せん断の長期中断・異常の理由を公表させ
アクティブ試験の中止、本格運転断念に追い込もう

六ヶ所再処理工場/アクティブ試験の第2ステップ・・異常の連続
◆6週間近くも燃料のせん断を中断(8月19日〜今も)
排気筒からの放射能は風向きが変わって吹き戻された(8月18日)
  ──原燃の被ばく評価はあてにならず──
海洋放出廃液モニタが異常に高い値――「点検のため」?(9月27日)
フランスでの放射能実測は、原燃の被ばく評価の過小を新たに証明


 日本原燃は8月12日からアクティブ試験の第2ステップを開始しました。しかし、8月18日に使用済み核燃料6体をせん断して以降、現在も燃料せん断をストップしたままです。スケジュール等からみて、極めて異常なことです。
 3月末から始まったアクティブ試験の第1ステップでは、2度の被ばく事故や放射能漏えい事故が頻発し、安全管理のずさんさを人々の前にさらしました。第2ステップでは、燃料せん断の中断のほか、原燃が想定していなかった排気筒からの放射能の吹き戻しや、海洋放出廃液モニタが高い値を示すなど、異常が続いています。しかし、その原因等は隠されたままです。燃料せん断の長期中断とたて続く異常の真の理由を明らかにさせましょう。それを通じて、アクティブ試験を中止させ、本格運転を断念させていきましょう。

■ 燃料せん断ストップの理由−「分析作業の練習をしているから」(社長)?!
 9月21日の記者会見で原燃社長は、分析作業がしっかりできるかの試験を慎重に行っているため作業日程が遅れていると話しました。第1ステップで起こった作業員の内部被ばく事故の「再発防止策」として分析作業試験を行うとしていましたが、それが今も続いているというのです。当初この分析作業の練習は、第2ステップ開始の8月12日から約1週間程と報じられていました。実際に8月18日には、6体の燃料せん断を開始しています。しかし、この6体の燃料せん断以降、現在もせん断は中断したままです。
 第2ステップは約2ヶ月半が予定されており、当初の計画では10月末には試験が終了するはずでした。この間に、約60トンの使用済み核燃料をせん断し、プルトニウムの抽出まで進む計画でした。安全性よりスケジュールを最優先にしてきた原燃のこれまでの姿勢からすると、よほど何か深刻な事態が生じているに違いありません。その理由を明らかにすべきです。

■ 排気筒からの放射能は風向きが変わって吹き戻された−想定外の事態
 8月18日の燃料せん断中に、原燃が想定していなかった事態が起きました。燃料せん断によって放射能(クリプトン85)は主排気筒から放出されます。原燃の評価では、150メートルもの高い排気筒から放出されるため、放射能は拡散されることになっています。しかしこの時、主排気筒から東に350メートル離れた高レベルガラス固化体貯蔵建屋のEモニタが高い値を示しました。これは、西向きの風で流されていた放射能が、東向きの風に変わったため、吹き戻されて敷地内のEモニタで計測されたのです。風向きが変わって放射能が吹き戻されるなど、原燃の被ばく評価では考慮されていません。原燃の評価があてにならないことを示しています。
 このEモニタが異常値を示した直後から、燃料せん断が中断されています。関係があるのか等、明らかにすべきです。

■ 海洋放出廃液モニタが異常に高い値−「点検のため」(原燃)?!
 再処理工場は海に大量の放射能を捨てなければ運転できません。原発では規制されている海洋放出の濃度規制も取り払われているほどです。アクティブ試験開始以来、事前にも事後にも通告することなく海に放射能を放出してきました。また、原燃がホームページで公表しているグラフは、平坦なグラフでいつ放出したかがまったく把握できないようになっています。
 しかし、9月27日の昼12時50分頃に異常に高い値が記録されています。原燃はホームページで「27日の再処理施設排水モニタのデータは、同日10:30〜17:30に実施した点検に伴い、モニタの値が変動して表示されています」というテロップを流し続けています。「点検のために異常に高いデータが出ている」とは一体どういうことでしょう。まったく理解できません。なぜ異常に高い値になったのか、濃度はどれくらいなのか、この時海に放出したのか等について具体的に明らかにすべきです。

◆ フランスでの放射能実測は、原燃の被ばく評価の過小を新たに証明
 六ヶ所再処理工場の排気筒は150mと高いので、放射能は遠くへ飛ばされて拡散し、薄まるから害はない。実際、原燃が採用している気象指針のモデルでは、工場敷地付近に放射能は容易に降りてこないので被ばく線量は小さいのです。では、このモデルは本当に正しいのでしょうか?
 実は、フランスのラ・アーグで実測がなされた結果、意外や意外、放射能雲は排気筒近くでも地表面に容易に降りてくることが判明したのです。この事実に照らせば、原燃の計算した被ばく線量が余りにも過小評価になっていることは、いまや誰の目にも明らです。
 フランスでは、コジェマ社や政府関係者、海軍、民間の科学者の団体などで構成する調査グループがこの問題を検討しました。気象指針的なモデルは合わないので捨てることにし、実測値をそのまま認める「別の方法」を採用することで、コジェマ社も含めて2000年に合意されています。
 政府や原燃が6年前のこの事実を知らなかったはずはなく、それを隠してアクティブ試験を強行したことは責められるべきです。事実に基づく「別の方法」に従って被ばく評価をやり直すこと、少なくともそれまで、アクティブ試験は中止すべきです。