中間貯蔵施設などに関する質問書


関西電力(株)社長 八木 誠 様
2011年1月31日

1.原発プールの状況等について
(1)各原発プールの使用済燃料貯蔵の実態を、別紙の表に記入してください。

(2)これまで、プールに貯蔵可能な「管理容量」として、貯蔵容量−(1炉心分+1/3炉心分)となっていましたが、これは変更ありませんか。

(3)福井新聞によると、「八木社長は県庁で記者会見し、使用済み核燃料の中間貯蔵施設は従来通り県外立地を目指す立場を強調。一方で『発電所の停止に至らないよう、リスク管理として幅広く考えていくことが大事』と述べ、発電所内の貯蔵プールの容量増強などを検討する考えを示した」(1月7日付)とあります。

(a) 貯蔵プールのリラッキングをさらに考えているのですか。たとえば高浜3・4号機の場合はBピットの増強ですか。各原発でどの程度貯蔵体数を増やせるのですか。
(b) 「プールの容量増強など」の「など」というのは、乾式貯蔵のことですか。

(4)高浜原発の使用済燃料プール貯蔵能力の「変更理由」(リラッキング)として、「使用済燃料搬出量が当初の見込みより減少したため」と書かれていますが(たとえば、2003年7月28日プレスリリース)、これは六ヶ所再処理工場への搬出が予定より減少したことを指しているのですか。


2.中間貯蔵施設の立地について
(1)福井県内に中間貯蔵施設を作らないという立場は変わっていませんか。

(2)貴社は、和歌山県御坊市での中間貯蔵施設立地に向けて、昨年2月には「文献調査の上では、立地は可能」と御坊市議会中間貯蔵調査特別委員会(昨年3月に解散)に回答しています(読売新聞福井版2010年11月23日)。また、昨年10月には「より詳細な検討を進めており、ある程度結果がまとまれば(市会に)説明する。その上で(立地に向け)進めさせてもらえればありがたい」(2010年10月7日福井新聞)と社長が話しています。

(a) 文献調査とはどのような調査を行い、立地は可能という結論になったのですか。
(b) 「より詳細な検討を進めている」とは、具体的にどのような検討ですか。
(c) 貴社の御坊市建設計画は、建設中止となった第二火力発電所予定地ですか。
(d) 御坊市以外で、中間貯蔵施設立地を考えている地点はありますか。


3.中間貯蔵施設の構想について
(1)なぜ中間貯蔵施設が必要なのですか。貴社の使用済燃料発生量など、具体的数字に基づいて示してください。

(2)中間貯蔵施設への年間搬出量は、年間の発生量から六ヶ所再処理工場への予定搬出量を差し引いた分ですか。その場合、年間発生量と六ヶ所への年間予定搬出量をどう見積もっていますか。六ヶ所への搬出量が予定より減少しても、計画している中間貯蔵施設への年間搬出量には変更はないのですか。

(3)どれくらいの規模の中間貯蔵施設を想定しているのですか。

(4)完成予定はいつ頃を目標にしているのですか。


4.貴社ホームページの中間貯蔵施設に関する説明などについて
 ホームページの「キャクス貯蔵方式の概念」では、「海外ではキャスクを屋外で貯蔵することもありますが、関西電力では屋内で貯蔵することを考えています。キャスクの置かれる建物は、キャスクを安全に貯蔵するため、地震、津波などの自然災害の影響を受けないよう設計します」と書いています。また、「キャスクのもつ安全機能」として、放射線の遮へい、除熱、臨界防止、閉じ込めの機能について紹介しています。

(1)耐震について
(a) 建物の耐震設計は、むつ中間貯蔵施設の場合はBクラスですが、同じですか。
(b) 地震で建物が壊れた場合に、下敷きとなったキャスクは「自然対流」がなくなりますが、「除熱」はどのように確保するのですか。

(2)閉じ込めの機能について
 「閉じ込め」については、「堅牢な鋼鉄製の金属キャスク本体やキャニスタで確実に放射性物質を閉じ込めます。蓋は二重構造にする工夫をしています」と書かれています
 「蓋は二重構造」ということですが、内側の蓋(1次蓋)で漏れが起きた場合どうするのですか。そのキャスクはその後どのように処置されるのですか。

(3)臨界事故の危険性について
 ホームページの「リサイクル燃料センターって、なに?」Q&Aの3番では、「臨界事故は起きることはありません」と書いてあります。

Q.3 臨界事故が起きることはないの?
A.3 リサイクル燃料は、堅固な構造のバスケットにより適切な間隔に保持された状態で容器(キャスク)に入れて、そのまま置いておくだけの施設なので、臨界事故が起きることはありません。

(a) 臨界防止は「堅固な構造のバスケット」によって保証されているようですが、何年間保証されるのですか。
(b) バスケットの腐食等で、燃料が集まり、臨界事故が起きる危険はないのですか。

(4)貯蔵期間及び貯蔵期間終了後のキャスク収納物(使用済燃料)の安全性確認について
(a) 中間貯蔵施設でキャスクの蓋を開けて収納物(使用済燃料)の状態を確認することはできるのですか。
(b) たとえば、地震でキャスクが激しく揺さぶられた場合、内部のバスケットが破壊されて臨界の危険が生じていないことをどのようにして確認するのですか。
(c) キャスクの安全性を設計上保証する期間はどれだけですか。
(d) 貯蔵期間を過ぎた後になおどこかで貯蔵する必要が起きた場合、キャスクの安全性はどのように保証されるのですか。


5.中間貯蔵施設の建設は断念すべきではないですか
(1)中間貯蔵といいながら、実際は、その後に搬出する再処理工場の具体的目処もありません。このような状況では、核のゴミ捨て場をつくるだけで、次の世代、孫子に大量の核のゴミを残すだけです。しかもその安全性は保証されません。バスケットが腐食して臨界が起こることも防止できません。中間貯蔵施設の建設は断念すべきではないですか。


2011年1月31日

   グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
      京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
      大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(11/02/09UP)