7月28日関電交渉報告
「プール水位が確保されていればいい」(関電)
使用済燃料プール水の微量な漏えいへの対策の基準なし

 

 7月28日午後6時から約2時間、関電本店で交渉を行った。関電側は広報部3名、市民側は約20名が参加した。関電はプルサーマルを始めようとしているが、使用済MOX燃料は運び出すめどが立っていないため、使用済燃料プールの水漏れが大きな問題となる。使用済燃料プールで米国のような微量な漏えいが起きないのか、対策はどうなっているのかが今回交渉のテーマだった。

●対策は漏えい量600cc/hで、巡視を1日1回から3回に増やすだけ
 微量な漏えいに対しての対策はなし

 関西電力が使用済燃料プールの漏えいに対してとっている対策は、漏えい検知溝を通って検知装置に集まる水を1日1回巡視すること。これが1時間あたり600ccを超えれば、1日3回(3交代のそれぞれの直)の巡視にする。このほかに対策は立てていないというのが関電の回答であった。
 関電は、600cc/hというのは、1秒間に1滴か2滴の漏れであるということを何度も強調し、具体的に検知装置に溜まった量を巡視するのか、落ちてくる量で600cc/hを判断すれのか、あるいは両方なのかはっきりしない曖昧な説明を繰り返した。そもそも漏えい検知の仕組みを図などを示して説明してくださいと質問しているのに、市民側が提示した六ヶ所再処理工場のプールの図を示しながら、「これとはちょっと違うんですけれども…」といった具合の説明に終始した。六ヶ所の場合は溶接線を囲むように2本の検知溝を設置しているが、関電の場合は溶接線に沿って1本の検知溝にしているとのことだった。
 600cc/h以下であれば何もしないのかという市民側の疑問には、目安であって何もしないというわけではなく分析をしてホウ酸が漏えい水に含まれればプールからの漏えいと判断すると回答した。しかし一方で、600cc/hを超えても巡視回数を増やすだけで、それ以外の対策は決まっていないと回答した。これに関しては、六ヶ所再処理工場のように漏えい量によって漏えい箇所を特定するといったルールはないとはっきり答えた。要するに、関電のプール水管理の基本は水位が保たれていること、冷却できることであり、漏えいについては軽視している姿勢がありありとしていた。

●米国の漏えいにも関心を払わず

 微量の漏えいを長期間見逃したため、大量のプール水漏えいを引き起こしている米国の漏えい問題について関電は、何の根拠も示さずに建設時からの問題ではないかとした。、検知溝がホウ酸等で詰まっても他のルートから検知装置に水は来るはずだ等々との回答を繰り返す一方で検知溝がホウ酸等で詰まっていないかといった検査はしていないと認めた。また、定検でもプールの溶接線等の点検は行っていないとの回答だった。参加者からは関電は事故が起こって初めて対応を考えるという姿勢が全く変わっていないという批判の声が上がった。
 高経年化に対しては、プールのコンクリートは高経年化対策の「対象」にはなっている。しかし、評価は代表部位で行うため、実際はプールのコンクリートについて具体的には評価はしていないことも明らかになった。

(10/08/03UP)