関西電力取締役社長 石川 博志 様 貴社がBNFL社と新MOX工場SMPでの製造契約を結ぶのではないかということに、私たちは強い懸念をもっています。外国では、「BNFL社製MOXビジネスへの日本の支持確認」という言葉で、すでに契約の意思が表明されたと読み取れるような報道もなされています。私たちの再三にわたる申し入れにもかかわらず、貴社はいまだに、この問題についての公的な意思表明を何ら行っておりません。 BNFL社は、湾岸戦争などで使用された劣化ウラン弾の製造に関与していたことが明らかになりました。湾岸戦争当時に劣化ウラン弾の構成部品を製造し国防省に納入していたことを、BNFL社自身が認めています。さらにその後も、劣化ウラン弾製造用として、大量の劣化ウランを米国から輸入しています。米国・英国は、湾岸戦争で、さらにはバルカン諸国に対して、大量の劣化ウラン弾を使用しました。米国の帰還兵や欧州の兵士たち、さらにはイラク等の子供や住民たちに白血病等々多くの放射能被害が出ています。 BNFL社は、このような実際に使用された劣化ウラン弾=核兵器の製造にたずさわったのです。元々BNFL社は英国の核兵器戦略の根幹に位置する企業です。全世界の人々から批判されるこのような企業と取引を続けることは、もはや許されることではありません。 また、最近のファイナンシャルタイムズによれば、ローレンス・ウイリアムス原子力検査局長は、BNFL社に対する操業管理監督の改善についての25項目勧告がまだ承認されていないと述べています。実際、BNFL社のセラフィールド核廃棄物貯蔵施設で2000トンもの核廃棄物が爆発寸前だったにもかかわらず、警報が3時間近くも無視されるという事態も起こり、管理がずさんであることを如実に示しました。BNFL社については、この種のずさんさを示す事実は枚挙にいとまのないほどです。 さらに貴社は、BNFL社で使用済み輸送容器の検査が遅延した問題を隠していました。全電力会社で少なくとも26基の検査遅延があったうちの20基に貴社は関与し、そのうちの17基がBNFL社での遅延でした。この運輸省通達違反を貴社は隠したばかりか、BNFL社の遅延に目をつぶり、昨年7月に契約凍結を解除して、事実上BNFL社を支援する姿勢を示しました。 以上のようにBNFL社は、劣化ウラン弾を製造した死の商人であり、管理に関する信頼性がまったく欠如している企業です。そこで、私たちは以下の点を貴社に申し入れします。 申し入れ事項 1. BNFL社と新MOX工場SMPでの製造契約を結ばないこと。 2. その意思を直ちに公的に表明すること。 3. BNFL社との再処理契約を破棄し、再処理を中止すること。 4.プルサーマル計画そのものを中止すること。 わが国でプルサーマルに反対する声はますます大きく広がっています。福島T−3号でのMOX装荷に反対する裁判には1900名もが原告となり、3月1日に結審を迎えます。柏崎刈羽3号の装荷に対しては、刈羽村で直接住民投票を求める運動が広がっており、新潟県全体の運動がこれをバックアップしています。 こうした中、福島県知事は、プルサーマル導入に対する理解がいまだ回復したとは考えられない、当面MOX燃料装荷はあり得ないと、26日の県議会で表明しました。これを受けた柏崎市長は、深呼吸のひとつも必要、当初の順番を守るべきだと発言し、新潟県知事も柏崎刈羽3号が最初のプルサーマル炉になることを拒否しています。 これらの状況を深く考慮すれば、プルサーマル計画を推進することが多くの国民に背を向ける無謀な企てであることはいまや明らかです。 2001年2月27日 グリーン・アクション(代表:アイリーン・美緒子・スミス) 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(代表:小山英之) |