福井県知事 西川 一誠 様 私たちは、貴職が「もんじゅ」の改造工事を了承したことに強く抗議します。 これは、「もんじゅ」の運転再開に反対してきた福井県民と全国の人々の思いを踏みにじる暴挙です。北陸新幹線や地域振興策とひきかえに、危険な「もんじゅ」の改造工事を進めるものであり、貴職のこの政治手法そのものが福井県民をはじめ全国の人々を愚弄するものです。 そして、わざわざ閉庁日である2月6日(日曜日)に文部科学大臣と会談し、その場で了承を表明しました。まさにこそこそと、そして県民の声を聞くこともなしに強引に了承を表明しました。 2003年1月27日、名古屋高裁金沢支部において、「もんじゅ」の設置許可は無効であるとの判決が下されました。この訴訟では、現在、国の上告により最高裁判所において、3月17日に口頭弁論が予定されています。その後、最高裁の判断が下される見通しです。口頭弁論を目前に控えているこの時期に、改造工事了承を表明したことは、司法の存在を無視する暴挙と言わざるを得ません。 貴職は、昨年8月の美浜3号機事故後、「もんじゅ」改造工事了承の前提として、「原子力全体の信頼回復が必要」、「既存の原発の安全が確保されなければ次の議論に進めない」と言ってきました。しかし現在、美浜3号機事故の責任も明らかにされず、さらに事故の「最終報告書」も出されていません。他方、2月4日には、またしても運転中の美浜1号機で2次冷却水漏れが起こりました。このような状態でどうして「信頼回復」や「安全確保」がなされたと言えるのでしょうか。 高速増殖炉の開発などまったく夢物語にすぎないことは明らかです。10年前のナトリウム漏れ事故のような大事故への懸念なしに安心して暮らせるようにするためには、「もんじゅ」は廃炉にする以外にありません。「もんじゅ」事故は、日本がプルトニウム利用計画から撤退する契機となりました。それに続くプルサーマル計画の破綻が示すように、プルトニウム利用からの「撤退の10年」を重く受け止めるべきです。時代の歯車を後戻りさせるべきではありません。 福井県民と全国の人々の「もんじゅ」を動かすなの声を真摯に受け止め、ただちに改造工事了承を撤回するよう要求します。 2005年2月7日 |