中間貯蔵施設などに関する質問書・回答(2月22日)

関西電力(株)社長 八木 誠 様
2011年1月31日
1.原発プールの状況等について
(1)各原発プールの使用済燃料貯蔵の実態を、別紙の表に記入してください。



(2)これまで、プールに貯蔵可能な「管理容量」として、貯蔵容量−(1炉心分+1/3炉心分)となっていましたが、これは変更ありませんか。
(回答)呼称を「管理容量」から「管理目標」に変更しております。(その後の交渉で昨年の10月28日から変更になったとした)

(3)福井新聞によると、「八木社長は県庁で記者会見し、使用済み核燃料の中間貯蔵施設は従来通り県外立地を目指す立場を強調。一方で『発電所の停止に至らないよう、リスク管理として幅広く考えていくことが大事』と述べ、発電所内の貯蔵プールの容量増強などを検討する考えを示した」(1月7日付)とあります。
(a) 貯蔵プールのリラッキングをさらに考えているのですか。たとえば高浜3・4号機の場合はBピットの増強ですか。各原発でどの程度貯蔵体数を増やせるのですか。
(回答)どう言う対策をとるかは、今後検討していく。

(b) 「プールの容量増強など」の「など」というのは、乾式貯蔵のことですか。
(回答)どう言う対策をとるかは、今後検討していく。

(4)高浜原発の使用済燃料プール貯蔵能力の「変更理由」(リラッキング)として、「使用済燃料搬出量が当初の見込みより減少したため」と書かれていますが(たとえば、2003年7月28日プレスリリース)、これは六ヶ所再処理工場への搬出が予定より減少したことを指しているのですか。
(回答)当社の六ヶ所再処理工場への搬出量は、六ヶ所再処理工場の運開時期の遅れや使用済み燃料プールの漏えい点検作業による使用済燃料受け入れ停止のため減少したもの。

2.中間貯蔵施設の立地について
(1)福井県内に中間貯蔵施設を作らないという立場は変わっていませんか。
(回答)当社としては、これまでの県外立地で取り組むスタンスにはかわりはございません。ただ、美浜町からの要請に対しても十分に検討しなければならないと思っております。いずれにせよ、中間貯蔵施設の設置につきましては、今後どのように進めていくかについて鋭意検討しているところでありますので、現在申し上げられる状況にはございません。

(2)貴社は、和歌山県御坊市での中間貯蔵施設立地に向けて、昨年2月には「文献調査の上では、立地は可能」と御坊市議会中間貯蔵調査特別委員会(昨年3月に解散)に回答しています(読売新聞福井版2010年11月23日)。また、昨年10月には「より詳細な検討を進めており、ある程度結果がまとまれば(市会に)説明する。その上で(立地に向け)進めさせてもらえればありがたい」(2010年10月7日福井新聞)と社長が話しています。

(a) 文献調査とはどのような調査を行い、立地は可能という結論になったのですか。
(回答)使用済燃料の貯蔵の事業に関する規則を参考に、御坊市全域の自然環境及び社会環境等について実施可能な範囲で公開文献による調査を実施しました。その限りにおいて、御坊市域で中間貯蔵施設の立地に支障となるデーターは見当たらなかったので一般的な評価としては、御坊市域での中間貯蔵施設の立地は可能であると言えます。しかしながら今回の調査結果だけでは、実際に御坊市域での中間貯蔵施設の立地が可能かどうかについて当社として判断するにはいたらず、ご要請のあった御坊市域での中間貯蔵施設の立地の可能性についてご報告するためには、一般的な立地条件や、法令等の各種規制への適合をはかることが可能かどうかなど、さらに詳細な調査、検討が必要であるため引き続き社内で検討していきます。

(b) 「より詳細な検討を進めている」とは、具体的にどのような検討ですか。
(回答)平成19年3月に当社が特別委員会で中間貯蔵施設の必要性等をご説明した際、中間貯蔵施設の一般的な立地条件として3項目、一つは、良好かつ安定した地盤を有すること、二つ目は、充分な敷地面積を確保できること、三つ目は、港湾施設が容易に利用できること、この3項目をご説明しました。それにくわえ法令等の各種規制への適合や、地域社会の産業、生活との調和をはかることが可能かどうかといった観点から、社内においてさらに詳細な調査、検討を実施して参りたいと思っております。

(c) 貴社の御坊市建設計画は、建設中止となった第二火力発電所予定地ですか。
(回答)現時点で御坊市において中間貯蔵施設の具体的な計画はございません。中間貯蔵施設の設置については、今後どのように進めていくかについて鋭意検討しているところであり、申し上げられる状況にはございません。

(d) 御坊市以外で、中間貯蔵施設立地を考えている地点はありますか。
(回答)現時点で中間貯蔵施設の具体的な計画はございません。


3.中間貯蔵施設の構想について
(1)なぜ中間貯蔵施設が必要なのですか。貴社の使用済燃料発生量など、具体的数字に基づいて示してください。
(回答)資源の乏しいわが国において、将来にわたりエネルギーを安定的に供給して行くためには、原子燃料サイクルの確立が不可欠であり中間貯蔵施設の設置についてはぜひとも必要であると考えています。中間貯蔵施設の設置については、現在検討しているところですので申し上げられる状況にはございません。

(2)中間貯蔵施設への年間搬出量は、年間の発生量から六ヶ所再処理工場への予定搬出量を差し引いた分ですか。その場合、年間発生量と六ヶ所への年間予定搬出量をどう見積もっていますか。六ヶ所への搬出量が予定より減少しても、計画している中間貯蔵施設への年間搬出量には変更はないのですか。
(回答)中間貯蔵施設の設置につきましては、今後どのように進めていくかについて鋭意検討しているところでございますので、申し上げられる状況にはございません。

(3)どれくらいの規模の中間貯蔵施設を想定しているのですか。
(回答)中間貯蔵施設の設置については、今後どのように進めていくかについて鋭意検討しているところですので、申し上げられる状況にはございません。

(4)完成予定はいつ頃を目標にしているのですか。
(回答)中間貯蔵施設の設置につきましては、今後どのように進めていくかについて鋭意検討しているところであり申し上げられる状況にはございません。

4.貴社ホームページの中間貯蔵施設に関する説明などについて
 ホームページの「キャクス貯蔵方式の概念」では、「海外ではキャスクを屋外で貯蔵することもありますが、関西電力では屋内で貯蔵することを考えています。キャスクの置かれる建物は、キャスクを安全に貯蔵するため、地震、津波などの自然災害の影響を受けないよう設計します」と書いています。また、「キャスクのもつ安全機能」として、放射線の遮へい、除熱、臨界防止、閉じ込めの機能について紹介しています。

(1)耐震について
(a) 建物の耐震設計は、むつ中間貯蔵施設の場合はBクラスですが、同じですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「使用済燃料中間貯蔵施設は、敷地及びその周辺地域における過去の記録、現地調査結果等を参照して、最も適切と考えられる設計地震力に対し基本的安全機能が維持できる設計であること」が求められており、その指針を満足するように設計することになります。

(b) 地震で建物が壊れた場合に、下敷きとなったキャスクは「自然対流」がなくなりますが、「除熱」はどのように確保するのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための 安全審査指針」において、「使用済燃料中間貯蔵施設は、敷地及びその周辺地域における過去の記録、現地調査結果等を参照して、最も適切と考えられる設計地震力に対し基本的安全機能が維持できる設計であること」が求められており、この基本的安全機能には除熱機能が含まれておりますのでそのように対応する。

(2)閉じ込めの機能について
 「閉じ込め」については、「堅牢な鋼鉄製の金属キャスク本体やキャニスタで確実に放射性物質を閉じ込めます。蓋は二重構造にする工夫をしています」と書かれています
 「蓋は二重構造」ということですが、内側の蓋(1次蓋)で漏れが起きた場合どうするのですか。そのキャスクはその後どのように処置されるのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための 安全審査指針」において、「金属キャスクは、万一の蓋部の閉じ込め機能の異常に対して、蓋を追加装着できる構造を有すること等、閉じ込め機能の修復性に関して考慮がなされていること」が求められておりこの指針を満足するように設計することになります。

(3)臨界事故の危険性について
 ホームページの「リサイクル燃料センターって、なに?」Q&Aの3番では、「臨界事故は起きることはありません」と書いてあります。

Q.3 臨界事故が起きることはないの?
A.3 リサイクル燃料は、堅固な構造のバスケットにより適切な間隔に保持された状態で容器(キャスク)に入れて、そのまま置いておくだけの施設なので、臨界事故が起きることはありません。

(a) 臨界防止は「堅固な構造のバスケット」によって保証されているようですが、何年間保証されるのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「金属キャスク内部のバスケットが臨界防止機能の一部を構成する場合には、設計貯蔵期間を通じてバスケット構造健全性が保たれる設計であること」が求められておりこの指針を満足するように設計することになる。

(b) バスケットの腐食等で、燃料が集まり、臨界事故が起きる危険はないのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「金属キャスク内部のバスケットが臨界防止機能の一部を構成する場合には、設計貯蔵期間を通じてバスケット構造健全性が保たれる設計であること」が求められておりこの指針を満足するように設計することになる。

(4)貯蔵期間及び貯蔵期間終了後のキャスク収納物(使用済燃料)の安全性確認について
(a) 中間貯蔵施設でキャスクの蓋を開けて収納物(使用済燃料)の状態を確認することはできるのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合は、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「貯蔵期間中及び貯蔵終了後において、収納された使用済燃料集合体の検査等のために金属製の乾式キャスクの蓋等を開放することは想定しない」としており、この指針を満足するように設計することになる。

(b) たとえば、地震でキャスクが激しく揺さぶられた場合、内部のバスケットが破壊されて臨界の危険が生じていないことをどのようにして確認するのですか。
(回答)金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設の場合、原子力安全委員会が決定した「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「使用済燃料中間貯蔵施設は、敷地及びその周辺地域における過去の記録、現地調査結果等を参照して、最も適切と考えられる設計地震力に対し基本的安全機能が維持できる設計であること」が求められており、その指針を満足するように設計することになります。

(c) キャスクの安全性を設計上保証する期間はどれだけですか。
(回答)現時点で、中間貯蔵施設の具体的な計画はございませんので申し上げる状況にはございません。

(d) 貯蔵期間を過ぎた後になおどこかで貯蔵する必要が起きた場合、キャスクの安全性はどのように保証されるのですか。
(回答)現時点において、中間貯蔵施設の具体的な計画はございませんので、しかもその上で仮定の質問ですので、お答えはできません。

(5)中間貯蔵した後、使用済燃料はどこにいくのですか
 HPの「リサイクル燃料センターって、なに?」Q&Aの4番では、中間貯蔵施設は「最終処分場になることはない」と書かれています。

Q.4 リサイクル燃料貯蔵センターって言うけど、本当は最終処分場じゃないの?
A.4 リサイクル燃料貯蔵センターは再処理するまでの一定の期間に貯蔵するための施設であり、最終処分場になることはありません。

(a) 「再処理するまでの一定の期間」とは、貯蔵期間のことですか。それはどれくらいの期間ですか。
(回答)再処理するまでの一定の期間とは、貯蔵の開始から終了までの期間の意味です。その期間については、今申し上げる状況にはございません。なお、金属製乾式キャスクを用いる使用済中間貯蔵施設の場合は、「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」において、「調査審議において念頭に置いた使用済燃料中間貯蔵施設における使用済燃料の貯蔵期間は、おおよそ40年〜60年間であると想定されている」と述べられている。

(b) 貯蔵期間が終了する頃には六ヶ所再処理工場は寿命がきています。「再処理」はどこでするのですか。
(回答)平成17年10月に閣議決定された原子力政策大綱では、「使用済燃料は、当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で再処理を行うこととし、これを超えて発生するものは中間貯蔵することとする。中間貯蔵された使用済燃料及びプルサーマルに伴って発生する軽水炉使用済MOX燃料の処理の方策は、六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討開始する。この検討は使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本的方針を踏まえ、柔軟性にも配慮して進めるものとし、その結果を踏まえて建設が進められるその処理のための施設の操業が六ヶ所再処理工場の操業終了に十分間に合う時期までに結論を得ることとする」と述べられております。

(c) 政府の資料(第24回原子力部会資料2 資源エネ庁 2010年4月19日)では、中間貯蔵後は「第二再処理工場」に搬出されるとなっていますが、そうですか。
(回答)資源エネルギー庁が総合エネルギー調査会・電気事業分科会原子力部会に提出した資料について当社は回答する立場にございません。

(d) 「第二再処理工場」の建設が遅れた場合、キャスクはどこに運ぶのですか。運ぶ場所がなければ、そのまま中間貯蔵施設に置かれるのですか。
(回答)平成17年10月に閣議決定された原子力政策大綱では、「使用済燃料は、当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で再処理を行うこととし、これを超えて発生するものは中間貯蔵することとする。中間貯蔵された使用済燃料及びプルサーマルに伴って発生する軽水炉使用済MOX燃料の処理の方策は、六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討開始する。この検討は使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本的方針を踏まえ、柔軟性にも配慮して進めるものとし、その結果を踏まえて建設が進められるその処理のための施設の操業が六ヶ所再処理工場の操業終了に十分間に合う時期までに結論を得ることとする」と述べられております。


5.中間貯蔵施設の建設は断念すべきではないですか
(1)中間貯蔵といいながら、実際は、その後に搬出する再処理工場の具体的目処もありません。このような状況では、核のゴミ捨て場をつくるだけで、次の世代、孫子に大量の核のゴミを残すだけです。しかもその安全性は保証されません。バスケットが腐食して臨界が起こることも防止できません。中間貯蔵施設の建設は断念すべきではないですか。
(回答)資源の乏しいわが国においては、将来にわたりエネルギーを安定的に供給して行くためには、原子燃料サイクルの確立が不可欠であり中間貯蔵施設の設置についてはぜひとも必要であると考えています。なお、中間貯蔵施設の建設操業に際しては、国による安全審査、設計工事工法の認可、使用前検査、定期検査等により安全性が確認されることになります。


2011年1月31日

   グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
      京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
      大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(11/03/05UP)