データねつ造・改ざんを繰り返す関西電力への抗議と質問書(回答は1月16日)
大飯原発3・4号機の温排水データ改ざんに抗議する

関西電力(株)社長 森 詳介様

2006年12月19日

 大飯3・4号機の温排水を管理している復水器出入り口と取水口・放水口の海水温度に関するデータを、貴社は改ざんしていたことが明らかになりました。このデータ改ざんは、1998年1月から、最長で2004年10月まで行われていました。データ改ざんの指示は貴社の技術課長から計器の調整を担当する第二電気保修課に出され、同課や協力会社の担当者が改ざんを行ったと報道されています。これは、会社ぐるみのデータ改ざんに他なりません。
 貴社は、1999年のMOX燃料データねつ造が発覚する以前から既に温排水データの改ざんを行なっていたわけです。その後も6年間以上、温排水データは改ざんされたままでした。MOX燃料のデータねつ造については「謝罪」したはずの貴社が、温排水データ改ざんはそのまま放置していたわけです。さらに、2002年の東京電力の検査データ不正事件の後に、貴社もデータ不正や改ざんなどについて一斉調査を行ったはずですが、温排水データの改ざんは続けられていました。
 さらに貴社が安全協定に基づき、福井県やおおい町に年4回報告している温排水の環境影響調査についても、この改ざんされたデータを報告していました。福井県やおおい町、県民や町民を何度だませば気が済むのでしょうか。
 これらが示しているのは、貴社がデータねつ造・改ざんの常習犯であるという事実です。原発の各種測定データの改ざんは、原発の安全管理・安全確保の基礎を掘り崩すものです。貴社の安全軽視の体質が、またもや改めて明らかになりました。貴社は海水の入り口と出口温度の差を7度と設定しています。温度差が7度を超える場合は、海水量の調整や出力の低減によって7度の範囲を守ることができるはずです。出力の低減ではなくデータ改ざんを行ったことは、貴社の経済性最優先の姿勢を示すものです。
 このような貴社が、1月中旬に美浜3号機の運転再開を行うなどもってのほかです。
 温排水のデータ改ざんに強く抗議するとともに、改めて美浜3号機の運転再開を断念するよう求めます。
 なお、下記の質問について早急に回答し、年明け早々に交渉を設定してください。

1.何のために温排水のデータ改ざんを行ったのですか。
(答)プレスで発表させていただいている通りでございますが、今回の大飯3、4号機の温排水データの不適切な調整については、一部特定の計器の指示値が、他の多数の指示値に比べて、一定の傾向を持ってバラついていたことから、これらに合わせたものであるが、取・放水口の温度差における調整前後の値、及び調整が行われた手続き−これは校正試験を実施せずに調整しているのですが−から、目標値を遵守するために調整を行った可能性が否定できないと考えております。現在、原因究明のため、原子力事業本部副本部長の下に、客観性を持つ観点から、経営監査室、原子力事業本部技術系社員、発電所役職者が、当時の関係者−これは、温排水のデータを扱っている計器関係の組織で、計器を管理、補修する課ですけれども−関係者、技術課と補修課に対して、面談による聞き取りを行っているところであります。しかしながら当時の関係者には退職しているものもいる上、約8年前のことでもあり、事実を確実に把握するには相当の時間を要すると考えております。現時点では、原因の解明には至っておりません。

2.復水器出入り口と取水口・放水口の温度データの時系列(最近1年間分)を公表してください。
(答)温排水の影響については、福井県の安全管理協議会に四半期ごとに報告し、公表し、公開しております。
要求されている復水器出入口温度などは、発電所の性能管理のデータであり、企業ノウハウに該当することから公開は差し控えさせて頂きます。

3.MOX燃料のデータねつ造が発覚した後も、温排水のデータ改ざんを続けたのはなぜですか。MOX燃料データねつ後の貴社の反省と体質改善が不十分だったことを示しているのではないですか。
(答)平成11年9月に発覚したBNFL製MOX燃料問題については、平成12年6月に当社としての対策を公表して取り組みを行ってきました。また、その後の平成14年8月の東電問題の対策の中でも、コンプライアンス体制の構築や法令順守の浸透を進めてきています。さらには、美浜3号機配管破損事故では、安全最優先を掲げ、再発防止対策に取り組んできたところであり、平成18年3月には、改善活動が現実的に行われつつあるといった国の評価も頂いているところです。こういった諸活動の状況も踏まえ、当社としての改善が進みつつあると考えております。

4.温排水のデータ改ざんに関してどのような責任をとるのですか。
(答)現在原因究明のため、原子力事業本部副本部長の下、客観性を持つ観点から、経営監査室、原子力事業本部技術系社員、発電所役職者が、当時の関係者に対し面談による聞き取りを行っているところであり、原因の解明には至っていない。今後の調査結果などを踏まえ、対処していきたいと考えております。

5.全ての原発の計器のデータについて、他には一切データねつ造・改ざんは存在していないのですか。
(答)(他の改ざんはないか)温排水関係データについては、現在不適切な変更履歴がないかを、平成18年度内を目途として、確認しているところであります。
 なお、他のプラント−大飯3、4号以外−では、現在のところ、温排水関係データについて不適切な調整は確認されていない。
 また、原子力発電所で使用している計器については平成18年8月31日に経済産業省から点検指示−原子力発電所における計器の設定誤りについて−を受け、19年中を目途に点検を実施中であります。なお、現時点では異常は確認しておりません。

2006年12月19日
  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581