美浜3号機の破断した配管が未点検だと貴社が知った時期について、
真実を明らかにすることを求める要望書・質問書
−事故の1ヶ月前には貴社は知っていたとの新聞報道に関連して−


関西電力社長 森 詳介 様

2005年8月17日

 8月10日付の読売新聞朝刊は、福井県警捜査本部の調べで明らかになったこととして、美浜事故の直接原因に係る重要な事実を報じています。美浜3号機の破断した配管が28年間一度も点検されていなかったことについて、貴社は事故の1ヶ月前、遅くとも昨年7月中旬には把握していたと報道されています。記事によれば、昨年7月、大飯1号機の主給水系配管で大幅な減肉が見つかり、その水平展開として他の原発の点検を行った過程で、美浜3号機の破断した配管が一度も点検されていなかったことを貴社は知ったとのことです。

 ところが、貴社は、5月13日の私たちとの交渉で、美浜3号機の当該配管が未点検であったのを知ったのは、事故の1週間前だったと回答しました。この時の回答で貴社は、大飯1号の主給水管の「その他部位」で大幅減肉が見つかり、その水平展開として他の原発の点検を指示するため、若狭支社が7月30日に社内文書を出したこと、その指示文書に基づく点検で、7月下旬から8月初旬の間に、美浜3号機の当該配管が未点検であることを確認したと説明してきました。

 上記新聞記事では、事故の1ヶ月前、あるいは遅くとも7月中旬には未点検であることを把握していたとなっています。しかし5月13日の交渉での回答は、7月30日の若狭支社が出した社内指示文書以降に未点検を確認したというものであり、これは明らかに矛盾しています。
 貴社が国に提出した3月1日付の貴社報告書「二次系配管破損事故について」の中でも、また私たちへの説明でも、「8月9日の美浜事故直前に未点検であることを知っていたが、8月14日から始まる定期検査で点検する計画であった」とし、だから事故を防ぐことは不可能だったとする旨の説明を行ってきました。これは、作り話だったのでしょうか。

 大飯1号機の主給水管の「その他部位」で大幅な減肉が起こったことは、予想を大きく超えた驚くべき事実でした。そのため私たちは、直ちに他の原発の配管も点検して減肉の有無を確認し、配管破断事故を防ぐよう貴社に何度も要求しました。この大飯1号機の大幅な減肉は、美浜3号機事故の予兆であり警告そのものだったのです。美浜3号機で、事故の1ヶ月前に、28年間も点検されていないことを知っていながら何の措置もとらなかったとなると、貴社は事故の可能性を知りながら放置したことになります。そうであれば、刑事上のみならず、社会的責任、原子炉を運転する者の責任が厳しく問われるのではないでしょうか。

 よって、以下の要望と質問に回答するよう要求します。

要   望   事   項

 美浜3号機の破断した配管が未点検だと貴社が知った時期について、真実を明らかにするよう求めます。

質   問   事   項

1.美浜3号機の破断した配管が28年間未点検だと貴社が確認したのは、いつのことですか。

2.そう判断した根拠は何ですか。

3.大飯1号機の大幅減肉の水平展開との関連で、7月30日以降の1週間の間に破断した配管が未点検であることを確認したという貴社のこれまでの説明について、
(1)このようなこれまでの説明は撤回しますか。

(2)このような説明をしてきたことについて、どのような責任をとるのか明らかにしてください。

要望と質問に対する回答は、2週間をめどに文書で示してください。
なお、正確を期すために、5月13日の貴社の回答を別紙にて添付します。

2005年8月17日

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581