4/25関電交渉 速報



●「刈羽村での住民投票実施決定を重く受け止めている。厳しい状況であると認識している」
 前回4月2日の交渉で積み残しとなった質問に対する回答を得るため、また、4月24日の新潟刈羽村の住民投票実施決定を受け、プルサーマル中止の申し入れのため、第3回目の関電交渉を行いました。
 応対したのは広報グループの大森、小松の両課長です。住民投票実施決定を受け、プルサーマル中止を表明せよという申入書を手渡した後、関西電力の見解を質しました。関電は、住民投票実施決定を「重く受け止めている」「厳しい状況であると認識している」と述べざるをえませんでした。「プルサーマル実施の見込みはない、中止せよ」という私たちの追及に対して、小松氏は「資源が乏しいのでプルサーマルを進める」などと従来どおりの決まり文句を繰り返しましたが、その声はいつになく小さくて弱々しいものでした。また、東電に対する品田村長の「一切の介入を遠慮する」という発言に関連して、関西電力が「住民投票に干渉するということはない」ことを確認しました。

■「BNFLが国防省に納入した劣化ウランは劣化ウラン弾として使われたのではないか?」
●「BNFLが劣化ウラン弾製造に関与していたかどうかは英国政府とBNFLの間の事項であり、当社は関知しない」
■「BNFLが軍事産業に関わっていることを関電はどう評価しているのか?」
●「適切であると判断し、契約を締結している」
 BNFLの劣化ウラン弾製造への関与問題について、前回交渉での積み残しとなった「BNFLが国防省に供給した劣化ウランが弾となったのかどうか」「いつ、どれだけの量の劣化ウランを供給したのか」については、一切答えませんでした。驚いたことに、BNFLへの問い合わせを行っていないというのです。その理由は、「BNFLが劣化ウラン弾製造に関与していたかどうかは英国政府とBNFLの間の事項であり、当社は関知しない」というものです。
 さらに「BNFLが軍事産業に関わっていることを、関電はどう評価しているのか」という質問に対しては、「適切であると判断し、BNFLと契約を締結している」とはっきりと述べました。「世界平和の問題について関電がまったく関心がないというわけではない」「当社は平和利用目的に限り、原子力を進めている」という自己弁護の一般論を、壊れたレコードのように何度も何度もくり返していましたが、関電の姿勢は明らかです。BNFLが劣化ウラン弾製造に手を染めていようが、そんな事は関係ない、関西電力は「平和利用」なのだから劣化ウラン弾製造に関与したBNFLとでも「パートナーシップ」を結ぶことができるのだと居直っているのです。まったく許せません。

■「関電がアメリカに所有権を移転した劣化ウランが、劣化ウラン弾の原料に混入しているのではないか?」
●「すでに所有権を放棄しているので、引き渡した劣化ウランからアメリカが劣化ウラン弾を製造したかどうかについては関知しない」
 次は、アメリカに委託しているウラン濃縮から出た関電の所有物である劣化ウランを、関電がアメリカに「無償で所有権を移転」している問題です。関電は、「アメリカがその劣化ウランから劣化ウラン弾を製造したかどうかについては、すでに関西電力は所有権を放棄しているので関知しない」と答えました。関電発の劣化ウランがアメリカの劣化ウラン弾に混入している可能性は否定できないということです。「知らない」ではすまされません。アメリカが劣化ウラン弾の製造・使用国であることは周知の事実です。殺人兵器の製造者であることを知りながら、その材料を譲り渡しているのです。確信犯的行為という他ありません。関電は、アメリカの劣化ウラン弾製造・使用に手を貸している企業なのです。

■「なぜ劣化ウランの所有権を無償でアメリカに移転しているのか?」
●「劣化ウランにはウラン235が含まれている割合が低く、当社にとっていらない物だからだ」−−原子力白書では「劣化ウランは核燃料物質」
 また、「なぜアメリカに劣化ウランを無償で譲渡しているのか」という質問に対しては、「ウラン235が含まれている割合が低く、当社にとっていらない物であるからだ」と答えました。劣化ウランはゴミであるというのが関電の見解です。しかし、この関電見解は、政府の見解と大きく矛盾します。原子力白書は劣化ウランを「核燃料物質」に区分し、また新長計策定会議報告書でも「劣化ウランは、将来の高速増殖炉等への利用に備え、適切に貯蔵していく(第二分科会報告書)」とされています。政府は、劣化ウランを高速増殖炉等用の将来の核燃料物質と位置づけているのです。もし関電のいうように、劣化ウランがゴミであるならば、濃縮役務の20%を占める国内分、六ヶ所等での濃縮の結果生み出され、国内保管されている約6200トン(1997年末)の劣化ウランは直ちに核のゴミとなり、その処分が問題となるはずです。関電は、少なくとも国内保管されている自社分の劣化ウランの処分について、明確な方針を示すべきです。

●中身のない、とんちんかんな回答文を読み上げるだけの関電−−参加者一同怒る
 BNFLの新MOX工場(SMP)との契約問題について、「いっさい白紙状態」「契約については何もない」とは答えますが、再発防止対策がなされたと判断する基準や、SMPにおける品質管理体制の改善の判断基準等について、まったく回答しませんでした。「言葉のキャッチボールがうまくいかず、皆さんの質問の意図を正しく理解していなかった」などと、こちらの質問の主旨(言葉の主旨)を「取り違え」ていた(取り違えようもないようなものまで)と言い、「YESともNOとも言えない」などという形で逃げの一手です。関電広報は、「担当部署」が用意した中身のない、とんちんかんな回答文を読み上げるだけです。交渉参加者一同は、「いい加減なことを言うな」「文書回答はできないと言うけど、中身のない回答文を後生大事にもって何になる」「何度交渉やっても答えないじゃないか」等々、関電の姿勢を厳しく追及しました。

■「立て続けに起きているBNFLの安全無視の事故・事件について関西電力としてどう見ているのか?」
●「高レベル貯蔵タンクが爆発寸前だったという問題のみ承知しているが、それ以外については承知していない」
 さらにBNFLによる安全無視の事故・事件の数々についてどう評価しているのかという質問に対しては、「高レベル貯蔵タンクが爆発寸前だったという問題のみ承知しているが、それ以外については承知していない」と答えました。関電は、関電はBNFLの不祥事について、何も知らないと白を切り通そうとしましたが、「海外の新聞を読んでいないのか」「関電はBNFLについての情報収集をやっていないのか」と追及すると、苦し紛れに「事故・事件としては承知していないということ」などと言い出す始末です。いずれにせよ、数え上げればきりがない程のBNFLスキャンダルは「問題ではない」というのが関電の基本姿勢です。BNFLが劣化ウラン弾を作っていようが、関係ないという姿勢とまったく同じです。BNFLの安全性無視の事故・事件に一切目をつぶる関電に、再発防止や品質管理体制を判断することなど到底できるはずがありません。

 関電はSMPと契約しないことを公表し、死の商人BNFLと即刻手を切るべきです。刈羽村での住民投票実施を重く受け止め、プルサーマルをただちに中止すべきです。



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