菅直人総理大臣への要請書
泊3号と大飯1号の営業運転入りをけっして承認しないでください

総理大臣 菅直人 様

 北海道電力の泊3号と関西電力の大飯1号は定期検査中ながら、調整運転という名の全出力発電運転を、福島原発事故直後から約4ヶ月も続けてきました。事故直後から、国も関電と北電もだんまりを決め込み、定期検査中でありながら、なし崩し的に長期間の運転を放置してきました。
 北海道の脱原発を求める市民団体は、北海道電力と知事に対し、5月20日付の質問・要望書でも、泊3号の運転停止を求め、同日の北電との交渉、そして道庁との交渉の場でも、泊3号の異例の長期調整運転を即時停止するよう要請しました。また、7月12日に行われた市町村、道議会及び国会議員の方々による北電との交渉の場で、鉢呂衆院議員は、「何故、泊3号機を4カ月にも及ぶ異例の調整運転を続けているのか?これは問題ではないか?」という疑問を提起し、これに対して、北電は、その問題点を認めたといわれています。関西の市民団体は、関西電力に対し、6月8日付の質問・要望書でも、大飯1号の運転停止を求めてきました。また、福井県議会でも批判や疑問視する声があがっていました。

 ところが、その批判に対し開き直るように、泊3号と大飯1号を営業運転させようとする策動が急浮上しています。7月8日に経産省から「総合負荷性能検査」を受けるよう北電と関電に指導があり、12日には保安院の森山・原子力災害対策監から、調整運転が続いている状態について「法令上問題がある」との批判が北電と関電に対してなされたということです。これら経産省の動きは、泊3号と大飯1号の営業運転再開を無条件に認めようとするものです。

 しかし、定検中の泊3号と大飯1号の運転再開を、他の定検中の原発と区別して容認できるような根拠はどこにもありません。たとえば、玄海2号や3号は未だ安全とは言えないが、泊3号や大飯1号はすでに安全になっているとどうして言えるのでしょうか。まるで保安院は、玄海2・3号の運転再開にしくじったのと引き換えに、強引に調整運転中の大飯1号と泊3号を動かそうとしているかのようです。しかし、従来の基準や「緊急安全対策」だけでは安全性の保証が十分ではないというのが、政府の統一見解です。それにもかかわらず、経産省主導で、これまで通り検査を行い営業運転に入るなど、許されることではありません。

 政府は新たに全原発を対象にストレステストを実施するとしています。ストレステストについての7月11日付枝野・海江田・細野氏の見解では、一次評価として「定期検査で停止中の原子力発電所について運転の再開の可否について判断」することになっています。泊3号と大飯1号は、定期検査中のため当然この範疇に入るべきです。そうでなければ、福島第一原発が提起した安全上の問題が何ら考慮されないまま安全上合格という措置になってしまいます。

 そもそも、福島第一原発3号機では地震動によって高圧注入系配管が破損したことが東電自体の解析によって強く示唆され、IAEAにも報告されています。しかし、緊急安全対策ではこのような地震動による危険はいっさい検討されていません。それゆえ、泊3号や大飯1号が同様の地震動に襲われたときの安全性は何ら保証されていません。
 少なくとも、このような具体例を含めて、福島第一原発事故の実態に基づいた安全評価がなされるべきです。それなしに、泊3号と大飯1号の営業運転再開はけっして許されないと考えます。
 福島事故が示した人々の生命、健康、そして環境への深刻な破壊状況にかんがみて、北海道や福井・関西の住民や広範な人々の生命と健康を守ることをこそ絶対的に優先してください。総理は北海道民と福井県民・関西の住民に対して、泊3号と大飯1号の営業運転再開をどのように説明するのでしょうか。根拠のある理由を説明しなければ納得は得られないのではないでしょうか。全国民の目が総理の姿勢に注目しています。
 北海道では、6月27日の段階で、既に少なくとも北海道の19市町村で脱原発の意見書が採択され原発からの脱却、ならびに泊3号を含む原発の停止を求めました。さらに、6か町村での同様の意見書の可決が見込まれ、これを加えると北海道の25市町村が、脱原発を求めていることになります。泊3号で福島第一原発と同様の事故が起これば、札幌をはじめ、北海道全体が放射能に汚染されます。北海道の経済と道民の生活を支える農業、漁業と観光が取り返しのつかない打撃を受け、実に深刻な影響が及びます。
 大飯町に隣接の小浜市議会では、6月9日に全会一致で意見書が採択され、原発からの脱却、ならびに大飯1号を含む30年を越える原発の運転延長を求めないよう求めています。大飯1号で福島第一原発と同様の事故が起これば、福井県をはじめ、関西にも放射能は飛来して直接被害を与え、環境を汚染します。関西の水がめである琵琶湖が汚染され、実に深刻な影響が及びます。

 泊3号と大飯1号の営業運転再開をけっして承認されないよう、強く申し入れします。

2011年7月15日

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)(回答先)
    大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
Shut泊 (回答先)
    003-0006 札幌市白石区東札幌6条4丁目1−2 Tel:09026951937 FAX:011- 826-3796
プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
    三方上中郡若狭町気山145-6-1 
グリーン・アクション
    京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
岩内原発問題研究会
    岩内郡岩内町大浜61−5
「プルサーマルを知ろう」後志住民ネットワーク
    岩内郡共和町老古美320−3
Peace Child Future
    虻田郡倶知安町 字 山田155
核廃棄物施設に反対する道北連絡協議会
    北海道天塩郡豊富町福永
小樽・子どもの環境を考える親の会 
    小樽市富岡2−30−5
泊原発を止める会
    北海道余市郡余市町登町1178 牧野時夫
とまとの会(泊を止める会)
    札幌市西区琴似2条5丁目3-1-301影山方
I 女性会議北海道
    札幌市中央区北4条西6丁目北4条ビル
I女性会議札幌
    札幌市中央区北4条西6丁目北4条ビル
市民自治を創る会
    札幌市豊平区西岡4条8丁目4−20 西岡アークビル1F
NPO法人自治体政策研究所
    札幌市西区福井5丁目14−4
ニセコの粉雪を守ろう会
    北海道磯谷郡蘭越町字日出103−1
風の町の未来's
    北海道久遠郡せたな町瀬棚区西大里656−13
安心は土と水を次世代に残そう会
    上士幌居辺東8−279
脱原発ネットワーク釧路
    〒085-0841釧路市南大通8丁目2番地 ユニオンくし ろ
サッポロッカショ
六ヶ所からえいわを創る会(札幌)
被災者支援ネットワーク釧路 
    釧路市貝塚2−17−35 電話 0154-51-2536
道東風下通信(釧路原発いらないっしょの会)
    釧路市鶴ヶ岱2−5−6 
泊原発を考える北海道民の会


(11/07/16UP)