「フランスやドイツで豊富な実績があります」と言いながら 少数体試験までこっそりと持ち出す「海外実績」 「高浜計画のような高い燃焼度等の実績はないが、国のお墨付きがある」(関電)
プルサーマルは海外でも多くの実績があるから大丈夫と関電は繰り返し宣伝している。関電のいう「海外の実績」とは、新聞広告のグラフにもあるように「装荷体数」だけだ。プルサーマルの内容を示す、富化度や燃焼度等については一切ふれていない。交渉ではまず、その海外プルサーマルの肝心の富化度や燃焼度などの詳細なデータについて問いただした。すると「他社のデータだから、個々の詳細なデータを当社の方から公開することはできません」とまったく無責任な回答が返ってきた。 フランスでの「実績」については、平均富化度は「7W%」で、これはトータルプルトニウムについてである。集合体最高燃焼度は「51000MW/t以上」と、あたかも高浜計画より高い燃焼度での実績があるかのように思い込ませる回答をしてきた。それでは、これは何の数字なのかと確認すると、グラブリーヌ4号とダンピエール2号での数字だと回答。しかし、この2基の「51000MW/t以上」とは、少数体試験の数値である。私たちの質問書では、このような回答を予測して「海外については、少数体試験ではなく、軽水炉MOX炉心の実績を各炉ごとに示してください。」とわざわざ注釈で断ってある。にもかかわらず、関電は少数体試験の数値をこっそりと「実績」として示してきた。 しかしこのウソはたちどころにばれてしまった。「51000」が少数体試験であることを市民側から指摘されてしまったため、今度は「一般にはフランスの燃焼度は42000」ですと言わざるを得なくなった。高浜プルサーマル計画以上の実績があるかのように見せるために故意にウソをついたのだ。あまりに底の浅いウソに参加者は怒り心頭。「騙すつもりか」と非難の嵐。関電は、「騙すつもりはなかった」と言い訳。それなら、「主管部門が少数体試験ということを知らなかったということだな」と突っ込まれる。すると関電は、にやっとしながら「そうです。主管部門は知らなかったのです」とこの場では言わざるを得なくなった。 結局、通常の「フランスの実績」という意味での最高燃焼度は「42000MW/t」である。高浜計画では、トータル富化度が約11%以下、最高燃焼度が45000MW/tである。これでは、「海外での実績」によって高浜プルサーマルの安全性が保証されるとはとても言えない。国内でも海外でも実績がないような高い富化度や高い燃焼度のMOX燃料を高浜で使いますが認めてくださいと言うべきだと批判の声が相次いだ。 フランスに次いで実績がある国として関電が挙げているドイツはどうかと確認すると、「フランスは1番実績が多いから(公表した。)フランス以外は我々は公表できない。ドイツはわからない。なぜ(データが)ないかわからない。」と耳を疑うような回答が返ってきた。関電にとって都合のよいデータがあれば公開するが、都合の悪いデータは「わからない」と言って、やり過ごそうとの矛盾した態度に、参加者の怒りが集中した。 関電が自慢げに宣伝で繰り返し使っている国内外での「実績」とは、結局、高浜3・4号で使われるMOX燃料よりも富化度も燃焼度も低いものではないかとの追及に対して、関電は「国の安全審査により安全性を確認していただいております」との文言を繰り返すばかりだった。それに対し、市民からは、「それなら、『国内外で実績があるから安全』という宣伝はウソで、『国に審査してもらっているから安全』と書くべきだ。新聞広告の説明は読者をだますことになる」と厳しい批判が相次いだ。 |