日本原燃株式会社 社長 兒島 伊佐美 様 貴社は、ガラス固化体貯蔵関連の4つの施設で、信じがたいほどの誤った温度評価を行い、それに基づく設計ミスを犯していました。例えば、再処理施設内の西棟(KBW)では、ガラス固化体の中心温度が430℃で安全だとし、それで原子力安全・保安院から許可も受けていましたが、実はその430℃は間違いで、正しくは624℃にもなることが判明したというのです。温度が600℃にもなるとガラス固化体は軟化しひびわれを起こし、地下での永久貯蔵にはとても耐えられないものになります。そのような設計ミスに基づく貯蔵施設を貴社はつくっていたのです。 なぜそのような誤った温度評価をしたのかと言えば、元請会社が「文献式の解釈を誤って計算した」からだと貴社は述べています。ところが貴社の具体的な説明を読めば、そうではなく、本質的な誤りは、冷却用空気の流れを妨げる迷路板の存在を無視したことにあるのは明らかです。空気の流路に迷路板がないときと同じ断面積を採用して計算しているのです。これのどこが「文献式の解釈」と関係するのですか。 平成8年の変更申請に基づく新たな方式の迷路板に変更すれば、迷路板の部分で空気の流路が著しく狭まることは一目瞭然です。したがって、空気の流れが悪くなるがゆえに、固化体の温度が変更前より上がることは、計算するまでもなく明らかなことです。ところが、変更前と温度の値がまったく変わらないという信じがたい結果を元請会社は出し、それを貴社は、何の疑問を抱くことなく丸呑みしたのです。 プール問題で批判された元請・下請会社への丸投げが、ここでも行われていたということではありませんか。このような問題は、プール問題のときにすべて洗い出されて、解決ずみではなかったのですか。 ガラス固化体は、途方もない放射能の固まりです。再処理施設内の3つの施設に貯蔵される約8200本のガラス固化体は、全国の全原発から発生する放射能の9〜10年分にも匹敵しています。これほどの「安全上重要な施設」を、これだけ軽々しく扱う貴社の姿勢には、誰もが強い疑問と不安を抱かざるを得ません。 貴社は、これら貯蔵施設は、現在ウラン試験を実施中の施設とは「切り離されている」から、ウラン試験は継続してもいいと主張しています。しかし、どちらの施設をつくったのも、「切り離されて」いない同一体の貴社ではありませんか。その貴社の品質保証体制に疑問が生じた以上、ウラン試験を継続していいという主張が成り立たないのは明らかです。 一方では発覚したミスを抱えながら、他方でウラン試験を続行するというのは、事業の進展を急ぐあまり安全性をないがしろにする貴社の「スケジュール優先」の体質そのものではないでしょうか? 私たちは、あらためて、再処理工場という極めて危険な施設を扱う貴社の管理・運営能力と企業姿勢に強い不安と危機感を覚えています。 重大な設計ミスを犯したという事実を真摯に捉えて、ウラン試験をただちに中止してください。 2005年2月1日 再処理とめよう! 全国ネットワーク (〒039-3215) 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方 核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会 代表 荒木茂信 再処理工場について考える農業者の会 会長 哘 清悦 核燃を考える住民の会 代表 山田清彦 平野良一 山内雅一 【再処理とめよう!全国ネットワーク・連絡団体】 花とハーブの里 みどりと反プルサーマル新潟県連絡会 グリーンピース・ジャパン グリーン・アクション 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 脱原発ネットワーク・九州 |