ECCS等の安全上極めて重要な箇所が検査漏れだったことに関して
検査漏れのなかった7基の原発では、いつ検査したのですか
質   問   書


関西電力(株)社長 八木 誠 様
2010年11月12日

 貴社は11月11日に「原子力発電所における供用期間中検査計画の管理状況に関する調査結果について」と題するプレスリリースを出し、そこで、ECCS系統の安全上極めて重要な弁の溶接部13箇所が、検査対象から漏れていたと発表しました。
 2007年に志賀1号機の臨界事故が内部告発で明らかになる等、電力会社の不正が明らかになる中で、当時の経産大臣は「全電力会社に対して、全ての発電設備について、過去に遡りデータ改ざんや必要な手続きの不備その他同様な問題がないかの総点検を行うよう指示」しました(「より一層の安全性の確立に向けた過去の改ざん等の総洗出しについて(発電設備の総点検の趣旨)」2007年3月23日)。 貴社は2007年4月6日に、検査漏れなども含め「当社発電設備の点検結果にかかる再発防止対策について」を発表し、これ以上、不備はないと宣言していました。
 それにもかかわらず、また新たに検査漏れがあったことが明らかになりました。貴社の安全管理のずさんさを示すものです。
 発表が昨日であったため、最小限の事実関係等に関して質問します。


1.今年7月に発覚した敦賀1号での再循環ポンプ等の溶接部が、運転開始以来40年間一度も検査されていなかったことが明らかになりました。原子力安全・保安院は、これを受け、全電力会社に同様の検査漏れがないかを調査する指示を出しました。今回の貴社の発表はこれに基づくものとされています。
 新聞報道では、11基の原発で、弁とポンプの約1300台の溶接箇所を調べたと書かれていますが、調査の対象とした、弁とポンプはどの範囲のものですか。

2.検査対象から漏れていた13台の弁の内、12台は運転開始以来、一度も検査をしていなかったと報道されています。一度も検査をしていなかったのは、どの原発のどの弁ですか。

3.今回のプレス発表は、美浜2号、高浜2号、大飯1・2号の4基の原発で、13台の弁の溶接部が検査対象から漏れていたという内容です。この4基以外の7基の原発では、検査対象漏れはなかったということになります。しかし、この7基でいつ検査が行われたのかについては一切書かれていません。
 そのため、「検査対象漏れのなかった」7基の原発について、「検査漏れのあった」4基と同一箇所の溶接部の検査履歴を示してください。


 下記の表に、検査実施年月日を入れてください。複数回検査している場合は、全ての検査年月日を入れてください。

原発名 高圧安全注入系統高圧
安全注入流量調整弁
(ECCS系統)
高圧安全注入系統高温
側注入ライン絞り弁
(ECCS系統)
化学体積制御系統冷却
材ポンプ封水注入入口弁
美浜1      
美浜3      
高浜1      
高浜3      
高浜4      
大飯3      
大飯4      

4.2007年には、当時の経産大臣の指示で、過去の不正や検査漏れ等の不備について、総点検を行い、貴社も2007年4月6日に「当社発電設備の点検結果にかかる再発防止対策について」を出し、不正や検査漏れ等の不備はこれ以上ないとして、再発防止策を出しました。
 それなのに、新たに検査漏れが起きていたのはなぜですか。

5.プレス発表では、検査漏れの箇所について、「製造時の記録および過去に実施した漏えい検査にて健全性を確認しています」としていますが、首藤バルブのような製造記録のねつ造が行われていたとすれば、健全性を確認できないのではないですか。



2010年11月12日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
     京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
     大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(10/11/12UP)