当日12:24に第15分析室の空気中の放射性物質濃度を測定しています。その結果、天然放射性核種を含む測定結果は以下のとおりです。 α :1.9×10-8Bq/cm3 β(γ):6.4×10-9Bq/cm3 [コメント] ■事故時の空気中のアルファ核種濃度は、国の基準の3倍と推定される ■原発の基準では全面マスク着用が必要なほど汚染されていた この回答の数値は「事故報告書」には書かれていない。事故が起こった部屋の事故当時の汚染数値は、最も重要なもの。そのような重要なデータを、質問しなければ答えないとは、原燃の情報非公開の姿勢をものがたっている。 「事故報告書」では、第15分析室の空気中放射性物質濃度は、6月20日10:00〜6月27日10:00の1週間の平均濃度のみが公表されていた。他方、隣の第22分析室の空気中濃度は、事故当日の6月24日12:24の測定値に関してα、β(γ)とも「検出限界値未満」となっていた。
[原発の場合の全面マスク着用基準]
今回の回答では、空気中のアルファ核種の濃度について「当日12:24に第15分析室の空気中の放射性物質濃度を測定」した数値として示されている。これを見れば誰でも事故最中の12:24時点の数値と思うだろう。しかし、「事故報告書」の1週間の平均値と大差がない。常識的には考えにくいことである。そのため電話で確認すると、回答した値は瞬間値ではなくて、6/20〜6/24の12:24までの平均値だという。事故前の分も含めた平均値であるため薄められている。事故前1週間のアルファ核種の空気中濃度は、検出限界以下であったという。あくまでも、事故当時の空気中アルファ核種の濃度について公表しようとしない。これが原燃の情報公開の姿勢だ。よほど濃度が高かったため公表できないということか。 そのため、こちらで計算をしてみた。 ・原燃によれば、16枚目の資料皿に触れた時に汚染したということなので、6月24日の11時頃と想定する。 ・事故以前の空気中アルファ核種濃度は検出限界以下であるという。 ・今回の回答は6月20日の10:00〜24日の12:24の平均値 これらを基にすれば、内部被ばく事故が起きたとされる24日11時30分の空気中濃度が推定できる。計算結果は、 ・アルファ核種の場合2.1×10-6Bq/cm3にもなる。 ・β(γ)の場合 7.0×10-7Bq/cm3 このアルファ核種の濃度は、線量告示で定められている「放射線業務従事者に係る濃度限度」(科技庁告示13号 第7条)[αの場合7×10-7Bq/cm3]の3倍にも達している。相当にひどいプルトニウムによる汚染があったということを示している。事故当時では、国が定めた基準をはるかに超えてしまっている。しかし、現在の法令では、3ヶ月の平均濃度で規制されているため、一時的に高い汚染があっても法令違反にはならない。規制があってなきものの象徴である。 また、原燃がマスク着用基準を具体的に示していないため、原発のマスク着用基準と比べれば、このアルファ核種の濃度は、原発の全面マスク直用基準の30倍にもなる。通常、原発の定期検査等では「線量告示」の1/10を、全面マスク着用基準としている。再処理工場で事故が起これば、いかに深刻な汚染になるかを示している。内部被ばくはなかったと原燃が断定してしまった作業員は、マスクもせずにこの部屋で作業していた。 東電の場合でも、原発での全面マスク着用基準は、1983年頃から、アルファ核種の場合、7.4×10-9Bq/cm3〜7.4×10-8Bq/cm3である。 (2)7月7日の「第1ステップ報告書」では、第15分析室の1週間の放射能濃度測定値は、「管理目標値」を上回っていたが、「管理基準値」以内であったと書かれている。また、「その他の建屋については、全て管理目標値未満であった」とも書かれている(16頁)。「管理目標値」は、貴社の保安規定やその下部規定の中でどのような位置づけにあるのか。 Q7−2(回答) 保安規定下部の細則にて「管理目標値」を定めています。「管理目標値」は、作業者の実効線量低減に資する目的で、通常作業者が立入る区域(グリーン区域及びイエロ区域)の放射線環境について、合理的に達成しうる自主的な数値を定めています。例えば、イエロ区域の空気中の放射性物質濃度であれば、「管理基準値」の1/100を「管理目標値」として定めています。 [コメント] 「管理目標値」の規定が初めて示された。「管理目標値」は「管理基準値」の1/100だという。今回の被ばく事故では、この「管理目標値」以上に汚染されていた。「管理目標値」が保安規定の下部細則で定められているのであれば、今回の事故が保安規定に違反していた可能性もある。 原燃に電話で確認したが、「管理基準値」とは「線量告示」の濃度限度と同じだということだった。それぞれの値は下表のようになる。
また、内部事故のあった第15分析室はイエロ区域とのこと。参考までに、原燃の保安規定から、「管理区域内の区分基準」について、数値をあてはめたものを下記に記す(管理規定の本文は、「線量告示第7条に定める・・・・以下である」などの表現のため、それだけでは具体的数値などが分からないため)。 「別表43 管理区域内の区分基準(92条関係)」より
8.前処理をしていない高濃度の溶液から作られた試料皿について (1)16の試料皿のうち、前処理をしていない高濃度の溶液から作られた試料皿はどれとどれか。 Q8−1(回答) 8枚目の試料皿のみです。 (2)前処理したものとしていないものが混在していた場合、なぜそうなったのか。 Q8−2(回答) 前処理していない溶液を焼き付けた試料で、フードから持ち出されたものは1枚のみです。他の試料皿は別の溶液を焼き付けたもので、数え落としもありませんでした。 (3)前処理していない試料皿が複数ある場合、8枚目以外の試料皿からもプルトニウムが飛び散った可能性があるのではないか。 Q8−3(回答) フードから持ち出された前処理をしていない試料皿は1枚のみです。 [コメント] 汚染されていた試料皿が8枚目の皿のみであったというのも、初めて明らかになった。「事故報告書」では、非常に曖昧な表現で、汚染された皿が1枚だったのか複数枚だったのか判別しにくいものだった。「事故報告書」がいかに曖昧な書き方をしているかを示している。事故の実相をできるだけわかりにくくすることに腐心していることが分かる。 9.同じ第15分析室にいた原燃の社員について (1)被ばくした作業員といっしょに第15分析室にいた貴社の社員は、何をしていたのか。 Q9−1(回答) 入口に近い側の分析管理用計算機で作業を行っていました。 (2)試料が異常なものだと認識しなかったのか。 Q9−2(回答) 入口に近い側の分析管理用計算機で作業をしていたため、当該試料の測定における異常は確認していません。汚染した作業員がフットモニタで異常を検出した際に初めて異常を認識しました。 [コメント] 原燃の社員が部屋にいたことは「事故報告書」にも書かれていたが、何をしていたのか等の記述が一切なかったため質問した。「分析管理用計算機で作業を行っていた」とのことだが、その作業と、被ばくした作業員の作業との関連などは一切分からない。 10.「百姓に泥」との石川迪夫氏の発言について 内部被ばくは「百姓に泥」との石川迪夫氏の発言を、貴社は妥当だと認めるのか。 Q10(回答) 石川理事長がお話になった比喩等については、理事長のお考えを伝えるための表現として発言されているものと理解しております。従いまして、当社としてはコメントを差し控えさせていただきます。 ただ、理事長がおっしゃられていることは、一般の方々が放射線を受けることと、放射線業務従事者として管理されている職業人が放射線を受けることとは若干意味が異なるのではないか、ということを言われていることだと思います。 今回の放射性物質の体内取り込み事象に関し、地元の方々に大変なご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げるとともに、当社といたしましては再発防止対策を確実に実施し、体内取り込みの未然防止に全力をあげてまいります。 [コメント] 石川氏の「百姓に泥」発言について、コメントを差し控えると言いながらも、原燃独自の解釈を披露している。原燃は、石川氏の発言を、一般人の被ばくと職業人の被ばくは意味が異なると解釈し、再処理工場で働く作業員は被ばくしても仕方がないということを暗に認めている。結果として、石川氏の発言と同じ姿勢ということではないだろうか。 11.海洋への放射能放出について (1)アクティブ試験の第1ステップ期間中に、放射能を海洋へ放出したバッチの数はいくらか。 (2)各バッチについて、放出した月日はいつか、放射能の核種ごとの数値はいくらか。 Q11(回答) 当社としては、海洋放出の放出放射能量の放出実績について、基本的に翌月末にHP上で皆様にお知らせしております。 なお、海洋放出による放出放射能量は、トリチウムが4月:1.7×10の8乗、5月:3.9×10の12乗、6月:1.9×10の13乗となっており、それ以外はすべて検出限界値未満でした。 [コメント] 海洋放出の月日などをたずねているが、一切質問に答えていない。海の汚染を心配する多くの人々の意思を踏みにじるものだ。 12.アクティブ試験の試験項目について アクティブ試験計画書では、主な試験項目として「線量当量率及び空気中の放射性物質濃度確認試験」があげられている。しかし「汚染されたものの表面密度」に関しては、試験項目に入っていない。 「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」の第9条の1項では「管理区域については、次の措置を講ずること」として、「ハ 床、壁その他人の触れるおそれのある物であつて放射性物質によつて汚染されたものの表面の放射性物質の密度が経済産業大臣の定める表面密度限度を超えないようにすること」と定められている。当然その確認が必要なはずだ。 (1)「汚染されたものの表面の放射性物質の密度」が試験項目に入っていないのはなぜか。 Q12(回答) 「汚染されたものの表面の放射性物質の密度」は試験項目に入っておりませんが、作業者の放射性物質の体内取り込み防止及び表面汚染防止の観点から、通常、人が立ち入る管理区域の床面の表面密度を測定し、管理目標未満であることを確認しております。また、表面密度を含む第1ステップにおける管理区域にかかる放射線管理結果を、「アクティブ試験(使用済み燃料による総合試験)中間報告書(その1)」に掲載しております。 [コメント] 「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」では、「汚染されたものの表面の放射性物質の密度」を測定することが義務づけられている。さすがに「測定しない」とは答えられないため、アクティブ試験の試験項目には入っていないが、測定はしているとの苦しい回答。試験項目に入っていないことが、規則違反ではないだろうか。 2006年7月25日 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之 大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581 |