12/25佐賀県主催プルサーマル公開討論会の推進側パネラー
大橋氏の住民を愚弄する発言内容
安全性に不安を訴える会場からの質問者に「理解する気があるのか」と浴びせる


 昨年12月25日、佐賀県が開催した唐津市での九電プルサーマルの安全性に関する公開討論会の模様は、インターネットで同時中継され、私は固唾を飲んで中継の画面に見入った。この討論会では、大橋弘忠・東大大学院教授による、地元住民や反対運動を愚弄する発言内容のひどさ・傲慢さが際立ち、会場から猛烈な抗議がわきおこった。その発言内容について紹介したい。

反対派に異様に敵意を燃やす大橋氏
 各パネラーが討論する第一部。大橋氏の発言は、安全性に不安を抱く地元の人々への愚弄から始まった。笑いながら、これまでの佐賀県での安全性の質疑応答は、無意味な、検討が終わったことについての繰り返しだと述べた。また、「慎重派」パネラー山内氏の地震対策を主眼とした発言内容を、討論会の内容と無関係だとケチをつけた。討論会後に、玄海原発から10km圏内にある長崎県鷹島町の議会議長が、地震対策の不備を理由にプルサーマルへの反対姿勢を明確にするなど、地元にとって地震は重大問題であるが、そのような地元の不安への配慮は皆無である。
 氏は反対運動には異様に敵意を燃やし、反対派は「ねつ造」解析などで住民を不安がらせていると批判する。自分はといえば「専門家」を錦の御旗に、「プルサーマルは現行の軽水炉と同じく安全」「全部解析されている」を繰り返すだけ、「俺が安全と言っているから信じろ」というものでしかない。「慎重派」のパネラー小出氏の指摘どおり、実際にJCO事故が起きた後、国は従来とうってかわって「絶対安全」は間違いだったと言い出し、その一方で被害者を切り捨てた。玄海で事故が起これば同様の事態が起こるだろう。大橋氏の安全発言は非常に無責任だ。
 プルトニウムの危険性についても、「実際には何も怖いことはない」と完全否定である。小出氏が主張されたように吸入摂取による危険性が問題であるのに、「プルトニウムを水と一緒に飲んでもすぐ体内から排出される(から大丈夫)」という! よもやこの討論会で、「プルトニウムを飲んでもすぐに排出される」という内容で問題となった旧動燃ビデオの焼き直しを聞かされようとは。プルトニウム原爆の被害にあった長崎の隣でよくもこのようなことが言えたものだ。

安全性の不安を訴える参加者に「せっかく説明しているのに、理解する気があるのか」と浴びせる
 彼のひどさが最高潮に達したのは、会場からの質問に各パネラーが回答する第二部においてである。チェルノブイリの被害や、使用済MOX燃料の放射能がウラン燃料より強いことを訴え、使用済MOX燃料を安全に管理できるのかと問うた質問者に対し、うわべだけ丁寧な言葉づかいで、それらをどこで知って信じるようになったのかと質問者を詰問する。質問者が出典を明らかにすると、何故それらを信じて自分達が説明する技術的内容は全く拒絶するのかと、あたかも「東大教授の俺様が安全だと言っていることが信じられないのか」と言わんばかりの口調で恫喝する。
 さらにその後、プルサーマルはガソリン車の車に混合燃料を入れて走るようなものであり、事故時の違いを明確にすべきと述べた質問者に対しても、「大変心外。これまで安全性を説明してきたのに」と怒り出し、制止するコーディネーターも振り切り「せっかく説明してもわからないといわれる。理解する気があるのか」とまで言い放った。これには参加者が激怒、中継を見ているだけでも怒号が飛び交い、会場が騒然となっているのが分かった。なお、パネラーとして壇上にいた当会代表によると、「帰れ!帰れ!謝れ!」コールが上がったという。コーディネーターも「私も大橋先生の発言にはイエローカード出します」と、その場を収めざるを得なかった。

 結局、おごり極まりない大橋氏の発言には、最後の最後まで会場から怒号が飛んだ。安全性の問題をクリアしたとして佐賀県知事がOKを出せる状況では到底ない。 (Cy)