2/13六ヶ所再処理工場に関する国との交渉報告
「不正溶接があっても、穴があくだけ、漏れるだけ。修理すればいい」!




 2月13日、六ヶ所再処理工場の問題に関して国との交渉を行った。事前に質問書を2回出し、その回答を得た上で交渉に臨んだ。主催の「再処理やめよう!全国ネット」としては初の国との交渉であり、六ヶ所村・新潟・福島・東京・京都・大阪から18人が集まった。国側は、エネ庁の核燃料サイクル産業課の橋本氏、外1名、また保安院からは核燃料サイクル規制課の青木氏、外1名が出席した。途中で保安院の核燃料サイクル規制課長の坪井氏が登場した。参議院議員会館の面談室で1時15分から4時まで。交渉の設定等々で、福島瑞穂議員事務所の竹村英明さんに御尽力いただいた。

■波瀾の幕開け 「今日は担当者がいないので陳情を聞くだけ」
 国側は坪井課長を除く4人が前に並ぶ。冒頭に青木氏は「今日は担当者がいないので質問には答えられません。陳情をお聞きするだけです」から始まった。そんな確認にはなっていないと大もめ。「仕事を休み、高い費用をかけて東京まで来ているのに、どういうことだ」。「別の日なら担当者を出せるが、どうしても今日ということなので陳情だけ。連絡担当者を通じて福島事務所にも連絡済み」と言い張る。竹村さんがそんな話は聞いてないと抗議し、経産省の国会担当者を呼んで事実確認。国会担当者と国側の4人はずっと廊下でなにやら相談。竹村さんは各課の責任者に電話をかけ続け、出てくるように要請。結局、竹村さんの言い分が正しいということになり、課長が30分だけ出席するということで大幅に遅れて開始。この間実に45分。

■「長期計画」にしがみつくばかり
 まず、六ヶ所再処理交渉の目的に関する議論から始まった。トップバッターは新潟。「地元では推進派が怒っている。ワンスルーも含めて政策転換が必要との発言まででている。信頼回復云々の状況ではない」と厳しく切り出す。プルサーマルの目処は立っていないと追及するが、橋本氏は「長期計画があるから」を繰り返すばかり。文書回答では「信頼回復を急ぐ」と書きながら「信頼が回復されているのかいないのか、私には分からない」とまで言い出し、双方ボルテージが上がる。

■2時過ぎに坪井課長登場。ニコニコして、「詳細は確認します」を繰り返す
 当初の事態収拾のため、坪井課長が現れた。次の用が入っているので2:30までとのこと。
前段のボルテージがあがった議論は一端打ち切り。当日は海流問題など国の安全審査に関して詳しく説明できる担当者が欠席だったため、美浜の会の小山から「申請書では、下北の特徴を考慮した海流評価がなされていない。津軽暖流による吹き出し、親潮前線によるブロック効果は一切考慮されていない」と問題点を指摘し、後日正式な回答を要求した。課長はニコニコしながらも「詳細は確認します」を繰り返すばかりだった。準備しておいた詳細な質問事項を手渡し、回答を要求した。
 六ヶ所プールの水漏れ・不正溶接問題については、国が使用前検査で立ち会ったことはあっさり認めた。しかし、「磨き痕はたくさんあるので、不正溶接の磨き痕とは区別できない。だから国には責任なし」と平気な顔で述べるだけ。
 「時間が・・・」と言って帰ろうとするので、今回の責任をとって、次回は確かな回答できる人を出してほしいと強く要求した。課長は「承ります」として会場を出ていった。

■平沼ビラは「回収するつもりはない」
 刈羽の住民投票の時、平沼大臣は自らの署名入りで「プルサーマルができなければ再処理はできません」というビラを出した。この見解は今も変わりはないのか、YESかNOかと全員で詰め寄る。しかし、それには答えずに「長期計画が・・・」と逃げ込む。最終的には「平沼ビラを回収するつもりはありません」などと言い出した。
 余剰プルトニウム問題についても一般論を繰り返すばかり。「疑念を与える量」という言葉は使ったが、定量的な事は一切言わない。ただ「プルトニウムをどこでどう使うかは、不遜で言えない」と、顔を真っ赤にさせながら、プルトニウムの使い道のない困った現状を吐露した。

■「不正溶接があっても、穴があくだけ、漏れるだけ。修理すればいい」
・次は、プールの水漏れや再処理工場本体でも明らかになった不正溶接の問題。日本原燃から15日間報告がなかった事についても、「別に問題ありません」。保安院の検査官が立ち会っているが、連絡があったかどうかも「知らない」。不正溶接の「証言」だけなので、それが本当かどうかを原燃が調べているのだからそれでいいじゃないかという無責任な態度に終始しました。
 極めつけは「不正溶接があっても、穴があくだけ、漏れるだけ。修理すればいい」(保安院・青木氏)とまで言い出す始末である。国の第3回定検は、昨年7月31日から現在も続いているという。定検では何をしているのか。「修理されるまで待っているだけです」。
 再処理工場本体の貯槽でも不正溶接が明らかになっている。その貯槽は化学試験で使用されるのかどうかについては「分からない」と言いながら、何の理由もなく化学試験を中止する必要はないと居直る。
 原燃は、燃料移送プール等では、ダイバーを潜らせて検査を行っている。移送プールの水は、基本的に使用済み燃料プールの水と同じものである。被ばくの危険が大きい。「なぜ水を抜かないのか」と質問すると、青木氏は「水を抜かずに検査できるから」!。作業員の被ばくを心配しているのだと言うと、最初は「水があった方が被ばくは少ない。水が遮へいになるから」と言いながら、すぐに「いや違うかもしれない」と言い出し、推定被ばく量を確認することになった。

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 再処理の必要性については、とにかく「長期計画」に必死にしがみつくばかり。国がいかに追いつめられているかを象徴していた。海流問題等は、回答できる人物もなく、次回に再度行うことになった。水漏れ・不正溶接問題は、とにかく、原燃が検査しているからいいという態度。東電事件の教訓も何もない。「国の検査官は何もしていない」、「漏れるだけ」としゃーしゃーとしゃべる。「もんじゅ」判決で腹が立っているのか、とにかく青森県知事は国の言うことを聞くとたかをくくっているのか。異常に強がっていた。プルサーマルの挫折、「もんじゅ」判決と続き、核燃サイクルは身動きとれない中、六ヶ所の問題では突っ張っているなと感じた。
 全国各地から集まった大勢の参加者は、連携しながら追及していった。青森での会議、個別訪問等々、これまで一緒に活動してきた皆の一体感が一層強まった。交渉の最後に、菊川さんが、「国のこんな無責任な態度では、危険な再処理工場のすぐ近くに住む私たちは一体どうなるのか」と厳しい意見を述べられた。
 責任をもって答えられる人物が出てこなかったので、海流問題を含めて、次回に仕切り直しとなった。次回に向けて万全の準備を進めよう。