関西電力社長 藤 洋作 様
2004年10月8日 1.保安院の「中間とりまとめ」について 原子力安全・保安院は「中間とりまとめ」で、美浜3号機事故の直接的な原因は「関西電力鰍フ品質保証、保守管理が機能していなかったこと」と断定しています。貴社はこれを認めますか。 2.美浜3号機事故の関電の責任について 美浜3号機事故の責任は、貴社にあると考えますが、見解を明らかにしてください。 3.違法点検等について (1)美浜事故後、貴社の他の原発でも多くの点検リスト漏れや違法な点検等を行っていたことが、保安院の指摘によって明らかになりました。貴社として、点検等に問題があったと考えている部位とその問題について、全て具体的にあげてください。 (2)なぜこのような確信犯的な行為を行っていたのかについて、理由を明らかにしてください。 (3)その責任を明らかにしてください。 (4)大飯1号では、今年7月の定検で、2次系主給水管が必要最低肉厚を割り込んで大幅に減肉していたことが確認されました。約5年以上違法な運転を続けていたことになります。違法運転を行っていたと認識していますか。また、その責任を明らかにしてください。 4.美浜1号と高浜4号で、当初点検リストから漏れていた箇所が訂正され、検査された経緯について (1)福井新聞(8月17日付)によれば、美浜1号と高浜4号でも、当初、美浜3号機の破断箇所と同部位が点検リストから漏れていたと報じられています。これは事実ですか。 (2)この2基については、「検査管理システムのデータ更新の際に見つかり」、美浜1号では2002年に、高浜4号では1998年に検査されたと報道されています。リストに掲載され、検査が行われた経緯を明らかにしてください。 (3)美浜1号でリスト漏れが訂正されたのに、同じ発電所である美浜3号ではリスト漏れが当時確認されなかったのはなぜですか。 5.原発の老朽化の問題について (1)福井県知事は、経産大臣宛要請書(9月24日付)で、「正に美浜3号機の事故は高経年化対策を怠った事故である」と指摘しています。貴社は、この内容について同意しますか。 (2)貴社は、老朽炉で定検短縮を行い利用率を上げて、経済性最優先の運転を行っています。老朽炉にはとりわけ十分な検査等が必要だと考えられます。しかし、貴社が9月27日に発表した「美浜発電所3号機 2次系配管破損事故について」(以下、「関電報告書」と言う)では老朽化対策について一言も書かれていません。美浜3号機事故を受けて、改めて考えた老朽化対策はないのですか。 (3)「関西電力の経営概況」(今年5月発表)では、平成15年度の実績として、「原子力利用率は89.1%という高水準になりました」「徹底した効率化へ取り組むことにより、修繕費、諸経費の削減に努めた」と述べ、今年度も「徹底した効率化に邁進する」と書かれています。事故後も、この経済性最優先の姿勢に変わりはないのですか。 (4)福井県の準立地市町村連絡協議会は、9月1日貴社に対して、「美浜原子力発電所3号機タービン建屋での死傷事故に係る申入書」を出しました。その中で、「老朽原発は廃炉にしていくことの検討」を要望しています。これに対して、貴社はどのように回答したのですか。 6.「関電報告書」(9月27日付)について 保安院は9月27日午前、「中間とりまとめ」を発表しました。貴社同日午後、「関電報告書」を発表しました。貴社のホームページでは、この「関電報告書」について、「これまでの原因調査の状況、当面のとるべき対策等について、本日取りまとめました」と書かれています。 (1)この「関電報告書」は、保安院の「中間とりまとめ」を受けて出したものですか、それとも「中間とりまとめ」とは独自に出したものですか。 (2)この中で、事故に関する貴社の責任はどこに書かれていますか。 (3)美浜3号機で破断箇所が検査リストから漏れ28年間1度も検査されていなかった原因として、プラントメーカー、協力会社、貴社の3者が並列して扱われています。 事故の原因は、3者に同等の責任があるという認識ですか。 (4)さらに、「これらを踏まえると当社が自ら主体となって管理を行うこととし、再発防止及び信頼回復の観点から以下の対策を実施する」(p6)と書かれています。 事故の原因と関電自らの責任を明らかにしないまま、なぜ「自らが主体となって管理を行う」という結論が出せるのですか。 (5)p8「外注管理の抜本的見直し」の項目では「今回の事故に鑑み、肉厚測定を除く2次系配管肉厚管理業務は当社が自ら全て実施することとし、必要なシステムを含め、協力会社から当社に移管する(平成16年末目処)」と書かれています。 [1]「移管」の内容を具体的に示してください。 ・配管管理システム(NIPS)と従業員等を、日本アーム所属から関電所属に変えるということですか ・その場合、実質的には、現在の状況となんら変わらないのではないですか。 [2]保安院は「中間とりまとめ」で、今後の対策として「的確な外注管理の実施」を指示しています。この保安院の指示にどのように答えたことになるのですか。 7.2次系の配管肉厚管理について (1)「管理指針」の「その他部位」では、これまで「10年間で25%のサンプリング検査」を行っています。この検査方法は40年で全ての箇所を検査するということですか。 (2)「関電報告書」p12の「(3)2次系配管肉厚管理の更なる充実 (a)肉厚管理の充実」の項目では、 「まず、2次系配管肉厚管理の充実を図るため、今後、定期検査を開始するプラントから順次、主要点検部位について、『余寿命が2年以下となる前に点検を行なう』を改め、『余寿命が5年以下となる時期に点検を行なう。さらに、余寿命が5年以下の場合は取替・溶接補修までの間は、定期検査において毎回点検を継続する』と変更した(9月24日決定)。 さらに、減肉管理データの拡充を図るため、至近3回以内の定期検査において、その他 部位の未点検箇所は全て点検する。」と書かれています。 [1]「主要点検部位」について、「余寿命が2年以下となる前に点検を行う」と「余寿命が5年以下となる時期に点検を行う」の違いを具体的に説明してください。 [2]「その他部位」では「至近3回以内の定期検査において未点検箇所は全て点検する」となっています。これでいけば、約4年かけて未点検箇所約1万箇所を点検するということになります。 ・約4年の間に、美浜事故と同様の事故は起きないと判断した根拠は何ですか。 ・未点検箇所については早急に点検すべきではありませんか。 ・既に点検した箇所も、点検した時期が10年以上前ということもあります。既に点検した箇所も含め、全ての部位を早急に点検すべきではありませんか。 (3)貴社が福井県原子力安全専門委員会に出した「2次系配管肉厚管理の充実について」(9月29日付)の中で、 [1]3.2(2)「減肉率評価および点検時期等の充実」の項目では、「(1)・・減肉傾向が認められる部位については、・・・3回以上の計測を順次実施していく」と書かれています。「順次実施」とは、連続した定検で3回測定するという意味ですか。 [2]現在の「管理指針」では、「余寿命が2年以下の場合は取替計画を立案し、耐食性材料(SUS304等)等と取替えるものとする」となっています。 ・現行「管理指針」では「取替計画の立案」となっているのに、9月29日付文書では「点検補修計画を立案」となっています。その違いは何ですか。 ・「取替・溶接補修(内面肉盛補修)」とは何のことですか。 ・「なお、減肉が進行する場合は、余寿命がゼロとなる前に取替・補修を実施する」とは、何を想定しているのですか。 (4)減肉率の加速を考慮することはないのですか。 8.公開討論会の開催について 県民・市民の声を広く聞くために、福井と大阪で、美浜3号機事故に関する公開討論会を開催すべきだと考えますが、貴社の見解を明らかにしてください。 2004年10月8日 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之 大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581 |