国際原子力機関(IAEA)事務局長 モハメッド・エルバラダイ博士殿 私たちは、日本の反核運動に携わる者として核不拡散防止に取り組まれる貴殿の不断の努力に心から敬意を表します。日本へようこそいらっしゃいました! 私たちが手紙をさしあげるのは、IAEAにおけるMOX燃料の核兵器用転換概念を「非現実的」とする、JNFL(日本原燃)の社長によるコメントについてお知らせし、この件についてのIAEAの立場を明確にして頂くようお願いするためです。 日本原燃の兒島伊佐美社長は、11月24日に青森市で開かれた同社の定例記者会見の場において、MOX燃料からプルトニウムを再抽出することは、現実にはまず不可能だと述べています。(脚注1) (六ヶ所再処理工場に関連しての発言。) 兒島社長の発言は、『IAEA保障措置用語集』 [2001年版]の「3. 13転換時間」にある表1「完成したUまたはPu金属構成要素への推定物質 転換時間」に関連した質問に応えてのものです。 兒島社長は記者会見で次のように述べております。 「MOX燃料になっているものを物理的にもういっぺん剥がすことは、或いは、理屈の上では可能かも知れない。しかし、現実から見たときに、それはまず不可能だ。それはすべての設備、また再処理をしていくということになるだろうが、設備や扱いを見ていったときに、MOX燃料からもう一度そういうふうに分離して云々というのは現実としては不可能だ。」(脚注2) この問題についてのIAEAの立場を明確にして頂きたく、お願い申し上げます。 ●『IAEA保障措置用語集』の表1は非現実的なのでしょうか? ●日本原燃社長によれば、MOXからプルトニウムを分離するのは、「現実的に不可能」ということですから、私たちは、MOX燃料の転用や盗難の可能性 について心配すべきでは無いのでしょうか?
連絡先:原水爆禁止日本国民会議 東京都千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館1階 電話 03-5289-8224 ファックス 03-5289-8223 cc: IAEA 理事国 *1: 東奥日報 2006.11.25 *2: 会見参加記者の記録による |