3月4日 汚染水・再稼働問題の政府交渉報告
観測井戸の放射能濃度急上昇について原因把握せず
 汚染水対策ワーキングは再稼働優先で開かれず
 「実行性ある避難計画なしに安全は守れない」と認める
 「最短2時間」で神戸市にプルーム到達(兵庫県知事)、しかし国はPPA出さず

みなさまへ<転載転送歓迎>

 昨日行われた、汚染水問題と原発再稼働についての政府交渉について簡単に報告します。60人ほどの市民が集まり、原子力規制庁の福島原発担当及び再稼働審査に関わる担当者、資源エネルギー庁の汚染水担当者と交渉しました。

 交渉に先立って、汚染水漏えい・流出事故についての緊急国際署名の提出が行われました。署名は142か国から、国内が11,855筆、海外が22,516筆、あわせて、34,371筆となりました。ありがとうございました。


◆汚染水問題…観測井戸の放射能濃度急上昇について原因把握せず

 汚染水問題では、まず、昨年10月と今年2月にH4タンク周辺のE-1という観測用井戸で放射能濃度が急上昇している件について聞きました。原子力規制庁は、原因はわからないというだけでした。汚染水対策ワーキングの議題にもあがっていません。政府のずさんな状況がよく分かったと思います。これで再稼働などもってのほかです。



汚染水の深刻な実態はこちら
(美浜の会ニュース)


◆汚染水対策ワーキングは再稼働優先で開かれず

 タンク周辺や護岸付近の井戸の放射能レベルが上がっていた時期に、11月に予定されていた汚染水対策ワーキングの会合が開かれず、10月から今年1月まで会合がありませんでした。原子力規制庁は、11月の会合は更田委員が風邪をひいたためと回答しましたが、その後復帰しても、会合は開かれていません。更田委員は再稼働審査に集中します。


◆相変わらず東電まかせ

 汚染水対応の体制について聞きましたが、原子力規制庁は、現地に常駐しているのが12名(昨年秋に聞いたときは10名でした)、規制庁内で福島第一原発を担当している部署が20〜30名程度ということでした。汚染水を担当しているのはさらに少ない人数になります。エネ庁側は11名、他の省庁を含めて17名が現地に常駐しているとのことでした。この人数で、国が乗り出して汚染水対応にあたるというのは無理でしょう。東電が動き、国は報告を聞いて何かしら指示を出すだけという状況は変わっていません。


◆シルトフェンスだけではダメ…再稼働審査で汚染水対策は全く不十分

 再稼働審査において汚染水対策はどうなっているのか。放水砲で使った水対策として、シルトフェンスを張ったりや土のうを積むというものしかありません。

 ただし、海洋への拡散防止の対象は、放水砲による汚染水だけではないことを一応は認めました。規制庁は、福島で発生しているような汚染水事故に対して、シルトフェンスだけでは対応できないことを認めました。新基準は格納容器破損時の放射能放出抑制を要求していますが、汚染水による放出の抑制については対策がありません。


◆原子力防災…実行性ある避難計画なしに安全は守れないと認める

 要援護者の避難計画など「計画が取りそろっていないのは事実」と認め、「書き物だけではダメで、避難計画に現実性がなければ、安全は守れない」ことを確認しました。これについては、是非各地の自治体に伝え、実効性ある避難計画なしに安全は守れないと国が認めた。実際に計画はできていない。再稼働に反対をと伝えていきましょう。


◆20分で炉心溶融開始−「避難は難しい」と確認

 再稼働審査の重大事故の有効性評価では、事故発生から20分で炉心溶融がはじまるとあります。この時間で5km圏の避難が必要ですが、20分では不可能であることを確認しました。しかし、規制庁は、再稼働と防災は別であると繰り返し述べました。会場からは、安全が守れない状況での再稼働を規制委・規制庁として容認するのかとの声があがりました。


◆「最短2時間」で神戸市にプルーム到達(兵庫県知事)しかし国はPPA出さず

 兵庫県議会で丸尾議員の質問に対して、知事は、若狭の原発で事故が起こった場合に、約100km離れた神戸市にプルームが到達する時間は「最短で2時間」と答弁しています。これについて、規制庁は、プルーム対策(PPA)は、未だ「検討中」、「簡単には出せない」と繰り返すだけでした。原発周辺地域で大きな問題になっているにもかかわらず、のらりくらりの対応です。これでは、住民の安全を守ることはできません。

阪上 武 


(14/3/05UP)