政府の「原子力防災法」に反対!


原発強硬推進の露払いをする政府の「原子力防災法」

 私達は政府が今臨時国会に出そうとしている「原子力防災法」(原子力災害対策特別措置法)に反対である。理由は簡単明瞭。それは原発防災や事故再発防止を真剣に考えたものではなく、原発強硬推進を続ける逃げ口上に過ぎないから。
 政府の防災対策の目玉は、防災対策の政府への一元化と自衛隊の出動の二つ。今回の事故で曲がりなりにも350mの避難をさせたのは村である。これが何の根拠もなしに「臨界の収束」を言明し、何の根拠もなしに「安全宣言」を出した政府なら、被曝者はもっと増えていただろう。今回の政府の防災対策は「住民に被曝を強要する」ためのもの。治安対策を優先させたもの。これのどこが防災なのか。


東海村事故の責任を認めず防災対策などもってのほか

 まず政府がやるべきことは、東海村事故の責任の一切を負うことである。それと並んで今政府がやらねばならない事は、防災云々ではない。どうすれば今回の東海村事故のような重大事故の連鎖を断ち切ることができるかであり、その根本原因となっている原発強硬推進策を断念することである。強硬推進を止めること以外に重大事故の再発を防止する有効な対策はない。


反対の理由1:そもそも事故の再発防止を目的としたものではない。今必要なのは重大事故の再発を何が何でも絶対に防止すること。

 何よりもまず第一に、「防災対策」はどんなものであっても、それは重大事故を未然に防ぐものではないという事実である。私達は、結果だけを問題にし原因を全く問題にしない政府の態度こそが大問題だと考える。本末転倒とはこのことだ!今必要なのは事故が起こった後の事後対策をあれこれ考えるのではなく、事故を起こす根本原因をまずは洗い出し、重大事故続発の構造そのものを断ち切ることである。これまでの原子力行政の延長線上で、安全など二の次で原発の強硬運転、世界でも例がない原発拡大増強策をどんどん進めるなら、第二の東海村事故は必ず起こると断言できる。
 東海村事故は、スリーマイル島事故やチェルノブィリ事故に続く、世界的に見ても深刻な重大事故である。我が国だけで立て続けに勃発する重大事故の再発を本当にどうすれば阻止できるのか。そのためには、原子力依存のエネルギー政策を大転換する以外にない。原発を強硬推進しながら、「防災」を繰り返しても、それはマッチポンプでしかない。原発強硬推進のお墨付きを与えるだけのもの。


反対の理由2:防災対策は今度よりもっと悪くなる!!


 今回国会に提案される「防災法案」がその通り実施されると、今回の事故で行われた実際の対策や措置よりも、もっと悪くなる。皮肉や誇張ではなく本当のこと。今回の重大事故がハッキリ証明したのは政府が周辺住民や国民の生命を守らなかっただけではなく、守ろうともしなかったという事実である。彼らは何をしたか。政府がやったのは組閣作業に邪魔になるので「臨界はもう終わった」と拙速の収束宣言を行い、住民を被曝させ続けた事実、根拠のない「安全宣言」を早々と出した事実など、幕引きに躍起になっただけである。「防災法」の実施主体であるこんな政府に、周辺住民や国民の命や健康や暮らしを守る資格はない。
 防災法の要旨を一言で特徴付ければ、事故後の対策の政府による一元管理。事故後に事故対策を政府が一元的に取り仕切ることを決めただけ。350mの避難勧告、10kmの屋内待避も東海村や県が出した。政府・科技庁などにはこれらを「やりすぎだ」と主張する者が多い。私達は10kmを含めてとにかく遠くへ避難させるべきだったと考えるし、だから村や県の対応も根本的に誤っていたと思うが、政府の対応はそれどころか、住民を全く無防備のまま被曝させ続けるものだった。私達はこんな政府に命を預けることなど決してできない。


反対の理由3:原発防災を自衛隊と治安対策強化のダシに利用するなどもってのほか!!

 政府はどさくさに紛れて「緊急事態」を発令し、自衛隊法を改悪して政府対策本部長である内閣総理大臣の一存で自衛隊を自由勝手に動かせるように目論んでいる。原発を強行し増強しておきながら、その結果起こる事故に対しては「治安対策」で対応しようというのだ。原発で重大事故が起これば、数万人、数十万人が一斉に逃げることは目に見えている。政府はこうした被曝者たちを封じ込めるために軍隊を緊急動員できる体制を予め準備しようとしているのである。



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