7月16日に発生した中越沖地震によって、柏崎刈羽原発の稼働中の4基は緊急停止し、全原発が運転を停止した。これまで国や電力会社が想定していなかった事態が次々と起きている。国や電力会社が繰り返してきた原発の耐震安全性、その評価と国の審査の信頼性は崩壊した。 柏崎刈羽原発で観測された揺れは、原発の設計上の基準を2.5倍も上回った。震源となった断層が、原発直下まで伸びていたことも、気象庁等により確認されている。東京電力は、原発建設当時から、この断層を確認していながら、原発の設計時には無視していた。地元の人々を愚弄するものである。 また、排気筒からはヨウ素等の放射能が排出された。放射性ヨウ素の放出は、燃料棒が破損している可能性を強く示唆している。揺れにより飛び散った使用済み核燃料プールの放射能混じりの水が海に放出された。 原発敷地内の道路には大きな亀裂が入り、大きく隆起している。原子炉建屋内の配管や機器にも相当な被害が生じていると予想される。鎮火に2時間を要した3号機の変圧器の火災は、東電の消火体制等の問題と同時に、地盤沈下による、Cクラスの設備の耐震性問題を改めて浮き彫りにした。 これら国や電力会社が予想もしていなかった事実は、活断層の調査、地震動の評価方法に根本的な欠陥があったことを示している。同時に国の安全審査の信頼性も根底から崩壊した。 1995年の阪神淡路大震災を経験した関西の私たちは、関電の原発が地震に耐えられないことを訴えてきた。各地の原発裁判でも、原発と地震の問題が大きな争点となり、住民と地震学者達がその危険性を指摘してきた。昨年4月、金沢地方裁判所は、耐震性の不備を理由に志賀原発2号機に運転差し止めの判決を下した。女川原発に続き志賀原発でも事実として地震動が設計値を超える事態が起こった。このような判決と事実の警告を無視してきた国と電力会社の無謀な姿勢が、今回の柏崎刈羽原発の被害をもたらしたのである。 とりわけ老朽原発が多い若狭の原発は、地震に耐えられないことは火を見るよりも明らかだ。今回の地震では、神戸から北海道まで広がる「ひずみ集中帯」が影響していると言われている。若狭の原発も、この「ひずみ集中帯」の中に位置している。また美浜1号などの場合、40年以上も前に行った海域での活断層調査は古くなっている。従来の断層調査にはまるで信頼が置けないことを今回の事態は如実に示したのだ。 若狭の原発を大地震が襲えば、多くの人々の生命や環境を放射能で汚染し、取り返しのつかない大惨事をまねく。これを防ぐためには、今回の事態を踏まえれば、関電の原発を止める以外にない。 2007年7月20日 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之 大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581 (07/07/20UP) |