去る7月2日、日本原電敦賀3・4号機(出力153.8万KW−1機につき)増設のための測量工事が遂に開始された。現場は敦賀半島先端、磯浜、断崖、礫浜とつづく変化に富んだ美しい海岸で、若狭湾国定公園第一種特別保護地区に指定されている貴重な海岸である。建設のため破壊される山は7万平方メートル、埋め立てられる海は20万平方メートルにも及ぶ。犠牲となる海の中はまさに海洋生物達の楽園であり、物語"うらしま太郎"の竜宮はこの海であると私は信じている(現場近くの地名、伝説からも推測可能)。 原発増設によって破壊される礫浜は「阿弥陀見」と呼ばれる。昔、この浜には阿弥陀如来像が流れ着き、立石・海安寺の本尊として祀ったとの故事による。 原発によって犠牲となるのは人間だけではない。すでに夥しい数の動植物が住処を追われ死んでいった。物云えぬこれ等動植物達のせめてもの供養の気持ちも含め、私は今「埋立ないで、阿弥陀見の浜」の幟旗を持ち、日本原電敦賀地区本部前に毎日立ちつづけている。 太田和子 |