大飯原発の断層再調査に関する緊急要望書

◆断層の再調査の実施主体は、またも大飯原発を建設した三菱重工の関連会社です
 原発関連企業ではなく、第三者で実施してください

◆調査・評価に12月末までかけるのではなく
 大飯原発の運転を停止して、早急に調査・評価を行ってください

地震・津波に関する意見聴取会 委員各位
経済産業大臣 枝野幸雄 様
原子力安全・保安院長 深野弘行 様

 本日(7月25日)、関西電力は「大飯発電所敷地内F−6破砕帯の追加調査 実施計画書」を原子力安全・保安院に提出しました。
 この追加調査の内容について、緊急に下記2点について要望します。

 7月17日の「地震・津波に関する意見聴取会」(以下、「意見聴取会」)において、委員の皆さんから再調査の必要ありとの厳しい意見によって、18日に保安院は再調査を指示する文書を関西電力に出しました。この保安院の指示文書は「念のための調査」であることを強調し、F−6断層が活断層ではないと決めつけているかのような内容になっており、委員会で出された委員の意見をねじ曲げたものです。この保安院の指示内容等については、別途私たちの意見をお送りすることにして、今回は、緊急に下記を要望します。

1.再調査の実施主体は(株)ダイヤコンサルタントです。設置許可申請当時にトレンチ調査を行った会社と同じです。この会社は、大飯原発3・4号の建設を行った三菱重工の関連会社です。このような会社が再調査を行うことは、調査の公平性・信憑性に大きな問題があります。
 再調査・評価は、第三者が実施してください。再調査・評価には、「意見聴取会」の委員と、大飯断層問題に警鐘を発している渡辺満久氏(東洋大学・変動地形学)などの専門家を含めるべきです。

 7月17日の意見聴取会では、志賀原発の断層調査も含めて、「特定の人だけに依存しているのではないか」と委員から厳しい指摘がありました。電力会社の調査と国の審査の在り方そのものを批判した意見であり、これは多くの市民、国会議員の率直な気持ちを代弁されたものでした。

 今回関電が発表した追加調査の実施主体は、(株)ダイヤコンサルタントです(関電に確認しました)。この会社は、大飯原発3・4号の設置許可申請当時、問題となっているトレンチ調査を実施した会社です。(株)ダイヤコンサルタントは三菱マテリアル(株)や三菱東京UFJ銀行が株主である三菱グループの企業であり、大飯3・4号の建設を行った三菱重工の関連会社です。このことは、橋本勉衆議院議員事務所への保安院の回答によって明らかになりました(別紙資料1参照)。トレンチの写真を「紛失」したのもこの会社だと推測されます。
 また、大飯原発3・4号の設置許可申請当時、地質などの調査を行っていたのは、関電興業(株)です(現在の社名は関電プラント(株))。これは、関西電力が100%出資する子会社です。
 このように、身内企業や原発を建設する会社の関連企業が調査を行っていたことは、調査の公平性・信憑性に重大な問題があります。それにもかかわらず、今回もまた同一の会社に調査を実施させるなど許されることではありません。

2.原発の運転を継続したまま12月末まで調査に時間をかけるのではなく、原発を止めて、早急に調査・評価を行うべきです。

 関電が公表した「追加調査の実施工程」では、最終報告が12月末、中間報告が10月末となっています。調査はもっと迅速にできるはずです。とりわけ問題になっているF−6破砕帯が走っている箇所のトレンチ調査は、掘削と埋め戻しを入れても1週間もあれば可能だと専門家は述べています。関電の工程表では、トレンチ調査だけでも2ヶ月を要する計画となっています。
 活断層の可能性を残したまま、大飯3・4号の運転が強行されていることによって、地元をはじめ多くの人々が不安と危険を感じながら生活していることを考慮してください。原発の運転を停止しして、早急にトレンチ調査を行い、まずその結果を検討してください。

緊  急  要  望  事  項

1.断層の再調査・評価は、原発関連企業ではなく、「意見聴取会の委員」や大飯断層問題に警鐘を発している渡辺満久氏(東洋大学・変動地形学)などの専門家を含めた第三者で実施してください。

2.大飯原発の運転を停止して、早急に調査・評価を行ってください。


2012年7月25日

グリーン・アクション
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福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
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(12/07/25UP)