JCO健康被害訴訟 第3回
いよいよ中性子線被ばく・健康被害が争点に
       阪南中央病院 東海臨界被曝事故被害者を支援する会 Y


 4月23日、JCO事故健康被害訴訟の第3回法廷が開かれた。法廷は10分ほどで終わったが、いよいよ健康被害の内容に入っていくことになった。
 前回から問題になっていたのは、原告が受診した医療機関の診療記録を、臨界事故のはるか以前のものを含めて取り寄せるべきかどうかであった。原告は事故と関係ないものについては関係ないとして取り寄せに反対する準備書面を提出した。被告弁護団は、前回はすべて取り寄せる必要があるとしていたが、一部撤回を表明した。この点は被告側の勇み足だったのだろう。
 最も注目すべきことは、次回から裁判の中心課題である放射線被曝と健康被害に入っていけることになったことである。被告JCOと住友金属鉱山は前回まで法律論ばかり取り上げていたが、今回は原告の被曝線量を取り上げ、低線量だから健康被害が出るはずはないという主張を準備書面で提出した。これで被告も健康被害の内容に入っていくことを認めたことになる。しかし内容は、事故直後から国などがさんざん言ってきたのと全く同じひどいものである。中性子線の特殊な危険性を全く無視し、250ミリシーベルトあるいは100ミリ
シーベルト以下では健康被害が出るはずがないと決めつけただけである。
 現実には放射線事故でこれほど多くの住民が中性子線被曝を受けたことは歴史的にも全くない。それ故に、実際に起こった被害を真摯に受け止め、逆にそこから中性子線の危険性を改めて解明しなければならない。「中性子の人体影響評価の基準は消滅した」「中性子の生物学的効果に関する基準は見直すべき段階に来ている」(佐々木正夫 JCO事故・健康管理検討委員会主査代理)というJCOや国の擁護者の言葉が、これからJCOに突きつけられていくだろう。次回は7月2日に決まった。