日本原燃(株)社長 兒島伊佐美 様 6月24日に起きた内部被ばく事故から1ヶ月が経ちましたが、事故の実態や真相に関していまだ明らかにされていないため、質問書を提出します。 回答は8月8日までに文書でお願いします。 回答されるまでは、アクティブ試験の第2ステップに移らないことを強く要請します。 1.6月24日の事故で「内部被ばくはなかった」と断定したことについて (1)糞からプルトニウムが検出されなければ、内部被ばくは絶対になかったと断定できるのか。 (2)肺にプルトニウム微粒子が1個入り、それが口に戻されず、したがって糞で検出されないような可能性は否定できないのではないか。 (3)直径5ミクロンのプルトニウム微粒子1個を吸い込んだだけで2ミリシーベルト以上の内部被ばくになるのではないのか。 2.事故当時のマスク着用について (1)隣の第22分析室ではマスクを着用していなかったのか。 7月3日報告書(19頁2行目)では、「12:10頃 第22分析室内分析作業員に半面マスク着用指示」となっており、マスクを着用していなかったことを示唆している。 (2)この部屋は、5月に内部被ばく事故のあった部屋で、マスク着用を約束していた。約束違反ではないのか。 3.貴社のマスク着用基準について (1)日本原子力技術協会(理事長:石川迪夫)が7月12日に出した「作業安全に関する特定評価報告書」の4頁では「作業に熟達した後は、本来の半面マスク着用基準に合致した運用に戻すことが望ましい」と記載されている。本来の半面マスク、全面マスクの着用基準を示すこと。 4.分析室への入退室時の、身体汚染の測定について 7月3日の報告書では、「フットモニタ」で作業員の靴底が汚染されていたことから、手や作業服のサーベイを行ったと書かれている。 (1)分析室への入退室時には靴底を測定するだけか。手の汚染は測定していないのか。 (2)手の汚染も同時に測定する装置は置いていないのか。 (3)靴底に汚染がなければ、手の汚染もないことになっているのか。 5.作業員が汚染した経路について (1)貴社は8枚目の試料皿が汚染源だと認めている。そうであれば、8枚目の試料皿に触れた時に作業員は汚染したのではないか。なぜ16枚目の試料皿をセットした際に初めて汚染したと想定するのか。 (2)8枚目の時、手が汚染していれば、その後に触れた皿やテーブル表面等が汚染し、汚染は広い範囲に広がっていたのではないのか。 6.パソコンのキーボードやテーブル表面等の汚染について (1)7月3日の報告書では、パソコンのキーボードやテーブル表面等も汚染していたと書かれている。しかし、いつどのようにしてこれらが汚染したのかは何も書かれていない。これらは、いつどのようにして汚染したのか。今回の事故以前から汚染していたのか。 7.事故直後の第15分析室の放射能濃度の測定値について (1)7月3日の報告書では、第15分析室の放射能濃度測定値については、6月20〜27日の1週間の平均値が書かれている。しかし、隣の第22分析室の放射能濃度測定値については、事故当日の12:24に測定した値として検出限界値未満と書かれている。事故の起きた第15分析室でも、事故直後に部屋の濃度を測定しているはずだ。事故直後の第15分析室の放射能濃度測定値の最高値はいくらか。 (2)7月7日の「第1ステップ報告書」では、第15分析室の1週間の放射能濃度測定値は、「管理目標値」を上回っていたが、「管理基準値」以内であったと書かれている。また、「その他の建屋については、全て管理目標値未満であった」とも書かれている(16頁)。「管理目標値」は、貴社の保安規定やその下部規定の中でどのような位置づけにあるのか。 8.前処理をしていない高濃度の溶液から作られた試料皿について (1)16の試料皿のうち、前処理をしていない高濃度の溶液から作られた試料皿はどれとどれか。 (2)前処理したものとしていないものが混在していた場合、なぜそうなったのか。 (3)前処理していない試料皿が複数ある場合、8枚目以外の試料皿からもプルトニウムが飛び散った可能性があるのではないか。 9.同じ第15分析室にいた原燃の社員について (1)被ばくした作業員といっしょに第15分析室にいた貴社の社員は、何をしていたのか。 (2)試料が異常なものだと認識しなかったのか。 10.「百姓に泥」との石川迪夫氏の発言について 内部被ばくは「百姓に泥」との石川迪夫氏の発言を、貴社は妥当だと認めるのか。 11.海洋への放射能放出について (1)アクティブ試験の第1ステップ期間中に、放射能を海洋へ放出したバッチの数はいくらか。 (2)各バッチについて、放出した月日はいつか、放射能の核種ごとの数値はいくらか。 12.アクティブ試験の試験項目について アクティブ試験計画書では、主な試験項目として「線量当量率及び空気中の放射性物質濃度確認試験」があげられている。しかし「汚染されたものの表面密度」に関しては、試験項目に入っていない。 「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」の第9条の1項では「管理区域については、次の措置を講ずること」として、「ハ 床、壁その他人の触れるおそれのある物であつて放射性物質によつて汚染されたものの表面の放射性物質の密度が経済産業大臣の定める表面密度限度を超えないようにすること」と定められている。当然その確認が必要なはずだ。 (1)「汚染されたものの表面の放射性物質の密度」が試験項目に入っていないのはなぜか。 2006年7月25日 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之 大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581 |