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三陸の海を放射能から守る岩手の会
の運動


事務局  永田文夫(盛岡市)

 私たちは青森県六ヶ所村にある再処理工場からの放射能廃液による海洋汚染を心配し工場操業に反対している岩手県の市民グループです。再処理工場沖合3q、水深47mから放出される放射能は【図】のように津軽暖流に乗り、北からの親潮に押されて岩手県の三陸沿岸を南下します。三陸沖合は日本有数の漁場の一つでありリアス式海岸ではワカメ、ウニ、ホタテなどの養殖が盛んです。

海洋に年間47,000人の経口致死量の放射能を放出する
 事業主体の日本原燃は国から次ページ【表】の申請書にある管理目標値の放射能を海洋へ放出する許可を得ております。この値はどの程度の毒性があるか一般の人が判断できる数値に変換できないか検討しました。最初は単純にベクレルからキュリー数を求め、チェルノブイリ事故時の放出量と比べてみました。しかしこの方法では各核種の作用の違いを反映できないことがわかりました。次に、「放射線障害防止法」では放射性同位元素を危険度により4群に分けていることに注目し、法規制対象になる最小ベクレル数(第1群3.7キロベクレル、第2群37キロベクレル・・)で郡分けした核種の管理目標値を割り倍数を求め比較してみました。しかしこの方法も個々の核種についての危険度を必ずしもあらわしてはいないことがわかりました。個々の核種については「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量当量限度等を定める告示」を基に調べる方式を知りました。同じ核種でも吸入摂取と経口摂取の場合の違い、また化学形の違いにより危険度の違いがあることがわかりました。
 この方式により各核種毎の計算をしまとめたものが【表】です。これによると仮に申請書の管理目標値の放出放射能を経口摂取した場合実効線量は3億3千万ミリシーベルトになり、この値を人の100%急性致死量7シーベルトで割ると年47,000人分の急性致死量になりました。また一般人の年摂取限度は3億3千万人分相当になりました。各核種の化学形は主に酸化物とみなし経口実効線量係数を選択しました。トリチウムは化学形は水として計算していますがもし有機結合形であるならば危険度は2.3倍増大しますので表の計算値は少な目の見積もりになっています。表はあくまでも経口摂取した場合の急性死の人数です。他に肺に付着したり臓器に濃縮し発ガンする場合もあります。また、放射能を含む水産物の遺骸からは放射線を出し続け、分解しプランクトンに取り込まれ、結局食物連鎖で人間が濃縮することになるでしょう。
 化学工場でこのような多量の毒物を放出する工場は即閉鎖です。水銀の致死量は1〜2g、これを年に47,000人分47s〜94sを海に流す工場が操業を許可されるでしょうか。ちなみに工場の水銀排水基準は0.005r/?と厳しいものです。
再処理工場では核種毎の排水基準も放出基準もなく、管理目標値までは無制限ですし、すべて当事者の日本原燃が測定しているのです。国の環境基準としては3ヶ月に250ミリシーベルトとする、これのみです。これでは日常的な放出を監視できるとは到底思えません。

私たちの請願が県議会全員一致で採択される
請願(三陸沿岸のアセスを・県民へ説明しアクティブ試験は慎重に)の2点

 私たちは5月に東京海洋大学水口名誉教授を招き講演会を開催しました。6月、日本原燃へ質問状提出、8月から署名活動を展開、9月上旬には三陸沿岸3市で水口名誉教授の学習会と講演会を実施、宮古市では300人の集会となりました。9月、県議会への請願を行い内容の一部変更により全会派の議員が理解を示し10月3日県議会本会議で全員一致で採択されました。同日、増田県知事へ5300筆の署名とともに直接要請を行いました。新たに青森県知事宛の署名を始めました。11月には、英国のマーティン.フォアウッドさんの報告会を予定しております。今だ県漁連の動きが鈍いこと、県行政の理解不足、マスコミの報道規制などが運動の発展の壁になっております。しかし私たちは県民へ粘り強く訴え世論を盛り上げ、青森県を動かし安全協定の締結を押さえ、再処理をストップさせることができることを確信しつつ運動中です。

東京海洋大学水口名誉教授三陸リレー講演会 9月1日 宮古市民集会

日本原燃鰍フ事業申請書(海洋へ液体放出量)から実効線量を計算した表
  六ヶ所村再処理工場から海洋への放出放射能は、年間47,000人の経口致死量に相当
  また、一般人、3億3千万人の年間摂取限度に相当します