原子力安全・保安院長 松永和夫様
2005年8月17日 8月10日付の読売新聞朝刊は、福井県警捜査本部の調べで明らかになったこととして、美浜事故の直接原因に係る重要な事実を報じています。美浜3号機の破断した配管が28年間一度も点検されてなかったことについて、関西電力は事故の1ヶ月前、遅くとも昨年7月中旬には把握していたと報道されています。記事によれば、昨年7月、大飯1号機の主給水系配管で大幅な減肉が見つかり、その水平展開として他の原発の点検を行った過程で、美浜3号機の破断した配管が一度も点検されていなかったことを関西電力は知ったとのことです。他方関西電力は、今年3月1日に報告書「二次系配管破損事故について」を貴院にも提出しました。その中では、「平成16年7月の大飯1号機のその他部位(主給水管)減肉トラブルを受け、若狭支社は、その他部位も含めて次回定期検査で追加点検すべき箇所を抽出するよう各発電所に指示した。美浜発電所は、この指示を受け、点検リストのチェック作業を進める中で、未点検箇所の一部として当該部位を抽出したが、既に次回定期検査において点検する計画であったことを確認した」(26頁)と書かれています。 その後3月30日に貴院は、「関西電力株式会社美浜発電所3号機二次系配管破損事故について(最終報告書)」をまとめました。しかし、「最終報告書」では、上記の関電報告書の内容についてはふれられていないばかりか、関西電力が、いつ当該配管が未点検であったと確認したのかについても書かれていません。 この大飯1号の主給水管のその他部位での大幅な減肉は、美浜3号機事故の予兆であり警告そのものでした。そのため私たちは、3月18日の貴院との交渉でもこの問題を質問していました。しかし貴院の担当者は、「事故直前に未点検だと分かったと聞いている」、あるいは「関電がリスト漏れを知ったのは事故後ではないか」等のあやふやな回答でした。そのため、今回改めて質問します。 質 問 事 項 1.関西電力が美浜3号機の当該配管が未点検だと確認した時期について、貴院が「最終報告書」をまとめた段階で、(1)貴院はいつだと判断したのですか。 (2)その判断の根拠は何ですか。 (3)この件について、最終報告書に何も書かなかったのはなぜですか。 2.大飯1号機の減肉問題の水平展開から、美浜3号機の当該配管が未点検であることを確認したという上記の関西電力の報告書の内容について、 (1)貴院が関電から聞き取りした内容を具体的に明らかにしてください。 3.8月10日付読売新聞の報道以降、この件に関して、 (1)関西電力から聞き取りした内容を明らかにしてください。 (2)10日以降、何も聞き取りをしていない場合は、その理由を示してください。 4.貴院は2004年7月27日発表「関西電力株式会社大飯発電所1号機の定期検査中に発見された主給水配管の減肉の原因と対策に係る関西電力株式会社からの報告及び検討結果について」において、「当院として、関西電力(株)から提出された報告書について検討した結果、報告対象となる厚さに至る減肉が発生した原因の推定とその背景にある保守管理上の不適切な部分の分析、及びこれらに対する対策は首肯できるものと考える。また、関西電力(株)が今回の事象を踏まえ、保守管理に係るシステムについても点検を行うこととしていることを踏まえ、当院としては、保安検査等の機会を通じ、関西電力(株)の保守管理活動に関する取組み状況を適宜確認していくこととする。」としました。「保守管理上の不適切な部分の分析、及びこれらに対する対策」や「取組み状況」に関して貴院は関西電力と情報を共有していたと思われます。水平展開の実情についても把握していたのではないですか。 5.事故直後の報道では、大飯1号減肉よりも前から関西電力は事故箇所の未検査を認識していたとされていました。貴院としてはその問題についてどのような調査を行ない、どう認識していますか。 質問に対する回答は、2週間以内に文書でお願いします。 ■団体名(五十音順) ・核のごみキャンペーン・中部 ・柏崎原発反対地元三団体 ・原子力資料情報室 ・原子力発電を考える石巻市民の会 ・東京電力と共に脱原発をめざす会 ・福島老朽原発を考える会 ・浜岡原発を考える静岡ネットワーク ・福島原発市民事故調査委員会 ・美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 ■連絡先 ・美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 大阪市北区西天満4−3−3星光ビル3階 TEL 06−6367−6580 FAX 06−6367−6581 ・原子力資料情報室 〒164-0003 東京都中野区東中野1-58-15 寿ビル3階 TEL 03−5330−9520 FAX 03−5330−9530 |