2010年3月26日 |
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福井県知事 西川一誠 様 |
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原子力発電に反対する福井県民会議 | ||||||
グリーン・アクション | ||||||
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 | ||||||
高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開に反対する緊急要望書 |
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「もんじゅ」の運転再開については、多くの県民、周辺住民の不安の声が尽きません。私達は、これまで14年間も停止したままの「もんじゅ」の危険性などを訴えてきました。そして県の最終的な判断が迫られているこの時期になって、原子力安全専門委員会での議論などを通じて、運転再開した場合の「もんじゅ」の危険性がより具体的に明らかになってきています。 県民、周辺住民の安全を第一に考えて、以下の理由により、「もんじゅ」運転再開を認めないよう強く求めます。
3月18日の専門委員会の場で、委員からの質問に対して、原子力機構は「1種類の警報装置が鳴った場合は、『漏えいの疑いあり』と判断し、現場で作業員が白煙等を確認した場合は停止する」と答えました。さらに、国もこれを了承しています。安全委員会は「ナトリウム漏えい信号によって一律に原子炉停止やナトリウムのドレンといった操作を行うことは、主要機器への熱負荷等の影響を生じることにもなる」とする報告書をまとめました。これらは「もんじゅ」機器への影響を最優先にして、「できるだけ止めない」という姿勢であり、地元の福井県民はもちろんのこと周辺住民の安全を最優先する姿勢とはまったくかけ離れたものです。 1995年のナトリウム漏えい火災事故の教訓を踏まえれば、警報が鳴れば原子炉を緊急停止するというのが、基本の基本ではないでしょうか。1種類の警報装置が本当にナトリウム漏えいを伝えた場合、原子力機構のこの手順では、大事故につながり、周辺住民は生命の危険にさらされることになります。また、1種類の警報装置が鳴った場合に、作業員を現場に向かわせ白煙などを確認するというのは、作業員の生命の安全にもかかわります。2004年の美浜3号機2次系配管破断事故で5名もの死者を出した惨事が繰り返されるのではないかと強く憂慮します。 これまで「もんじゅ」が運転を停止している中でも「漏えい誤警報」「警報器の故障」等が頻発しました。しかし今問題になっているのは、「もんじゅ」の停止中ではなく運転中の警報発報の取り扱いについてです。上記のような運転手順で「もんじゅ」を運転再開するなどとうてい許されるものではありません。
阪神淡路大震災や2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発の全号機停止という経験を踏まえると、また1月9日に「もんじゅ」近郊で起きた地震などを考えると、「活断層の巣」とも呼ばれる若狭地域で「原発震災」が現実のものになるのではないかと、県民や周辺住民の不安は尽きません。ご承知の通り、「もんじゅ」は普通の原発と比べて、薄い配管が大蛇のようにくねっており、元々地震に弱い構造となっています。そのため貴職も、耐震安全性の確保をとりわけ重視されています。 しかし、国が了承した「もんじゅ」の耐震安全性評価には大きな問題があります。少なくとも、以下の点を十分に考慮してください。 (1)活断層評価について、変動地形学の専門家の意見を直接に聞いてください。 「もんじゅ」の直下には、白木・丹生断層とC断層の2本の活断層が走っていることが明らかになりました。このいずれかの活断層が動けばマグニチュード6.9の地震が起き、地震のエネルギーは中越沖地震の約1.4倍にもなります。 さらに、原子力機構は山中断層を「文献断層」と決めつけて評価からはずしてしまいました。しかし、国の地震調査研究推進本部は、山中断層の存在を認めています。山中断層を認めれば、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の連動性をも考慮することになり、その場合、100q以上の活断層の連動によってM8.2規模の地震を想定する必要があります。そうなれば、現在の「もんじゅ」の基準地震動760ガルは過小評価となります。地震動評価をやり直すべきです。 これらの問題については、変動地形学の専門家の意見を直接に聞く場を設定して、慎重に判断してください。
しかし、安全側にとるのであれば、少なくとも国の基準である減衰定数3%を適用して評価しなおすべきです。 これらを踏まえ、下記を重ねて強く要望します。 県民や周辺住民の生命の安全を第一に、とり返しのつかない大事故の危険を取り除くため、少なくとも現在の状況では「もんじゅ」運転再開は了承できないと決断されるよう強く要望します。 |
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(10/03/26UP) |