(1)「政府として特定の見解を有していない」ような劣化ウランは、核のゴミに他ならない。 関西電力は、ウラン濃縮の結果発生した劣化ウランを、「当社にとっていらないものだから」として、濃縮役務の委託先である米国USEC社に無償で譲渡している。関電にとって、劣化ウランは使い途のない核のゴミなのである。この関電の行為は、資源の有効利用という建前の下、劣化ウランを将来の核燃料と位置づけている国の核燃料サイクル政策と明らかに矛盾する。事実、長計策定会議第二分科会報告(2000年六月五日)は、「将来の高速増殖炉等への利用に備え、適切に貯蔵していく」としている。 しかし答弁書は、この矛盾に対して「海外の事業者に委託して行うウラン濃縮に伴い発生する劣化ウランの取扱い方等については、政府として特定の見解を有していない」と、釈明をサボタージュしている。これは、海外分の劣化ウランについては政策も定見も何もないので判断できないという、関電の行為を追認するための居直りに他ならない。無償譲渡を承認することで政府は、海外濃縮分の劣化ウランが、実態上ゴミであることを認めているのである。 国内で発生した劣化ウランは将来のエネルギー資源だが、海外で発生した劣化ウランはゴミだというのは、明らかな詐欺、二枚舌政策である。ゴミをゴミと認めないため、最終処分を先送りするための嘘、口実に過ぎない。劣化ウランは使い途のない核のゴミ以外の何物でもないのである。 (2)政府は、六ヶ所村・人形峠への劣化ウラン=核のゴミの押しつけをやめよ!超危険な六フッ化ウランの形態での貯蔵をやめよ! では、将来の核燃料だという国内発生分の劣化ウラン(六ヶ所村に約6700トン、人形峠に約2400トン蓄積)の具体的な使用計画はどうなっているのかというと、何も決まっていないのである。答弁書は、MOX加工工場や高速増殖炉での「将来的利用」などという、一般論を述べるだけで、「具体的な利用計画」については、日本原燃および旧動燃が「検討していくものと承知している」として、一切答えていない。「将来的利用」とは言うものの、結局政府としては、日本原燃と旧動燃が「検討していく」であろうことを「承知して」いるだけで、具体的な計画については、一切決める気もないし、主体的なイニシアチブや責任も取る意志はないのである。核燃料サイクル政策に対し、最後的に責任を持つ政府として、まったくの無責任という他ない。 また、超危険な六フッ化ウランの形態での貯蔵(六フッ化ウランは、強い化学的活性と放射能を併せ持ち、約60度でガス化する毒性の強い物質)を一体いつまで続けるのかについても、答弁書はまったく答えていない。「毎年1回の定期検査を適切に実施してまいりたい」という一般的な決意表明のみである。政府は、具体的な利用計画も何もないような核のゴミ=危険な劣化ウラン(六フッ化ウラン)の押しつけをやめよ。 (3)政府・関電は、劣化ウラン弾の原料である劣化ウランの対米供与をやめよ! また、劣化ウランは劣化ウラン弾の原料物質であり、関西電力による劣化ウランの対米供与は、原子力の平和利用を謳う原子力基本法ばかりか、武器輸出三原則および憲法の平和原則にも背反している。それにもかかわらず答弁書は、「米国USEC社からは、関西電力株式会社から委託されたウラン濃縮に伴い発生した劣化ウランを劣化ウラン弾の製造のために使用したことはない旨の説明を得ている」としているのみで、関電の行為を不問に付している。 答弁書の言う「使用したことはない」というのは、現在までの所、使用されていないということを述べたに過ぎず、将来にわたって絶対に軍事転用されないということを何ら保証するものではない。依然として、関西電力がアメリカに譲渡した劣化ウランが兵器材料として利用される可能性については否定できないのである。事実、関西電力は4月25日の交渉でも、軍事転用の可能性については「すでに所有権を移転しているので知らない」としている。 USEC社に確認したというならば、政府は、いつ、誰が、どのような形で確認したのか、具体的内容を明らかにすべきである。また、関電が譲渡した劣化ウランがUSEC社においてどのように管理されているのか、管理形態について明らかにし、譲渡した劣化ウランが将来的に絶対に、兵器に転用されないという保証措置について具体的に説明すべきである。 |