福井県の危機対策・防災課に申し入れ 報告・速報(8月29日) |
8月31日 高浜原発で事故を想定した30キロ圏内原発防災訓練 |
「現時点でやれることを取り入れた訓練」(福井県) |
・・これでは事故時には対応できず |
形だけの訓練で、再稼働のアリバイ作りは許せません |
◇スクリーニング・除染は、原発からわずか9キロの地点 |
◇避難先の兵庫県までは行かず、途中で訓練終了 |
◇要援護者の避難は、病院から2名。「患者代理」で職員がギブス等して救急車に |
◇事故想定は関電に作ってもらった |
◇住民には説明なし |
8月29日に福井県庁に申し入れに行きました。 福井県は31日(日曜)に高浜原発で事故が起こったことを想定し、初の30キロ圏内を対象とした防災訓練を行います。そのため、本日29日質問・要望書を提出に福井県庁にいきました。申し入れで分かったことなど、いくつか紹介します。 「避難計画を案ずる関西連絡会」の質問・要望書はこちらです。 8月31日の原子力防災訓練・避難計画等に関する質問・要望書 高浜町、おおい町、小浜市、福井市、京都、大阪から7名が参加しました。 防災対策課の課長が対応されましたが、時間は30分と短く(11時半〜正午)、市民側はパイプイスだけの狭い部屋でした。参加者は最初にこのことに抗議しました。 ◆防災訓練は、全て準備が整ったことを前提にして、自衛隊・海上保安庁等が参加して大がかりのようですが、訓練内容は現実離れしたものです。 ・高浜原発近くの住民6名が漁船で沖合まで行き、そこで待っている掃海艇に乗り換えるという想定があります。しかし、この訓練も、自衛隊のヘリ等を使った訓練も、「悪天候の場合は中止」と事前に決められています。沖合まで漁船でという想定も、津波や大雨の場合は成り立ちません。 ・要援護者の避難訓練は、ある病院から2名が救急車で敦賀市まで避難する想定です。しかし、「患者の代理」として職員がギブス等をまいて救急車に乗るとのこと。 ・高浜町の場合は、兵庫県に避難する想定だそうですが、兵庫の避難先市に行くのではなく、途中の舞鶴インターチェンジ等で引き返します。 ・おおい町の住民は、高浜原発から約9キロしか離れていない「きのこの森」でスクリーニングをやって解散等々。 ★これら訓練内容について、県は「現時点でやれることを取り入れた」「今回は避難の手順を確認する」と答えていました。これに対して、おおい町から参加された方が、「やれることはこの程度だということは、実際に原発事故が起こったときには到底対応できないということだ」と。全くそのとおりです。 ◆スクリーニングは10キロ地点でもOK 福井県は28か所のスクリーニング候補地をあげています。高浜原発近くの地点もありますが、これは基本的には兵庫県への避難には使わないと高浜町は言っていました。そのことを確認すると、「町に確認したが、勘違いをしていた。状況によっては、10キロ以内のスクリーニング地点も使用する」と。 下記の30キロの円の中にある、原発に近い地点全てに当てはまるということです。 福井県が公表したスクリーニング28箇所の候補地 規制庁の文書でもスクリーニングは「30キロ近傍」となっていると指摘すると、ワーキングチーム(規制庁と福井県等の会合)で確認しているからいいと言うのです。 10キロ地点でスクリーニング・除染をやっても、その先兵庫の避難先まで50キロ以上を移動する間にまた汚染されてしまいます。スクリーニング・除染の意味がありません。これについては、ぜひ避難先の自治体に伝えていきましょう。 車両の除染は自衛隊にやってもらう。住民の除染はやらないとのことです。住民のスクリーニングは代表者のみです。今回初めてゲート型モニターを使うようです。 ◆訓練の事故想定は関電に作ってもらった。事故から7時間以上たってから炉心溶融という甘い想定 事故想定は、事故が起こってから7時間以上たって炉心溶融が始まることになっています。関電が国に出している重大事故想定では、事故から約20分で炉心溶融、事故から90分でメルトスルーです。本来なら、20分以内に5キロ圏内は避難開始ですが、到底できないために、甘い想定にしているのでしょう。 ◆今回の訓練について、住民への説明はなし 県は、高浜町の区長には7月に説明したと言っていましたが、若狭地方の参加者からは、最近簡単なリーフが配布されただけで、こんないい加減な訓練だということは住民には知らされていないと厳しく県を追及されました。訓練の当事者である若狭の住民にも、事故が起これば避難対象になっている京都府にも、避難先の兵庫県にもほとんど説明なしで進めています。 こんな防災訓練で、再稼働のアリバイ作りは許せません。 ◆要援護者の避難先が県内しかないこと等は、今後検討する 風向き等を考慮して、避難先は@福井県内とA兵庫県の2つのルートがあります。しかし要援護者(入院患者、福祉施設入所者、障がい者、児童、妊婦など)の避難先は福井県内だけです。これでは県内避難先が風下になってもそこに逃げることになってしまいます。この問題については、今後検討すると述べていましたが、具体的なことは何一つありませんでした。 在宅の要援護者については、5キロ圏内の人しか避難先が決まっていません。5q以遠の在宅の要援護者についても、今後検討すると述べただけでした。 さらに、福井件が7月末に公表した「避難時間推計シミュレーションの結果」は、同時に避難することになる京都府民の避難は考慮せず、要援護者の避難時間も対象外等々、多くの問題があります。これについては、これらを考慮して年度末までに、ワーキングチームで時間推計を実施するとの回答でした。 ◎原発総合訓練は県外との連携不足 福井県に市民団体が要望書 福井新聞 (2014年8月29日午後5時35分) 2014.8.29 美浜の会 |
(2014/8/29UP) |