「使用済み燃料の90%以上が活用できる」と宣伝しながら、 −回収ウランは1960トンのうちたった220トンしか使っていない −劣化ウラン(ウラン238)は「日本に高速増殖炉はないから」と アメリカに無償で譲渡 −「資源の乏しい我が国」ではなかったのか?
1.「質問4−1」に対する関電の説明によれば、フランスやイギリスでの再処理によって使用済み燃料から1960トンのウランを回収したが、220トン(未濃縮の状態)しか使っていないということである。過去にたった3カ年(1991年4トン、1995年20トン、2002年10トン)だけ、回収量の1割を使ったに過ぎない。 「なぜ3カ年だけなのか。なぜ何年も間隔が空いているのですか」と聞くと、関電は「試験的に実施したものだから」と答えた。「全然使っていないのが実態じゃないですか」と追及すると、「現在は、ということです。今後は定期的に使う予定です」などと逃げようとする。そこで、「回収ウランを使う今後の具体的計画はあるのですか」と追及。これに対して関電は、「今年、高浜で1基使うというのは決まっているが、それ以降について、われわれは知らない」と答えざるをえなくなった。 2.また「質問4−2」に対して関電は、コジェマ社で製造することになっているMOX燃料について、回収ウランを使わないと説明した。結局、関電のプルサーマル計画でも、回収ウランは使用されないのである。プルサーマルをやれば、ウラン資源の節約になるなどという宣伝はまったくのウソ偽りなのだ。 3.次に「質問4−3」に対して関電は、アメリカのウラン濃縮会社への劣化ウラン(注)の譲渡問題を追及した時とまったく同じ回答をおこなった。関電にとって、劣化ウランは利用価値のないゴミだから、アメリカにただで渡しているということである。「劣化ウランは経済的に役に立たないということですね」と確認すると、関電は「まぁ、そうです」と答えた。
そこで、「90%以上利用できるということは、回収ウランだけでなく、ウラン238も含めて全部、つまり劣化ウランもすべて使えるということではないのか」と、追及した。関電は結局、「ウラン238は高速増殖炉で使えば、プルトニウムに変わって新たな燃料になる資源である」と答えざるをえなくなった。これに対してさらに、「それでは、なぜ資源であるはずの劣化ウランをアメリカに無償で渡しているのか」と関電の矛盾を突いた。関電は、「現時点、日本に高速増殖炉はないわけですから」とか、あるいは「持って帰るより、所有権を移転して置いた方が、経済的にはメリットがある」等と、答にならない答えに終始した。 参加者からは、わっとばかりに批判の声がわき起こった。「資源の乏しい我が国といいながら、将来使えるといいながら、おかしいじゃないか」「宣伝で言っていることと、やっていることが違うじゃないか」。交渉参加の怒りに気圧されたのか、関電側からは「大きな目で見ているから、アメリカに渡しているんです」などと、意味不明の発言すら飛び出す状態となり、最後には答えに窮し、何も答えられなくなった。 関電は住民に対して、ありもしない「高速増殖炉」や「第二再処理工場」が実現できるかのように強弁し、劣化ウランを資源に計上して「90%以上再利用可能」などという虚偽の宣伝を押しつけている。その裏では、現実的な「コスト」や「メリット」を計算し、「劣化ウランはゴミ」としてアメリカに譲渡する。これは不当な二重基準である。関電は、「使用済み燃料の90%以上が再利用できる」などという虚偽宣伝を即刻撤回すべきである。 注:【劣化ウラン】−天然ウラン(U235:0.7%)あるいは回収ウラン(U235:0.9%)は、ウラン235の割合を約4%にまで濃縮することで、核燃料として使用されるが、ウラン濃縮の過程で、ウラン235の割合が天然ウランよりも低いウランができる。これを劣化ウランという。劣化ウランは、ウラン235の割合が0.2%程度であるため、核燃料として利用することはできない。事実上の「核のゴミ」となる。関電の試算に従えば、31トンの使用済み燃料を再処理して分離できる回収ウランの量は29トンである。しかし、それを濃縮することによって得られるウラン燃料の量は4トンに過ぎない。つまり、29トン−4トン=25トン(使用済み燃料の約80%)は使い道のない劣化ウランである。 |