コジェマ社とのMOX燃料製造契約等に関する質問書



2003年9月11日


関西電力(株)社長 藤 洋作 様


[I]MOX燃料製造契約に関するもの

1.2003年9月4日付けの英国フィナンシャル・タイムズ紙は、貴社の秋山喜久会長へのインタビュー記事「関西電力はMOX燃料契約の交渉に向かう」を掲載しています。同記事は、秋山会長が「スキャンダルをおこしたBNFL社を契約先として検討するのは『困難』であろうと話した」としています。また同記事は、ベルゴニュークリア社は規模が小さく「関電の需要に応えるには不十分」であるとした上で、可能性の高い契約相手はコジェマ社だとしています。また、貴社はこれまで、本年度中にMOX燃料製造契約を結ぶと発表しています。
これらに関連して、以下の通り質問します。

(1) 貴社は、今回のMOX燃料製造契約の対象からBNFL社を外したということですか。
(2) また同様に、今回の契約対象からベルゴニュークリア社も外したということですか。
(3) 貴社は近々、MOX燃料製造契約に向けてコジェマ社と交渉を開始するつもりなのですか。

2.上記記事の中で、秋山会長はインタビューに答えて「われわれは近い将来、交渉を開始するだろう」と語っています。しかし、西川一誠福井県知事は、知事就任の記者会見(2003年4月23日)で、新たな燃料契約に入る前の段階で、その話が具体化する前の段階で、品質保証の問題などについて、県に対して説明がなされるべきだとの見解を示しています。

(1) 秋山会長の「近い将来、交渉を開始する」との発言は、福井県に対し既に説明をした上でなされているのですか。
(2) 8月26日に私たちは福井県に対し「プルサーマル事前了解願いを撤回するよう」申し入れを行いました。この時点でも、県当局は、関電から燃料契約に関する具体的な話は聞いていないと述べています。このような状況で、年内に契約交渉に入る事ができると考えているのですか。
(3) 貴社はこれまで、「地元を始め、周辺地域(関西を含む)の理解なしには契約交渉を開始いたしません」と述べています。(関西電力大阪本社・エネルギー広報、2002年4月)。これはBNFL社についての貴社の回答でしたが、他社とのMOX燃料契約についても同様であることを確認してください。

3.貴社は1999年に開始されたコジェマ社メロックス工場でのMOX製造について、2001年12月26日に突然製造を中止しています。製造されたMOX燃料はすべて廃棄され、廃棄分の燃料製造費等を補償するため、電気料金から60億円もの金額をコジェマ社に支払っています。しかし貴社はこれまで、なぜ製造中止に至ったのか、この件に関する事実関係と責任の所在を一切明確にしてきませんでした。貴社の「プルサーマル推進会議」でも、コジェマ社の件は一項目も取り上げられていません。この件に関して以下の通り質問します。

(1) 貴社の「プルサーマル推進会議」で、コジェマ社の件が取り上げられていないのはなぜですか。
(2) コジェマ社に60億円を支払ったことそのものが、貴社自身に全面的に非があると認めていることを意味しているのではありませんか。貴社の責任を明確にしてください。
(3) なぜMOX燃料を廃棄しなければならなくなったのか、原因と理由を明らかにしてください。
(4) 1999年に開始したメロックス工場での貴社分のMOX生産について、「違法性はない」と貴社は以前に回答しました。そうすると、そのMOX燃料は、旧来のEDF用のMOX燃料製造施設で製造したことになりますが、それでいいですか。
(5) 8月18日付「Nuclear Fuel」紙のコジェマ社に関する記事で、「MOX燃料ペレットの生産は『現在のところ、技術的リスクのため公称の生産能力にわずかに達していない。」と書かれています(Production of mixed-oxide fuel pellets is "currently slightly less than the nominal capacity due to technical risks," the company said.)。
    この「技術的リスク」とは何のことですか。
(6) MOX燃料の製造契約の交渉に入る場合、貴社のMOX製造に関して契約先が持つ全ての品質管理に関する資料を入手でき、さらにそれを一般に公開出来ることが前提となりますか。


[II]「中間貯蔵」施設に関するもの

(1) 使用済み燃料を「どの再処理工場に持っていくかは不明」であるにもかかわらず、貴社のウェブサイトの「第二再処理工場に運び込む」という趣旨の記述は依然として訂正されていません。ウェブサイトの記載については「検討する」とのことでしたが、検討した内容とその結果を明らかにしてください。
(2) アメリカでは、使用済み核燃料の輸送および貯蔵に用いられるホルテック社製のキャスクについて、安全性に係わる重大な欠陥問題が持ち上がっています。前回、事実関係を調査・確認するとのお約束でした。ホルテック社のキャスク欠陥問題について、調査した内容を明らかにしてください。


[III]劣化ウランに関するもの

(1) 米USEC社から、手紙を受領したのはいつですか。年月日を明らかにしてください。
(2) 「国から質問主意書が出ているとの情報提供を受けた」とのことですが、「情報提供」の内容を具体的に説明してください。貴社の劣化ウランが劣化ウラン弾に使われていないかどうか、米USEC社に確認を取るよう、国から指示を受けましたか。
(3) 米USEC社から受領した手紙について国に報告しましたか。報告した内容と日付を明らかにしてください。


[IV]炉内計装筒管台および上蓋管台に関するもの

(1) ウォータージェットピーニング(WJP)によって、「引っ張り応力が完全に緩和されたのでSCCは問題にならなくなる」のであれば、計装筒管台よりもSCC発生の条件が緩い上蓋管台については、WJPはより有効なSCC対策となるはずです。それにもかかわらず、上蓋管台では、上蓋ごとの交換や温度低減化工事を実施したのはなぜですか。
(2) 高浜1号機炉内計装筒管台でのSCC発生予測時間(WJP実施前)を推定するのに用いたグラフを示してください(「美浜発電所2号機 容器の技術評価報告書」に掲載されているSG伝熱管のグラフと同様のもの)。
(3) 南テキサス原発1号炉の炉底部管台付近からの炉水漏洩を受けてNRCは、PWRを所有する原発運転各社に対し、炉底部の検査を行うよう要求しています。炉底部管台の検査等に関して、このことをどのように考慮していますか。


[V]美浜3号機の炉内計装用コンジットチューブで新たに見つかった傷に関するもの

(1) 美浜3号機の炉内計装用コンジットチューブで見つかった傷について、傷の数および、各々の傷について超音波探傷検査(UT)による傷深さと、実測値を明らかにしてください。


[VI]敦賀原発2号炉の加圧器逃がし弁用管台のひび割れに関して

 9月9日、定検中の敦賀原発2号炉で、加圧器逃がし弁ライン配管管台の溶接部に貫通亀裂が見つかりました。保温材を取り外して行った点検で、このひび割れは発見されました。ひび割れた箇所から一次冷却水が噴き出したため、管台にはホウ酸が白く堆積しています。
 加圧器は原子炉の圧力を保つ重要な機器です。その配管にひび割れが生じ、一次冷却水が放出しつづければ、冷却水は喪失し、炉内の圧力は低下し、炉心溶融にいたる大事故になりかねません。このような意味から、今回の敦賀2号でのひび割れは、PWR原発に固有の大事故の危険を示しています。

(1) 貴社の原発では、加圧器系配管の点検はいつ行ったのですか。各原発毎に明らかにしてください。
(2) この配管の保温材を取り外しての点検は、定検毎に行っているのですか。それとも数年に1回行うということになっているのですか。点検の頻度を明らかにしてください。
(3) 直ちに、全ての原発を止めて、点検を行うべきではないですか。

                                                            以上



グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
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