高浜3・4号機の使用済燃料プールの未臨界性評価に関する質問書


関西電力(株)社長 八木 誠 様
2010年9月22日

 原子力安全委員会の原子炉安全専門審査会では、貴社の高浜1・2号機での高燃焼度燃料(ステップ2)使用に関する議論が行われていました。その中で、今年1月27日の第3回会合で出された原子力安全・保安院の資料「コメント回答(その2)」(以下、「保安院の資料」)では、使用済燃料プールの未臨界性評価について中性子実効増倍率の数値や、基準値の数値等が出ています。
 これらに関して質問します。

1.使用済燃料プールの実効増倍率について
 「保安院資料」では、高浜3・4号機の使用済燃料ピット(Aエリア)の実効増倍率は0.977(不確定性0.020を含む)となっています。

(1)上記の数値は、1・2号炉で高燃焼度燃料を使用することを勘案して出された数値ですか。

(2)上記の数値は、ラック間隔、ラック板厚をいくらとして計算したものですか。

(3)2003年の高浜3・4号機プールのリラッキング時に評価した実効増倍率の数値は、同年7月18日の福井県安全管理協議会の資料「施設の安全設計に関する評価結果の概要」として貴社が出しています。
 そこでは、「実効増倍率は、17×17ウラン燃料で0.967、15×15ウラン燃料で0.974、17×17ウラン・プルトニウム混合燃料で0.954となり、以下の基準を満足している。不確定さ込みの実効増倍率:0.98以下」となっています。
 この数値は、ラック間隔、ラック板厚をいくらとして計算したものですか。


2.使用済燃料プールの未臨界性評価に関する基準値の問題について

 保安院の資料では、「大飯発電所3、4号炉増設に係る設置変更許可申請(昭和62年許可)の際の使用済燃料ピットの未臨界性評価において、ラック製作公差、ラック内偏心による不確定性への影響に加え、新たに燃料製作公差に伴う影響(不確定性)を詳細に示すことにより、使用済燃料ピットに0.98を適用すること(従来の基準は0.95)とした。一方、新燃料貯蔵庫については、従来どおり0.95を使用することとし、現在に至っている。」と書かれています。

(1)使用済燃料プールの未臨界性評価について、国の基準はありません。貴社は評価にあたって何を基準としたのですか。米国のANSI/ANS-57.2ですか。

(2)基準値を0.95から0.98に変えたのは、リラッキングや高燃焼度燃料の使用によって、実効増倍率が0.95では収まらなくなったからですか。

(3)新燃料貯蔵庫については基準値を0.95のままにしているのはなぜですか。

(4)「燃料制作公差に伴う影響(不確定性)」を「詳細に示すこと」ができるようになったために、基準値を0.98に引き上げたのですか。
 そのようなことが可能だと、どこに書かれているのですか。その内容を具体的に説明してください。

(5)高浜3・4号機の使用済燃料プールの実効増倍率は0.977で、基準値を0.98としています。余裕はわずか0.3%しかありません。プールの安全性は確保されるのですか。


  2010年9月22日

    グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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(10/09/24UP)