関電高浜3・4号機用のMOX燃料
「製造期間を通じた、製造・品質保証活動の確認」に関する
追加質問書と回答(7月13日)


関西電力(株)社長 森 詳介 様
2009年7月6日

 高浜原発プルサーマル用のMOX燃料に関して追加質問書を提出します。7月13日の交渉で回答してください。

1.製造期間を通じて社員を派遣し製造開始後の製造状況等を確認する必要について

 電気事業者である貴社は、「製造期間を通じてMOX燃料加工工場に社員を派遣し、製造開始後のMOX燃料加工事業者の製造状況及び品質保証活動について確認すること」を求められています(2000年7月14日付通達「電気事業者及び燃料加工事業者の品質保証に関する確認事項について」)。2001年12月に貴社はメロックス工場でのMOX燃料製造を中断し燃料を廃棄していますが、それは「製造期間を通じてMELOXへ社員を派遣し、製造状況及び品質保証活動について確認を行うことが満たされていると確認できない」と、2001年11月29日に国によって判断されたためでした。
 今回のMOX燃料製造に関して貴社は、1月30日付プレスリリースで次のように表明しています。「当社は、1月30日、高浜発電所3、4号機で使用するMOX燃料について、仏国メロックス工場において製造を開始いたしました。製造にあたっては、製造期間中を通じて当社社員を派遣し品質保証活動を確実に実施するなど、製造管理に万全を期してまいります」。上記2001年12月の事実に照らすと、ここでいう「製造を開始」とか「製造期間」をどのように規定しているかが問題になります。
 この点、貴社が昨年11月に提出した輸入燃料体検査申請書では、「製造期間」を「メロックス社での当社向けMOX燃料集合体のための二次混合開始から全燃料集合体の組立後の検査完了までの期間」と規定しています。すなわち、製造開始は二次混合からとなっています。この点についての昨年12月10日付質問書に対する貴社の回答では、「保安院は加工開始はペレット成形時点としており、当社はペレット成形の前段階である二次混合から当社要員を派遣する計画であり、国の通達を満足すると判断している」とのことでした。
 しかし、貴社が今まで公表している「製造」に関する資料では、「製造」概念は時と場合によっていろいろ変化しているように見受けられます。そのため、貴社の資料に即して、下記の質問を行います。

(1)輸入燃料体検査申請書での製造開始の再確認等

(a)輸入燃料体検査申請書での「製造開始」は上記のように二次混合からということですか。

答 昨年11月に申請した輸入燃料体検査申請書においては、製造期間中を通じて当社社員を派遣する期間を二次混合開始から全燃料集合体の組み立て後の検査完了までの期間としている。輸入燃料体検査申請書では製造開始という言葉は使っていない。当社はMOX燃料の製造開始という言葉を使う場合はペレットの成形加工の着手時点としている。

(b)なぜ一次混合からにしなかったのですか。

答 保安院が要求している製造期間を通じた社員の派遣の開始はペレット成形加工着手からとしており、当社はペレット成形加工着手の前段階である二次混合から当社社員を派遣する計画とし国の通達を満足すると判断したものであります。

(c)原子力安全・保安院は「加工開始はペレット成形時点」としているとのことですが、その場合、「加工開始」と「製造開始」は同じですか。その保安院見解を示す文書名を示してください。

答 保安院が言っている加工開始と当社の製造開始は同じであるという認識です。なお、当社はペレット成形加工着手の前段階である二次混合から当社社員を派遣する計画で、昨年11月に輸入燃料体検査申請をおこなった結果、保安院から特段の指示がなかったことから、保安院の要求事項を満足していると考えている。

(2)1月30日のプレスリリース「高浜発電所3、4号機用MOX燃料の製造開始について」について

(a)1月30日のプレスリリースでは、「1月30日・・・仏国メロックス工場において製造を開始いたしました」としています。この「製造を開始」とは、どの工程の開始ですか。1月30日添付資料中の「メロックス工場におけるMOX燃料製造の主な流れ」図(下図)上で示してください。

答 プレスの添付資料に記載されている通りペレット成形加工の着手である。

(b)同プレスリリースでは「製造にあたっては、製造期間中を通じて当社社員を派遣」するとしていますが、この「製造期間」とは、どの工程以降を指すのですか。

答 当社社員を派遣する製造期間は二次混合開始から全燃料集合体の組み立て後の検査完了までの期間です。

(c)前記「メロックス工場におけるMOX燃料製造の主な流れ」図では、製造工程は明らかに一次混合から始まっていますが、途中の「ペレット成形」に「製造開始」という注釈が付けられています。これは何を意味するのですか。製造開始に2種類があるということですか。

答 輸入燃料体検査制度が変更され、この中でペレット成形が製造開始と定義されたと認識していることからMOX燃料の製造に関して製造開始という言葉を使う場合は、ペレット成形加工の着手時点としている。このためペレット成形加工の着手時に製造開始したことを公表させていただいたものである。

(d)貴社が1月15日に福井県原子力安全専門委員会に提出した資料1−1の10頁にある「メロックス社におけるMOX燃料製造の流れ」図には、(c)で述べたような注釈はなく、明らかに製造工程は一次混合から始まっています(添付図−1)。すなわち、貴社は福井県原子力安全専門委員会には製造は1次混合から開始していると説明したのですか。

答 福井県の原子力安全専門委員会ではメロックス工場のMOX燃料製造の流れを説明している。MOX燃料の製造開始がどこかを説明する資料ではありません。当社は輸入燃料体検査制度が変更され、この中でペレット成形が製造開始と定義されたと認識していることからMOX燃料の製造に関して製造開始という言葉を使う場合は、ペレット成形加工の着手時点としている。

(e)6月27日付けの福井新聞に「高浜発電所のプルサーマルで使用するMOX燃料の製造を着実に進めています」との1面広告を出しています。この広告の中で、社員を派遣して確認するとしている「MOXペレットの製造」とは、どの工程以降を指すのですか。

答 広告のMOXペレットの製造とはメロックス工場におけるMOX燃料の製造工程をMOXペレットの製造、MOX燃料棒の製造、MOX燃料集合体の組み立ての3つの工程に分類したものであり、それ以上の細部の工程の説明を意図した図ではない。なお、当社は製造期間中を通じて社員を派遣する期間は二次混合開始から全燃料集合体の組み立て後の検査完了までの期間としておりまして、二次混合から社員を派遣しています。

(3)2001年中断・廃棄のメロックス工場でのMOX燃料製造について

(a)2001年に中断し燃料を破棄するに至ったメロックス工場でのMOX燃料製造では、加工開始は1999年11月3日からとのことでしたが、この「加工開始」とはどの工程の開始を指すのですか。

答 当時の製造に関する技術情報は商業機密のため回答できません。なお、今回公表している製造開始については輸入燃料体検査制度が変更により、この中でペレット成形が製造開始と定義され、この時より派遣することが要求されているので、これを明確とするために製造開始であるペレット成形加工の開始で事前にメロックス社と協議をおこない、公表できるようにしたものであります。

(4)1999年のBNFLでのMOX燃料製造について

(a)1999年9月24日のプレスリリース「BNFL製MOX燃料の製造時品質管理データ調査に関する中間報告について」の「添付4」では、「製造工程」は「粉末混合」からとなっています(添付図−2)。BNFLでの製造の場合は、ペレット成型以前の混合工程から製造期間としていたということですか。

答 当時の製造に関する技術情報は商業機密のため回答できません。ペレットの工程は細かく分けると粉末混合、ペレット成形、ペレット焼結、ペレット研削に分割されまして、MOX燃料はこれらの工程を経て燃料棒、集合体の製造がおこなわれます。輸入燃料体検査申請書の製造の定義は、輸入燃料体検査制度が変更されて、変更の中でペレット成形が製造開始と定義されたというふうに認識しています。

(b)同プレスリリースでは、「平成10年1月21日 高浜4号機用8体をBNFLのMDF工場で加工開始」「12月9日 高浜3号機用8体の加工開始」とありますが、この「加工開始」とはどの工程の開始を指すのですか。

答 当時の製造に関する技術情報は商業機密のため回答できません。なお今回公表してます製造開始については輸入燃料体検査制度が変更により、この中でペレット成形が製造開始と定義され、この時から派遣することが要求されているので、これを明確にするために製造開始であるペレット成形加工の開始で事前にメロックス社と協議をおこない、公表できるようにしたものでございます。

2.電事連が6月12日に公表した、プルサーマル計画の実施時期を5年先延ばしするとの決定について

(1)この方針変更を踏まえれば高浜原発で急いでプルサーマルを開始する必要はないのではありませんか。

答 エネルギー資源の乏しいわが国においては将来にわたってエネルギーを安定的に確保していくためには原子燃料サイクルの確立が不可欠であり、プルサーマルの重要性はいささかも変わるものではありません。高浜におけるプルサーマル計画は現在具体的に進捗しているものであり、当社として目標に向けて努力を続けている最中であるため、見直しが必要とは考えておりません。ただし、国および地元をはじめとする皆様方のご理解を得ながら安全最優先を大前提としてステップ・バイ・ステップで着実に取り組んでまいりたいと思っております。

(2)現在製造しているMOX燃料について、初期製造の検査で何か問題は見つかっていませんか。現時点でどれだけ製造したのか明らかにしてください。また、燃料完成と輸送時期、装荷時期について予定を示してください。

答 初期製造の結果については問題ないことを確認しており、現在燃料の本格製造中である。なお、具体的な数量については商業機密のため回答できない。また、それぞれの今後の具体的な時期については工場の稼動状況や輸送調整、定検時期等によるため現時点では決まっていないが、2010年度から導入できるように最大限努力してまいりたい。ただし、国とか地元をはじめとする皆様のご理解を得ながら安全最優先としてステップ・バイ・ステップで着実に計画を進めていくことにはかわりございません。

(3)電事連は基本的には、六ヶ所のMOX燃料製造工場の操業開始が遅れたため、六ヶ所再処理工場で回収したプルトニウム利用に遅延が生じたことを計画延期の理由としています。しかし、「2010年度までに国内16〜18基」は、海外で再処理したプルトニウムを使っての計画だったはずです。なぜ、海外分で行うプルサーマル計画も延期したのですか。

答 利用目的のないプルトニウムを持たない方針のもと、全国で16から18基でプルサーマル計画を早期に実現することが大前提とした上で、現在の燃料製造や海上輸送などの工程も踏まえて各社の進捗状況を再確認した結果に加え、六ヶ所のMOX燃料加工工場の新たな操業開始時期等を十分に考慮した結果、プルサーマルをできるだけ早く導入することとし、遅くとも六ヶ所のMOX燃料加工工場が操業開始する2015年度までに全国で16から18基のプルサーマル導入をめざすことでプルサーマル計画を見直しているということでございます。


2009年7月6日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
      京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
      大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581



(添付図−1)

(添付図−2)



(09/07/21UP)