(お問合せ事項) 【西棟(KBW)の2001年(平成13年)7月設計変更について】 1.西棟(KBW)に関する2001年(平成13年)7月の設計変更申請では、ガラス固化体の温度が変更前と同じ値になっています。それが誤りであることは、いまでは、第2資料・表3によって貴社も認めています。それがどういう誤りであるのか、なぜそのような誤りが起こったのかについて、貴社から何も説明がありません。その内容を説明してください。 (回答1) 1.誤りの内容を以下に示します。 「特定廃棄物管理施設のガラス固化体貯蔵建屋B棟及び再処理施設においてガラス固化体を貯蔵する類似の冷却構造を有する設備における崩壊熱の除去解析の再評価結果報告書」 (1/28報告書)に記載している以下の圧力損失計算における文献式の解釈誤りです。 (1)圧力損失を求めるためには、迷路板部の流速を求める必要がありますが、流速を決めるための流路断面積を正しい解釈に基づく値よりも大きい値を用いておりました。 (2)断面が円形の機器を前提として作成されていた式を、冷却空気流路という断面が矩形であるところに適用する際に、矩形の2辺を円の直径に換算する概念(相当直径)を用いておりました。 2.誤りの原因を以下に示します。 (1)元請会社における原因 KBW建屋はガラス固化体の貯蔵密度を増大したために迷路板の寸法形状等の変更等を行っております。冷却空気流量計算プログラムは従来のもの(文献式の解釈誤りが含まれているもの)を転用し、また、プログラムの変更管理及び検証、設計レビューが行われていないために、誤りがそのまま残ってしまいました。 (2)当社における原因 設計変更管理における設計レビューにっいては、ルールが明確でなかったこと、元請会社に先行施設の特定廃棄物管理施設の「ガラス固化体貯蔵建屋」 (以下「EB建屋」という。)の建設実績があったため、元請会杜の設計を信頼していたことから、設計レビューがなされませんでした。 なお、本件は1/28報告書P5〜P6、P20〜P22に記載しています。 2.第2資料・表3の東棟(KBE)の設工認に関する数値は、西棟の2001年(平成13年)変更前の数値と同じはずです。そして、「入口迷路板部圧力損失」が東棟では17Pa、西棟では10Paとなっています。つまり、西棟では、2001年の設計変更によって、空気流に対する抵抗力が下がるという結果になっています。なぜ、どのようにして空気流への抵抗力(圧力損失)が減少したのか、この点を具体的に説明してください。 (回答2) 圧力損失計算を行う際に用いた文献式は、熱交換器の仕切り板部を流れる流体の圧力損失を計算するための式でしたが、これを迷路板の圧力損失計算に転用する際に、その式の意味するところを誤って解釈し、実際より大きい断面積を与えて計算してしまったため、西棟では、2001年の設計変更によって抵抗が減少するという結果を得、圧力損失を過小評価しておりました。 3.西棟での2001年(平成13年)時点での誤りと同様の誤りが他にないことは、どのようにして確認されているのですか。 (回答3) (1/28報告書 P6〜P7) 西棟での誤りは、文献に載っている式を転用して迷路板部での圧力損失を計算するに当たり、その式の解釈を誤り、迷路板部での圧力損失を過小評価したことに起因していることから、特定廃棄物管理施設及び再処理施設を対象に、設工認の安全設計に使用した計算式について、同様の誤りがないことを確認しています。また、設工認の安全設計に使用した解析コードについても確認しています。 これらの確認は、臨界、しゃへい、火災・爆発の防止、耐震、耐圧強度等の各分野に精通した専門知識を有する杜員により実施しています。 計算式にっいては、原子力施設での使用実績、規格・基準類で定められているか等、十分に検証された式であることを確認した上で、ある物質に適用する式を他の物質に転用した揚合等の判断基準の下に、式の解釈誤りのおそれのある計算式について洗い出しを行っています。 解析コードについては、他の原子力施設での使用実績があるか等、十分に検証されたコードであることを確認した上で、そのコードを変更しているものについて洗い出しを行っています。 以上の確認の結果、今回の崩壊熱の除去解析に用いた計算式以外で再確認が必要なものは、計算式が4件、解析コードが3件でしたが、詳細検討を行った結果、その適用に間題がないことを確認しています。 【西棟の特別な危険性について】 4.西棟に関する2001年(H13年)の「貯蔵の効率化」の結果、第2資料・表3の「再評価値」によれば、ガラス固化体や壁の温度が他の建屋と比較して著しく高まる傾向になっています。また、外部に面する壁は、変更前には2重になっていたのに、変更後は地下の壁でも1重になっています。壁にひびが入れば、地下水が直接貯歳ピットにしみ込む危険があるのではないでしょうか。このように「貯蔵効率を上げる」ために危険性を高めたことについてどう考えているのですか。 (回答4) 建物については、地質・地盤調査や過去の地震について調査を行った上で安定した地盤に設置し規格・基準による強度を満足するように耐震設計等を行うこととしており、さらに貯蔵ピット内への侵入水は収集しその発生量を確認して排水できるようになっています。 貯蔵ピット床には勾配があり、貯蔵ピット内の水は集水ピットに導かれて、油分除去系に排出できる設計となっています。 なお、ガラス固化体は収納管内に収納されており直接冷却空気と接触しないこと、また、ガラス固化体はステンレス鋼製の容器によって密封されていること等から、放射性物質が環境中へ放出することがなく、直ちに安全に影響を与えるものではありません。 【1996年(H8年)の設計変更について】 5.貴社の第2資料・表3によれば、東棟(KBE)での「入口迷路板部圧力損失」の設工認の値は17Paとなっています。これは表3の冷却空気流量とつじつまが合うように計算された値のはずです。ところが、15頁の圧力損失の式を用いて「文献式の解釈誤り」を適用しても、とてもそのような値にはなりません。どのようにつじつまが合っているのか、第2資料15頁のBC、LBCや(a、b)などの数値を公表して説明してください。 (回答5) 第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟の入ロ迷路板部の圧力損失(17Pa)は、文献武の解釈を誤って計算した結果ですが、冷却空気流量解析手法については、今回の再評価のなかで正しく実施されていたことを確認しています。 なお、解析の詳細については商業機密に係わる事項であるために公表できません。 設計変更後における迷路板部の圧力損失については、当社で十分に確認した上で国に申請し、詳細に審査していただくことになっています。 6.KBE等の設計者による「文献式の解釈誤り」には2種類ありますが、そのうち決定的だと貴社も認めているのは、本来迷路板部の断面積を採るべきところを、迷路板がない場合の断面積を採用して計算したことです。迷路板による空気の流れにくさを計算するのが解析の目的なのに、迷路板を無視した計算をするなどということがなぜ起きたのですか。それほどに貴社や元請の技術的センスが低いのなら、すべての設計に信頼性がないことになりませんか。 (回答6) 元請会杜の設計担当者は、KBEの設計変更において、迷路板部の設置位置変更に伴い圧力損失計算で考慮する迷路板部の寸法が変わることから、圧力損失を再度計算するために計算プログラムの変更を行いました。 しかし、プログラムの変更作業において、第1にプログラム上の矩形断面の幅「Ds」が管路の圧力損失を求める場合に使用する相当直径と定義されていたこと、第2にプログラムの使用マニュアルの図解に流速の算出に必更な流路断面穣「S」の採り方が明記されておらず、圧力損失を求める際に使用する「θ」の項が「Ds」と迷路板部の寸法(BC、LBC)で作られる流れの縮小変化を考慮した計算項と解釈したことから、流速は迷路板の上流側のものを使用すると考え、迷路板の設置されていない流路断面積「S」を採用しました。 【4月18日付「設計及び工事の方法の変更申請」について】 7.貴社が4月18日に保安院に提出した「設計及び工事の方法の変更申請」について質問します。貴社の今回の変更申請では、外気温度は何度と仮定しているのですか。 貴杜のこれまでの解析では、第2資料・表3にあるように、外気温度を29℃と仮定しています。しかし最近では、六ヶ所の夏季最高温度は34℃を超えるようになりました。さらに地球温暖化の傾向を考慮すれば、29℃ではなくせめて35℃を想定する必要があるのではないでしょうか。この点についてどう考えていますか。また、変更する必要がないというのなら、その根拠を示してください。 (回答7) 解析に用いている外気温度は29℃と設定しています。 この外気温度29℃は、敷地の最寄りの気象観測所であるむつ特別地域気象観測所の気象庁から公表されている3時間ごとの気温を考慮し、これらの気温を高い順に並べ替えたときの上位1%に相当する値です。 ガラス固化体及びコンクリートは長期間の健全性を考慮して設計目標値を定めており、仮に29℃を超える外気温になったとしてもその状態は短期間であることから、ガラス固化体及びコンクリートの健全性に影響を与えるものではありません。 8.貴社の4月18日記者発表では、変更申請の解析結果としては温度だけが公表されています。放射線の外部に漏れる量は前とどう変化したのか、1991年(平成3年)及び1996年(平成8年)の値と比較して公表してください。 (回答8) 高レベル廃液ガラス固化建屋は、1996年(平成8年)に行った高レベル廃液貯蔵建屋との統合により、考慮する放射線の影響が1991年(平成3年)のときと異なるため単純な比較はできません。なお、1991年と1996年のいずれについても再処理施設全体からの放射線(直接線及びスカイシャイン線)による敷地境界での実効線量の最大の地点で年間約O.OO5mSvと評価しています。 以 上 |