六ヶ所再処理工場での内部被ばく事故を踏まえた青森県知事への要望書
アクティブ試験を中止させてください


青森県知事 三村申吾 様

 六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で、6月24日にまたも放射能を吸い込む事故が発生しました。1ヶ月前の被ばく事故を受けてとられたはずの再発防止策はいったい何だったのかと、今回の事故は大きな衝撃を各方面に与えています。疑問と不安が人々の間に大きく広がっています。 
 19歳の青年が吸入した疑いのあるプルトニウムは肺からリンパ節、肝臓から骨表面へと移行沈着し、40歳を過ぎてもなおアルファ線による被ばくを与え続けます。日本原燃はバイオアッセイ検査を直ちに行うこともしていません。血液検査で「異常がない」などとすぐに発表したのは責任逃れにほかなりません。
 小皿に焼き付けたはずの放射能試料が簡単に飛び散り、床面をも汚染するような検査作業が行われていたのでしょう。このような管理では被服や作業環境が絶えず放射能で汚染されることは避けられません。マスクを付けていなかったことが問題なのはいうまでもないことですが、マスクさえ付ければ済むような問題ではありません。古川六ヶ所村長が「単にマスクを着用する、などということではすまされないと思う」と27日に述べられているとおりです。日本原燃の少なくとも検査作業全体の管理体制・姿勢が問われているのは明らかです。
 今回の事故について、日本原燃はようやく7月3日にホームページで公表しましたが、たび重なるミスは明らかです。

 日本原燃の管理体制や情報非公開の姿勢の問題は、今回にとどまるものではなく、これまでのアクティブ試験の中で、人々の目に如実に明らかになってきています。
 例えば、昨年7月にT字継ぎ手から放射能溶液の漏えいが起こったのに、同種継ぎ手を取り替えようともせず、漏れることを予測し「飛散防止の目的で」ビニールをかぶせていたと6月16日にホームページで説明しています。「予防保全」ではなく、漏れたらその部分だけ取り替えればよいという「事後保全」の考えに立っているのは明らかです。しかし、危険なプルトニウムを含む放射能溶液の除染作業では、県民も含む作業員に被ばくを強制することになるのです。
 この事故も含め配管などの漏えい事故が3回起きていますが、その原因はいまだ何も明らかにされていません。問題を先送りしつつスケジュールを最優先する姿勢は相変わらずです。これでは、どんな危険が起こるか予測もつかないような状態にあります。
 そしてどの事故・トラブルの場合でも具体的な状況説明がほとんど何も行われていません。また、住民にとって重大な関心事である環境への日常的な放射能放出についても、情報を極力抑えています。特に海洋への放出については、測定によって放射能を把握していながら、いつどれだけ放出するのか公表することを避けています。岩手県や宮城県の人たちからの、説明責任を果たせという生活にかかわる心底からの要請にも、日本原燃はいまだ応えようとしていません。

 貴職は6月25日に、「従業員の安全を守れないということは、県民の安全を守れないことにつながる」と言明されました。まさに、今回の事故に事実として現れた日本原燃の体質を、より広い観点から問題にされていると私たちは理解します。
 ちょうど6月26日にアクティブ試験の第1ステップが終了しました。大きな事故を防ぐためには、これまでのアクティブ試験で現れた日本原燃の体質・姿勢を公開の場で具体的にあらいざらい明るみにだすことが必要ではないでしょうか。いまこそ安全協定の第2条、第3条及び第15条などが適用されるべきです。
 日本原燃は、被ばくの防止策を含め青森県など地元の理解も得た上でなければ第2ステップを開始しないとの考えを示したと報道されています。そうならば、これまで噴出した問題について、県民や多くの人たちが納得するまで、アクティブ試験は中止するべきです。
 このような考えに立って、以下の点を貴職に要望いたします。

要 望 事 項

1.前回の被ばく事故のあと、日本原燃は二度と被ばく事故は起こさないと約束しました。ところがそれからわずか1ヶ月でまた被ばく事故を起こしました。マスクの着用を約束していたのに守っていませんでした。このような事態が起きた原因はどこにあるのか、責任はどこにあるのか、また、なぜ放射能が飛び散るような状態が許されていたのか、徹底的に問いただしてください。

2.今回の被ばく事故はもとより、この間の一連の事故に関しての日本原燃の説明はあまりにも簡単・ずさんで、具体的な状況を何もつかむことができません。日本原燃がこのような情報公開の姿勢を改め、迅速・詳細に情報を開示するように、厳重に指導してください。

3.これまでのアクティブ試験の間に3回の放射能溶液漏えい事故、2回の内部被ばく事故を含め10回の事故・トラブルを日本原燃は起こしていますが、それらの原因は何も解明されていません。情報も極力非公開にしています。試験の第1ステップが終了したいま、これらの問題について日本原燃が説明し、疑問に答えるような公開の場を設けてください。

4. 日本原燃の対応については、アクティブ試験安全協定上からも重大な疑義が生じています。安全協定第15条(措置の要求等)「県及び村は、・・・住民の安全の確保及び環境の保全を図るために必要があると認めるときは、再処理工場の運転の停止、・・・等、必要かつ適切な措置を講ずることを日本原燃に求めるものとする」に基づき、アクティブ試験を即時中止させてください。具体的なさまざまな問題点について村民・県民や世論が納得しない間は、再開を認めないでください。

以上
2006年7月4日

花とハーブの里(青森県)
再処理工場について勉強する農業者の会(青森県)
PEACE LAND(青森県)
核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会(青森県)
三陸の海を放射能汚染から守る岩手の会(岩手県)
豊かな三陸を守る会(岩手県)
共生ユニオンいわて(岩手県)
三陸の海を守る気仙沼・本吉の会(宮城県)
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(宮城県)
みどりと反プルサーマル新潟県連絡会(新潟県)
脱原発をめざす新潟市民フォーラム(新潟県)
原発反対刈羽村を守る会(新潟県)
柏崎原発反対地元三団体(新潟県)
プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク(新潟県)
原発いらない!ちば(千葉県)
核燃やめておいしいごはん(千葉県)
グリーンピース・ジャパン(東京都)
福島老朽原発を考える会(東京都)
ふぇみん婦人民主クラブ(東京都)
ストップ・ザ・もんじゅ東京(東京都)
日本消費者連盟(東京都)
ピースサイクル全国ネット(東京都)
東京電力と共に脱原発をめざす会(東京都)
その毒に手をふれるな!自由人達(東京都)
日本キリスト教協議会平和・核問題委員会(東京都)
原子力行政を問い直す宗教者の会(東京都)
人と緑のネットワーク(東京都)
とめよう原発せたがやネットワーク(東京都)
反原発出前のお店(東京)
ナマケモノ倶楽部(東京都)
原子力資料情報室(東京都)
核のゴミキャンペーン(東京都)
たんぽぽ舎(東京都)
大地を守る会(東京都)
原発・核燃とめようかい(東京都)
食政策センター・ビジョン21(神奈川県)
日本キリスト教団神奈川教区核問題小委員会(神奈川県)
月刊「人間家族」編集室(静岡県)
浜岡原発を考える静岡ネットワーク(静岡県)
核のごみキャンペーン・中部(愛知県)
放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜(岐阜県)
グリーン・アクション(京都府)
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン(大阪府)
プルトニウム・アクション・ヒロシマ(広島県)
島根原発増設反対運動(島根県)
ウラン残土訴訟を支える会(鳥取県)
原発なしで暮したい・長崎の会(長崎県)
脱原発大分ネットワーク(大分県)
たんぽぽとりで(福岡県)
写真の会 パトローネ(福岡県)

再処理とめよう!全国ネットワーク

連絡先
 花とハーブの里
 〒039-3215 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方
 TEL/FAX: 0175-74-2522

 三陸の海を放射能から守る岩手の会
 〒020-0004 岩手県盛岡市山岸6-36-8 永田方

 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
 〒530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3F
 TEL:06-6367-6580; FAX:06-6367-6581