10月14日、福井県は大飯1号の運転再開を了承した。これによって関電は、運転再開の準備を開始した。私達は、大飯1号の運転再開に断固抗議する。 大飯1号は、関電の配管管理のずさんさが如実に示されていた原発であった。 今年6月からの第19回定期検査では、2次系配管の主給水管エルボ部で、大幅な減肉が見つかった。国の技術基準の必要最小肉厚を大きく割り込んでいた。既に約5年間は違法な運転を行っていたと推測される。関電は、技術基準違反のこの配管を取り替えただけで、他の原発等で同様の減肉が起きていないか等を検討しようともしなかった。このとき、他の原発の配管も検査しておれば、美浜3号機の事故は防げた可能性もあった。大飯1号は、美浜事故を警告していたのである。 美浜事故後、保安院は関電に対し、配管の「余寿命確認」等を指示した。それによって以下のことが明らかになった。 同じ6月からの第19回定検では、大飯1号の2次系配管の低圧第4給水ヒータドレン配管で、配管厚みが4ミリにまで減肉していた。国の基準では、余寿命はわずか4ヶ月であり、配管を取り替えなければならなかった。これは、福島県知事の要請により明らかになった、福島第一原発5号機の配管と同じ状態である。しかし関電は、違う基準を適用し、必要最小肉厚3.8ミリを0.3ミリと勝手に変更し、余寿命は6.2年と計算して配管の取替を行わなかった(読売新聞9月24日付)。まさに確信犯的な行為だ。その代わりに関電は、この配管の外側に肉盛り溶接を行っていた。 何のためにこんなことを行っていたのか。関電は「現場の判断で、念のために行った」、「これによって配管強度が増すわけではない」と説明している。もちろん、配管の外側から肉盛り溶接しても配管の強度が増すわけではない。しかし関電にとって、この肉盛り溶接には利点があった。肉盛り溶接の際に錆防止剤を使用したため、以前の定期検査で測定していた測定点が不明となってしまった。そのため、美浜事故後に運転を停止して行った今回の検査では、過去に測定した同一箇所を測定することができなくなった。これによって、少なくとも過去3回の測定値があるにもかかわらず、最小自乗法による配管の余寿命計算は事実上できなくなった。こうして、別の測定点を実測した値によって、最小肉厚を5.2ミリとし、余寿命を3.3年と「再評価」した(10/8付、関電のプレス発表)。 しかしながら、保安院からの前記の余寿命評価という指摘は認めて、今回の検査時にこの配管を取り替えた。 関電は、このずさん極まりない、確信犯的行為について何一つ反省していない。私達は、大飯1号の運転再開に断固抗議する。また、関電の品質保証は機能していないと評価しながら、運転再開を容認した保安院の責任も重大だ。配管を取替さえすれば、それまで違法運転を行っていても問題にしない保安院の姿勢は、もってのほかだ。 事故によって県民の命を奪われた福井県知事は、大飯1号の運転再開を了承するにあたって、これら関電のずさんな配管管理をどのように評価したのだろうか。福井県は、9月24日に経産大臣に要請書を出した。そこでは、2次系配管の管理の徹底、老朽原発に対する特別な対策等を要請していた。この要請内容からすれば、到底、大飯1号の運転再開を了承できるはずがない。福井県が大飯1号の運転再開を了承したことに、強く抗議する。福井県は、これらについて、県民をはじめ、公に自らの態度を説明すべきである。 |